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アメリカでは医薬分業が確立し、それぞれの医療サービスの役割が細分化されています。基本的なシステムは、プライマリ・ケア・ドクターと呼ばれる(または、ファミリー・ドクターやプライマリ・ケア・フィジシャンとも呼ばれる)内科医・小児科医・家庭医などのかかりつけの医師にプライマリ・ケア(初期医療)をしてもらい、専門的な診断・治療は専門医にしてもらうというものです。つまり、専門医にかかる前に、まずプライマリ・ケア・ドクターの診察を受けるのが一般的なのです。これは、必ずしも専門医の治療が必要になるわけではなく、プライマリ・ケア・ドクターが治療できる場合もあり、そうではない場合にはどの専門医に行くべきかをプライマリ・ケア・ドクターが判断する必要があるからです。 プライマリ・ケア・ドクターの深刻な不足: 既に広く知られているように、アメリカの医療費は高額です。ある調査では、医療費の支出はアメリカが先進工業国の中で最も高額であるにも関わらず、予防可能な病気による死亡率が他の工業先進国を上回るという結果が出ています。その理由の1つとして、アメリカでは普段の健康管理のエキスパートであるプライマリ・ケア・ドクターが過度に不足している現状が挙げられます。全米で州民1人あたりのプライマリ・ケア・ドクターの数が最も多いとされるマサチューセッツ州(2009年時)でも、プライマリ・ケア・ドクターを確保できない人が増えています。ちなみに、マサチューセッツ州では2006年から州民全員に何らかの医療保険への加入を義務付け、未加入者には追徴税を課しています。しかし、根本的な問題はプライマリ・ケア・ドクターの不足であって、それは個人が医療保険に加入すれば解決するわけではありません。医療保険に加入しても、肝心の医師や病院が新しい患者を受け付けていない、またはその医療保険を受け付けていなければ、何の意味もないのです。 医療保険のお粗末な現状: アメリカでは日本やカナダのような国民健康保険制度や社会健康保険制度がありません。従って、住民それぞれが保険会社の提供するプランを比較検討し、自分の必要性や予算にあったものを選ぶ必要があります。医療費の高騰を抑えるため、1990年代までに多くのアメリカ人が HMO などの管理医療プログラムに加入し、プライマリ・ケア・ドクターが検査・治療・専門医へのアクセスを左右し、管理医療プログラムに請求される割合を抑える門番の役割を果たすようになり、プライマリ・ケア・ドクターが保険会社の利益増加に貢献しているという認識が生まれてしまいました。これには激しい反発が起こり、1996年には米国議会が公聴会を開き、そこであるドクターが、患者の手術希望を却下して死なせてしまったと告白。それから10数年たった現在も、プライマリ・ケア・ドクターに対する評価は復活しておらず、その給料はたいていの医師を下回っているそうです。そのため、プライマリ・ケアを専門とする医師の大幅な不足という事態に発展しました。また、現時点では、連邦政府が補助金を出している Medicare と Medicaid を受け付けるプライマリ・ケア・ドクターの数が減少しています。プライマリ・ケア・ドクターは基本的に、診察した患者の数で支払いを受けますが、その支払いは専門医の診察をはるかに下回るそうです。医師は、CAT や MRI などの技術を使えば使うほど、テストをすればするほど、支払いを受けるため、アメリカでは医療技術への投資は増える一方。2000年からの Medicaid の支出はハイテクを使った検査と手当てに充てられ、専門医は、診断をし治療計画を立てるプライマリ・ケア・ドクターの3倍から5倍の支払いを受けています。 ■医師へのかかり方 まず、自分の加入している保険に従い、プライマリ・ケア・ドクターを見つけます(詳しくは "プライマリ・ケア・ドクターの探し方" をご覧下さい)。一般的な病気はこのプライマリ・ケア・ドクターに診察・治療を受け、より専門的な診察が必要であれば、適切な専門医を紹介してもらいます。歯科医や眼科医も決めておきましょう。必要な場合は専門歯科の紹介もしてもらえます。 医師の診察には、基本的には予約(Appointment)が必要です。予約の方法は電話・メール・ウェブサイトなどがありますが、医師によって異なるので確認しましょう。そして、自分の加入している医療保険で医療費がカバーされるか(またはどのぐらいの割合でカバーされるか)必ず確認しましょう(必要であれば書面で確認をとりましょう)。診察後に薬が処方される場合は処方箋を渡されますので、それを持って薬局やドラッグストアで薬を購入します。 プライマリ・ケア・ドクターでも専門医でも、診察時間が数分ということはよくあることです。また、「何かを言いたいようだが、言い出せないでいるのだろうか」といった "察しの習慣" を医師に期待するのではなく、自分が支払う診察費の元を取るつもりで、聞きたいことをすべて聞いて答えをもらえるよう、質問のリストを作っていきましょう。わからなければ、もう一度説明してもらう、紙に書いてもらう、インターネットから該当ページをプリントしてもらうなどといった、能動的な行動を取りましょう。 ■緊急の場合 緊急事態にはすぐに警察・消防「911」に電話し、対応を求めましょう。なお、緊急性がないと判断された場合は、救急室(Emergency Room)で何時間も待たされることがあります。 ■海外旅行をしていて病気になった場合 海外旅行保険に入っていない場合は、ホテルのフロントに相談して医師を紹介してもらうことをおすすめします。海外旅行保険に入っている人は保険会社の緊急医療サービスを受けるための電話番号に連絡しましょう。診察を受けたら、保険会社に提供するための診断書や領収書などを必ずもらうこと。アメリカでは医薬分業が原則なので、処方箋がなければ購入できない薬があります。持病のある人は、海外旅行にも普段飲んでいる薬を持参しましょう。 |
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