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清水 潤さん (ワシントン州認定中医学師)

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アメリカで中医学や自然医学に目覚めたという清水先生に、これからの医学のあり方についてお聞きしました。
※この記事は2002年10月に掲載されたものです。

清水 潤(しみず・じゅん)

1967年 大阪生まれ

1986年 関西大学工学部入学

1992年 ワシントン大学大学院入学

1994年 バスティア大学大学院入学

1997年 バスティア大学大学院卒業。シアトルで開業。現在に至る。

中医学との出会い

小さい頃から中医学を志しておられたのですか?

母方の祖父が漢方薬剤師で、父方の祖父が昔から自然医学に沿っていたため、小さい頃から「これを食べると体のどの部分にこんな効果がある」といった会話がいつも食卓で交わされている環境で育ちました。ですから中医学にはなんとなく興味はありましたが、当時の日本では社会的に正当な代替医学としては認められていませんでしたので、「手に職をつけなさい」と主張していた両親にも「針や灸ではないものを」と言われ、関西大学の工学部に入学しました。

アメリカ留学

アメリカに来られた当時のことについて教えてください。

入学後しばらくして、高校生の時から好きだった英語で勉強してみたいと思い立ち、留学を家族に提案。両親も「教育面を伸ばすのはいいことだ」と快く賛成してくれ、ワシントン大学大学院へエンジニアリング専攻で編入しました。ワシントン大学を選んだのは、神戸大学の姉妹校だったからです。しかし、そうすると自分の目標が達成されてしまい、今度はアメリカにずっといたくなってきました。

中医学との再会

大学卒業後、中医学を志すようになったきっかけについて教えてください。

卒業後、まず日系の会社で働いたのですが、喘息持ちの妻がバスティア大学の大学病院で自然医学による治療を受けていたため、自然医学への熱が再燃し、バスティア大学の資料を取り寄せました。そこに載っていた、日本とはまったく違うイメージの中医学には驚かされました。中国の先生がアメリカへ来て、漢方や気孔など、すべてを含めた中医学を教え、またそれを使った治療が施されているなど、社会的な地位がまったく違っていたのです。そして、1994年にナショナル・インスティチュート・オブ・ヘルス(NIH)が80万ドルの援助金をバスティア大学に出すことが決定。これは全国的に大ニュースとなりました。また、同じ年にワシントン州の法律が東洋医学も保険の治療対象に含むという新しい法律を定め、これで私の将来の方向性が決まったのです。

バスティア大学ではどのようなことを学ばれたのですか?

バスティア大学では西洋医学を重視しながら、東洋医学・自然医学を融合するという大学の方針に従って、さまざまな事柄を学びました。最初は西洋医学を重視した大学内の講義と同時にインターンも始め、その後は東洋医学も融合し、卒業まで合計3年間に渡って実地訓練を積みます。これが、卒業したらすぐに働くことができるというアメリカ的な学び方の魅力ですね。

現在の治療と今後の計画

現在行われている治療について教えてください。

私のクリニックでは主に針による治療を行っています。また、水玉や電気治療、基本的な漢方薬の処方、そしてダイエットや栄養に関するコンサルティングも提供しています。患者さんが健康な状態を長く維持できるように根本的な原因を治していくことを目的とした治療を行うことが基本です。

年内にはカイロプラクティックとマッサージの先生とチームを組まれ、新しいクリニックを設置されるそうですが。

現在の医学的システムに欠けているのは、「健康にしてあげる」というゴールだと思います。どんなスペシャリストでも、患者さんに対する力には限りがあります。ですから、無駄を無くし、効率良く患者さんを診ることができ、そして治療にあたる先生同士で手軽にミーティングが持てるよう、チームを組んで “Integrated System”(融合されたシステム)を作ろうと思い立ちました。考えるだけでエキサイティングなアイデアですし、成功する自信はあります。大きな組織になると、どこかで患者さんへのケアが十分に行き届かなくなってしまいがちです。でも、この “融合されたシステム” では、現代医学で失われているパーソナルなケアを求めていきたい。こう言ったシステムは現在既に各地で増えているようです。

今後の抱負を教えてください。

定期的に体のチェックを行い、正しい食生活をし、きちんとエクササイズを行う、これができれば、病気の予防や早期発見も可能になり、健康な人生を長く送ることができるはず。これからの課題として、予防と健康システム作りに励んで行きたいと思います。

【関連サイト】
Acupuncture Associates
Bastyr University

掲載:2002年10月

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