■心に残った本
『17歳の軌跡』 橋口譲二
1988年に刊行された 『17歳の地図』 で、日本全国の "17歳" を訪ね歩いた著者が、10年後に元 "17歳"
たちを再訪してまとめた写真+インタビュー集。チェリストの長谷川陽子さん、俳優の工藤夕貴さんなど、いわゆる有名人も含まれていますが、基本的には "普通の人"
が率直な言葉で自分の今を語っています。結婚して子供もいる人、結婚する気はないという人、自分に満足している人、自分の存在を肯定できない人・・・生まれも育ちも現在の境遇も、自分と同じ人は1人としていないのに、すべての人にどこか共感を覚えずにはいられません。帯に書かれている「当たり前のことだが、本当にさまざまな生き方があった」という言葉が、この本のすべてを語っています。
『この国で女であるということ』 島崎今日子
雑誌 『AERA』 の "現代の肖像" に掲載された、各界で活躍する20人の日本人女性の取材ルポ。ドリカムの吉田美和、大竹しのぶ、林真理子など、『17歳の軌跡』
とは一転して、"普通を超えた人" たちの物語です。登場する女性は全員ものすごいエネルギーの持ち主で、表面的なインタビューでは聞けないような赤裸々なコメントを披露してくれます。こんな人生もあるのか、と思わず圧倒されるようなパワーを伝えてくれる本。1人だけ、生物学的には男性である坂東玉三郎が掲載されているのですが、彼のインタビューが私にとっては一番興味深いものでした。
『私小説 from left to right』 水村美苗
日本語に英語が混じるバイリンガル文という異色の構成で話題になったこの小説は、帰国子女である著者自身を投影したと思われる内容。冬の寒い日、1人になれる場所で、できれば一気に読むことを強くお勧めします。私の場合は、主人公と同じくアメリカ1人暮らし、大学の卒業プロジェクト締切り前という状況で読んだせいもあって、自分が感じていたことが言葉として表出されていることに驚いたのを覚えています。2つの文化、特に日本とアメリカに暮らしたことがある人なら、強烈に引き込まれてしまう本だと思います。
『花の手仕事―flowerworks』 丸山敬太
ファッション・デザイナー丸山敬太氏の、花をテーマとした作品を集めた写真集。「花のモチーフは自分にとってロマンティシズムのシンボル」と語っているとおり、どのページを開いても、刺繍の緻密さと色の繊細さが作り出すロマンティックなイメージに目を奪われます。忙しくて疲れた日、寝る前にこの写真集を最初から最後までゆっくり眺めると、心がほっとゆるむような気がします。
■おすすめサイト
excite Books
www.excite.co.jp/book/
単行本化されるに至った "文学賞メッタ斬り!" をはじめ、ユニークな企画がいっぱいのブック・サイト。ちなみに私は、まったく興味がなかった
『蹴りたい背中』 を、このサイトに掲載されたコラムの影響で読みました(面白かった!コラムに感謝)。インタビューもベストセラー作家が登場するわけではなく、なんとなくツウな感じのラインナップ。本好きならツボを刺激されることでしょう。
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