■おすすめの本
『Japan Envisions the West: 16th-19th Century Japanese Art from Kobe City Museum』
白原由起子 編集
シアトル美術館で2007年10月から2008年1月まで開催される国際展覧会 『Japan Envisions the West』 にあわせて制作された豪華なアート本。縦約30センチ、横約23センチ、そして216ページというこの1冊にはこの展覧会で展示される数々の作品がカラーで掲載されていますが、各美術品の詳細だけでなく、16世紀から19世紀の日本とそれを取り巻く諸外国(主に中国・ポルトガル・オランダ・アメリカ)の動きなどがその美術品を通して説明されており、、時の流れと人類社会の発達を目で見て知ることができます。
その編集を手がけたのは、シアトル美術館東洋美術部長の白原由起子さん。「仕事だから当然」と言えるレベルをはるかに超えた、"美術に関してこんなにも熱い" 人がシアトルにおられるのは意外かもしれませんが、「シアトル美術館の日本美術品コレクションは全米で5本の指に入りますし、シアトルは外界に開いているのが魅力の1つなのです」と白原さんは言います。そうですね、一級品でありながら日本国内でもめったに公開されることもなく、さらに日本国外で公開されるのはこれが初めてという作品の数々が神戸市美術館から海を越えてはるばるやってくることに、そのシアトルのすばらしさが反映されているように感じます。
表紙になっているのはこの展覧会の紹介であちこちで見かけるようになった 『亜米利加加州港出帆之図』。幕末から明治にかけて活躍した五雲亭貞秀(ごうんてい・さだひで)という浮世絵師の手によるもので、カリフォルニア港を出る船とそれを見送る人々の様子などが臨場感たっぷりに描いているものの、白原さんによると五雲亭は実際にカリフォルニア港を見たことがあったわけではなく、それまでに見たイギリスの港の絵や日本で見た外国船を参考にしつつ、それに想像を交えて完成させたそう。それにしてもこの風のうなりまで聞こえてきそうな動きのある絵はどうでしょう。鎖国が終わって間もない時代の日本人画家がここまで好奇心と研究心を開花させていたことに、感嘆せざるを得ません。
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