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留学体験レポート: ニューヨークでの模擬国連に参加しました!

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国連本部前にて、ティム教授(後列中央)とクラスメートと。
左端が水澤有奈さん。右端が石田麻実さん。

シアトルの東、ベルビュー市にあるベルビュー・カレッジには、模擬国連を通してグローバルな視点を養う 『The United Nations』 という人気のクラスがあります。今回、現地学生とそのクラスを受講し、世界中から集まった学生たちとニューヨークでの模擬国連に参加した2人の日本人留学生に、その体験をレポートしていただきました!

もくじ

参加した日本人留学生

水澤有奈さん: 1997年、東京生まれ。東京の大学の3年次を1年間休学して、2017年9月からベルビュー・カレッジで IBP プログラムに参加中。当初は教育格差に興味があり北欧への留学を決めていたものの、ひょんなことからシアトルでビジネスを勉強することに。今では、毎週末ハイキングやバイクライドを楽しむなど、すっかりシアトルでの生活を謳歌しています。

石田麻実さん: 1990年、富山県生まれ。東京の大学を卒業後、地元での就職を経て、以前からの夢だった留学を決意し、2017年9月からベルビュー・カレッジで IBP プログラムに参加中。2018年2月からは、ジャングルシティで 『シアトル留学生カフェ探訪』 の一員としてカフェブログの執筆に取り組んでいます。子供の頃から音楽を聴くことも演奏することも大好きで、特技はピアノとフルート。映画やドラマの鑑賞、旅行も好き。

National Model United Nations って?

学生が一堂に会し、実際の国連さながらに世界の国々の代表として社会問題などさまざまなトピックについて話し合う National Model United Nations(通称・模擬国連)。今から遡ること95年、1923年にアメリカのハーバード大学で開催された「Model League of Nations(模擬国際連盟)」が原点で、国際政治の仕組みを理解し、国際問題の解決策を考える過程を体験できることから、現在では世界中の大学・高校において授業に採用されているほか、学生の課外活動としても実施されています。

ニューヨークで開催される世界最大規模の全米大会には、例年、アメリカをはじめ、カナダ、ドイツ、フランス、中国など世界中にある300以上の大学から約5000人の学生が集います。この大会では、会議に加えて、国連機関や国際機関の専門家による講演会もプログラムの一環として行われることも魅力の一つです。

模擬国連の流れ

1. ニューヨークに行くまでの準備
模擬国連は、各大学がひとつの国もしくは非政府組織の代表としてエントリーし、参加します。今回、私たちベルビュー・カレッジは「エクアドル」の代表となり、3月末の本番に向けて、1月から3月の冬学期にさまざまな準備と対策を行いました。

会議の種類には、5つの総会、FAO(Food and Agriculture Organization: 国際連合食糧農業機関)、CND(Commission on Narcotic Drugs: 薬物に関する問題を扱う機関)などの各専門委員会があり、自分たちがどの会議に参加したいか、各自の関心に基づいて選ぶところから始まります。

模擬国連当日は、この総会や各専門委員会にだいたい2人一組で出席し、エクアドルの立場で課題の解決策を考え、他の国の代表たちと交渉します。

リサーチの足掛かりとして最初に行うのは、Background Guide という模擬国連が公式に提供している資料の読み込みです。Background Guide には、その年の議題や過去の政策を含めた世界的な取り組みが事細かに記載されています。参加者は、その内容を把握したうえで、議題にこたえる形で、「エクアドル代表」として提案したいことをまとめた Position Paper を作成します。

使用した資料の一部。
手前がPosition Paper、バインダーに挟まっているのが Background Guide。

2. ニューヨークでの会議の流れ
会議当日は、事前に立案しておいた自国の政策をもとに演説(speech)や他国との交渉(negotiation)を繰り返し、会議の意思決定の下地となる決議案(Draft Resolution)を作成していきます。最終的には、担当国の国益を追求しつつも、国際社会にとっても有益かつ問題解決に実効的な解決策・対策を盛り込んだ決議案を投票にかけ、決議(Resolution)として採択します。

戦略としては、各国の演説を聞き、共感した国と交渉を進め、同じ方向性で決議案を作成していきます。

朝から晩まで続く作業の疲労から、床で作業するグループも。

演説や交渉は3日間に渡り繰り返し行われ、よりよい解決策を追求し、根気強く決議案を練り上げていきます。時には、話し合いがまとまらず離脱したり、妥協を求められたりと、とてもタフな時間でした。

議長のフィードバックを受け、受理された決議案だけが採択の投票にかけられます。自国が推す案を決議させるためには、過半数の賛成が必要なため、後半には賛成票を投じてくれるよう、各国と交渉を行います。

National Model United Nations

投票の様子。賛成国は札を掲げる。

会議の合間には、在ニューヨーク・エクアドル総領事館を訪問する機会がありました。エクアドル出身の方々と実際にお会いしたことで実感が増し、私たちが「エクアドル代表」として会議で結果を残すことへの責任を改めて感じました。

在ニューヨーク・エクアドル総領事館にて。

今回可決された決議案の一覧は、こちらのリンクから見られます。

会議終了後には、各総会・委員会の中で、優れたPosition Paperと代表国の表彰式が行われました。まず、ベルビュー・カレッジの4組が2つの総会・2つの委員会で優秀な大学に送られる賞を受賞しました!

水澤有奈さんとパートナーのデビッドさんが受賞。

3.国連本部での閉会式
各会議が終了したあとは、総会と委員会の参加者全員が一堂に会し、国連本部にて閉会式が行われました。ここで、ベルビュー・カレッジは、見事、Honorable Mention Delegation を受賞しました!

お互いをインタビューしてみました!

5日間、1つのベッドを共有したキャディと、国際連合本部にて。

– 会議を通してのハイライトは?
有奈: 先生とクラスメートと5日間を共にしたことが、最も興奮しました。毎晩、全員で成果を共有したことに元気づけられ、タフな会議中もベルビュー・カレッジの代表として挑戦し続けることができたと思います。また、日常における異文化(裸で寝たり、マットの上でイスラム教の祈祷をしたり)を知るきっかけにもなりました。

特に、パートナーのデビッドは、高校生にもかかわらず(アメリカでは、成績優秀な高校生が大学で講義を受けられる制度がある)、終始クラスメイトを気遣ったり、会議においても討議を円滑に進めたりと、フレキシブルで心が広いところにとても感動させられました。

あとは、クラスメートと会議の合間にニューヨークを散策したことも良い思い出です。工事の騒音やホームレスの多さに、途中、シアトルが恋しくなりましたが。

麻実: 流暢に英語を話せるかどうかは最重要ではないということに気づけたことです。懸命にリサーチして自分の意見をしっかり持ち、積極的な姿勢で会議に臨むことで、参加者の一員として議決に貢献することができるのだと実感しました。アメリカだけでなく、さまざまな国の学生たちが集まる場でのコミュニケーションを通し、友達を作ることができたことも嬉しかったです。

委員会のパートナーのアレクサンドラと。彼女の出演するミュージカルを観に行きました!

また、閉会式では国連本部に入ることができたのも、とても貴重な体験になりました。そして何より、1月からの準備や会期中に、長時間をともに過ごしたクラスメートたちと仲良くなれたことが最高の思い出です。作業がうまく進まないときには、同じベルビュー・カレッジの仲間として委員会の垣根を越えて惜しみなく協力してくれて、本当に感謝しています。苦楽をともにしたおかげで、プライベートでも一緒に遊んだりする仲になれました。

– 会議を通して、最もチャレンジングだったことは?
有奈: 私にとって最もチャレンジングだったのは、常に「エクアドル代表」としての意見が求められたことです。エクアドルに有利な決議案を通さなければならないという責任を常に感じる中で、他国の合意を得て一つの決議案を創り上げたことは、とても達成感がありました。また、他国と交渉するうえで、相手の国の文化についても知識を求められたり、時には妥協をしなければならないといった辛さも体験しました。

同じ委員会のメンバーと最後に撮影

麻実: まず、会議の前に、膨大な英語の資料から必要な情報を抜き出し、専門的な内容を理解する作業に時間がかかってしまいました。ありきたりな意見だけでは決議書のなかでエクアドルとしての政策を打ち出すことができないので、エクアドルについて熟知しておく必要があり、多くのリサーチも必要でした。そのときに英語がうまく扱えないことに苦手意識を感じてしまったのですが、先生やクラスメートの励ましのおかげで、本番では積極的な姿勢を心がけて何とか乗り切ることができました。

会議は長時間に及ぶ交渉の繰り返しで、意見が煮詰まったりまとまらなかったりと、気力も体力もとてもハードなもので、ひとつの決議書を作ることがこんなに大変なのかと驚きました。世界の国々が、それぞれの立場を主張しつつ、相手国を尊重しながら最善の解決策を追求する作業を通して、国際協力がいかに難しいかを改めて痛感しました。

ボリビアからの学生と台湾からの学生と
会議の合間にニューヨークを観光

– 会議を通して、達成したことは?
有奈: 国連という大きな組織を体感できたことが最も大きな成果です。日本の大学で国際協力について学んだ際には、現場での実行力こそが大きな社会課題を解決するうえで価値があると考え、国連に対してはボトムアップの政策を打ち出す組織で消極的かつネガティブという印象を抱いていました。

でも、模擬国連に参加したことで、トップの方たちが自国のために尽力していること、時には妥協も必要であることを実感しました。

麻実: 単独で他の参加者への交渉を行ったことです。委員会には現地学生と二人で一緒に出席したのですが、同じ決議案を作成するグループから離れ、他のグループと交渉し、政策を聞き出しました。

英語力に自信がないことから尻込みしてしまいそうでしたが、積極的な姿勢を忘れず、思い切ってひとりで行動することができ、殻を破ることができたと思っています。おかげで大きな自信と度胸がつきました。

会議の合間にセントラル・パークへ
FAO(Food and Agriculture Organization)全員で記念写真

6月1日には、参加したクラスメートたちとティム教授の家でパーティをしました。模擬国連が終わっても関係が続くことを見ると、この授業で得られたものは本当に大きかったと感じます。

National Model United Nations

世界中から集まった学生たちと、国際問題に真剣に取り組む、そんな模擬国連にぜひ参加してみてはいかかでしょうか?詳しくは、模擬国連の公式サイトをご覧ください。

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