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着物の着付け・レンタル・写真撮影ビジネス経営 香山 真理子さん

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母親と二人三脚で起業 日本の着物を海外で紹介

母・鵜川有さん(左)と

神戸の老舗の呉服屋に嫁ぎ、新しい着物の着方をいち早く提案してきた母、鵜川有(うがわ・ゆう)の斬新なアイデアと、「日本の伝統を伝え続けていきたい」という気持ちをシアトルから形にしていきたいと思い、子育てが一段落した2012年の終わりに起業しました。

成人式

母は神戸で50年にわたり着物の販売、着付から写真撮影、教室やレンタル、イベントなど幅広い活動をしていますが、1990年代から着物のファッションショーや、新しい帯の結び、大きなイヤリングや靴をあわせるという斬新な提案をこつこつと続けています。父方の老舗の呉服屋からは好まれませんでしたが、最近はもっと着物を普段着のように着ようという方々も増えてきて、母の活動がもっと理解される時代になってきました。

結婚式

私は呉服屋の娘として生まれたわけですが、呉服は幼い頃からあまりにも身近にありすぎて、その反動からか洋服やインテリアに興味があり、ファッション業界の仕事に就きました。

でも、1995年の阪神淡路大震災で、残念なことに実家の店は全壊。周りの方の励ましもあって商売はなんとか継続していくことはできましたが、母は神戸の復興と共に相当な努力をしてきました。

卒業式

私は震災の頃は夫の仕事の都合で東京にいましたが、夫の転勤と妊娠が重なり、1997年に仕事

を辞めシアトルに来ました。2年ほどの滞在中に子供を年子で2人出産したので、その後、日本に帰国してからは育児に追われ、実家の商売が気になりながらも母の活動についてはあまり深く理解していませんでしたね。

2004年に私がまたシアトルに移ってきた後、何度か孫の顔を見に遊びに来てくれましたが、2011年の東日本大震災後、ベルビューで開催された秋祭りで 『絆』 というテーマで着物のファッションショーをした母が地元メディアの質問に答えているのを聞いているうち、「着物の継承活動を長年続けてきた母を、娘の私が応援しないでどうする」と。そうして母と着物に関するイベントをこちらで積み重ねていき、「やはり活動するにもお金がかかるし、ビジネスとして立ち上げたらどうか」と提案してくださる方が多かったこともあり、2012年の終わりに起業しました。

七五三
七五三の家族写真

会社の主な柱は、着物の着付けとレンタル、写真撮影です。着物の管理の仕方や着物に必要なものが伝わっていないので、親御さんに喜ばれる七五三から始めました。今は子供用から大人用までさまざまな着物も揃えていますので、卒業式、成人式、結婚式、披露宴の着物のご用意と着付けもさせていただいています。着物と帯の合わせ方、代々受け継いだ着物をどう生かしていくかなど、プロとしてアドバイスしながら、それぞれのお客様にあったトータルケアで、ヘアメイクまでコーディネートします。着付けはその方の体型によって変わりますし、プロとしては、その人を綺麗に輝かせなければなりません。レンタルならここで脱ぎ着できますし、管理の心配もないので便利です。「着物を初めて着た」という方にも着物に興味を持っていただけたら嬉しいです。

着付けを含めたトータルのコーディネートは、経験を通してしかできないこともあります。私は経験豊富な母から気軽に聞き、学ぶことができるという環境を大いに利用しながらやっています。母を置いて、私がいる。そういう形で仕事をさせていただいています。母がこつこつやってきたそういう努力をわかることができて本当によかったです。

"好き" を仕事にする!日本人ママたちの起業

今年新たにご提案した着物の一つは、リバーシブルのデニムを使った男性用着物。伝統的な着物では男性着物は表に柄がありませんが、これは片袖や袖口、襟や裾などに柄を見せるようにデザインしたり、わざと角帯でなく女性用の帯でしめたりしています。これなら正絹ではないので、お手入れも楽で比較的安くあつらえることができますね。もう一つは、襟を重ねたり、丈を短くしたり、裏地に赤を入れたりして和の雰囲気を入れた、自分でも着られる女性用着物です。もとのお着物は長いものですので、一つの着物でもいろいろ楽しめます。このようなご提案を通して、若い方にも着物に興味を持っていただけたらと思っています。

"好き" を仕事にする!日本人ママたちの起業

仕事では、思いついたことはノートに書き留め、今現在やるべきこと、将来に向けてのプラン、何を優先させるべきかなど、常に頭の中を整理するようにしています。一番のモットーは、「人と争わない」。高校生の息子とのつまらない言い争いは日常茶飯事なので(笑)、家庭以外でもめ事は作らないよう心がけています。

まだまだアドバイスできるような立場ではありませんが、やはり人と人とのご縁は大切ですね。そして「お客様は神様。親切丁寧、安くて良い品であれ!」というのが、明治生まれの祖母から受け継いだ商売の原点です。他人に迷惑をかけないようにと自分で乗り越えようとすることも大切ですが、一人ではできないことはいろいろな方の力をお借りしなくてはなりません。そのためにも、信頼につながるよう、努力の積み重ねと感謝を忘れないことが大切だと思います。

Kimono Art
香山 真理子(かやま・まりこ)さん
【公式サイト】 www.kimonoart.org

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