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第18回 割礼について (2)


割礼(かつれい:circumcision)はペニスの包皮を切り取る手術です。ほとんどの場合、大きな合併症は起こりませんが、まったく起こらないという保障はありません。

合併症として起こりうるのは、出血、長く残る痛み、感染症、尿道の潰瘍、傷口の癒着などです。そのほかにも、亀頭の部分だけでなくペニスの本体の皮を切り取ってしまう、左右不対象に攣れてしまう、亀頭組織の壊死、などがあります。こうした合併症の起こる率ははっきりしておらず、0.6%という低い推定をする人もいれば、31%という高い推定をする人もいます。どちらにしても、ペニスの癌の発症率よりも、こうした合併症の方が率が高いのは確かです。

医療雑誌を読むと、割礼の時の失敗で亀頭の一部を切り取ってしまい、その修復手術をしたという報告が何年かに1回あります。医療事故裁判を専門とする弁護士のための本にも、割礼の失敗に関する章があります。尿道から亀頭の下部に尿の通る道ができてしまって尿がもれてしまう、亀頭の下部にメスで切り込みを入れてしまって取れそうになっている、止血のために用いた薬品でペニスが焼けて短くなってしまった、などの写真が出ています。

「清潔に保つために割礼をした方が良い」と考える人たちがいます。オムツをしているような赤ちゃんの時期は、包皮が亀頭に癒着していて、亀頭がばい菌にさらされないようにできています。でも、割礼によってペニスに外科的に傷をつければ、排泄物で汚れることは当然です。また、包皮の中の恥垢がたまるのは不潔とされますが、恥垢はラノリンと同じような皮脂で、亀頭の表面を保護する役目があるのです。

最近アフリカでは、エイズを予防するために「割礼をまだ受けてない大人の男性で、清潔な手術を受けることができる人は割礼をするように」と勧められています。多人数とコンドームを使わないでセックスをする人たちの場合、割礼をしてある方がしてない場合と比べてエイズにかかる率が約半分になります。だからと言って、アメリカや日本でエイズの予防のために割礼をすることは意味がありません。アメリカのエイズ専門病棟の医師が、「自分のエイズ病棟の患者のほぼ100%が割礼を受けた人たちです。エイズ予防には割礼がまったく役に立たなかったという証拠です」と言っています。エイズ予防には、危ないセックスをしないことや、確実に安全とわかるまでは、コンドームを必ず着用することが大切で、割礼を予防と考えてはいけません。

割礼をするとエイズに感染しにくくなるのは、本来粘膜であるべき亀頭の表面が乾燥して硬くなるためです。逆に言えば、割礼をしてある亀頭は、包皮で保護されていないので細かい傷がつきやすく、硬くなって、感覚も鈍くなります。つい最近発表された研究では、割礼をしてあるペニスとしていないペニスでの感覚の相違を実験したところ、割礼をしてない方が4倍も敏感に感じることがわかっています。大人になってから割礼をした人たちの研究では、勃起しにくくなった、感覚が鈍った、という結果が出ています。

アメリカの白人たちの間では、いまだに割礼をする人が多くいます。「アメリカで産まれたら割礼をするものだ」と思い込んでいる人もいるでしょう。また、医療従事者たちも割礼を受けている人が多いので、「割礼はした方が良い」というアドバイスを受ける可能性があります。男の子に割礼をするかしないかは、それぞれの家族の選択ですが、なぜしなければいけないのかをよく考えてから結論を出してもらいたいと思います。


(2007年4月)
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