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第1回 : 避妊ピル


避妊ピルは、日本でも最近認可され、手に入るようになったようですが、まだ、一般の方の知識は限られているようです。この稿では、ピルの利点、欠点、基本的な使い方、あまり知られていないピルの効用、などについて説明してみたいと思います。日本では「避妊法にはコンドームを使っています」という人が多いのですが、これは、実は、「避妊法にはコンドームを使い、失敗したら中絶をしています。」ということなのです。コンドーム、ペッサリー(Diagphragm)、スポンジなどはかなり失敗率が高く、1年以内に妊娠してしまう可能性が10%から40%にものぼります。ピルも完璧ではありませんが、忘れずに飲んでいれば失敗率は1%以下です。

ピルの副作用がこわいから飲まないという話しも良く聞きます。ピルの副作用で一番危険なのは血栓症なのですが、その危険性は妊娠した時の方が高い(およそ2倍)のです。したがって失敗率の少ないピルを飲むことによって妊娠を防げば、結果的に血栓症をある程度防ぐことになるのです。

ピルは太るからいやだという人もいます。確かにピルを飲んで太る人もいます。ただし逆にやせる人もいて、平均すると体重は変りません。また、太る副作用の出た人は違う種類のピルに代えることによって問題が解決する場合も多いので、簡単にあきらめないで下さい。

吐き気がしていやだから止めたという人もいます。こういう場合はピルを朝飲むよりも、夕御飯の後に飲むと吐き気が起こりにくくなります。吐き気はピルを飲み始めた最初の2、3ヵ月に多い副作用で、次第に身体が慣れて吐き気を感じなくなるものです。また、これまで日本で使われていたピルは病気の治療用に女性ホルモンの含有量が高いものだったのでこうした副作用を経験した人も多いのですが、現在アメリカや日本で使われている低容量のピルにはこの副作用が少なくなっています。ピルを飲むと望まない妊娠を防ぐことができるだけでなく、健康上の利点が数多くあります。
  • 生理痛に毎月悩まされる人はピルを飲むことによってうそのように楽になります.
  • ハネムーン、旅行など都合の悪い時に生理にならないよう、ピルで生理のタイミングを変えることもできます。
  • 生理の量が多くて貧血になりがちの人もピルを飲むと生理が軽くなり、貧血が改善されます。
  • PMSや、生理の度に偏頭痛のある人は生理の回数を減らしてこうした症状が出るのを防ぐことができます。
  • ピルを飲んでいることによって増える癌もまれにあるのですが、ピルを飲んでいると格段に子宮や卵巣のガンが減ります。
  • ひどいニキビ、毛深い、など、男性ホルモンの影響の強い人はピルを飲むことによって症状が軽減されます。
ピルの処方を注意しなければいけない人たちもいます。煙草を吸う人は血栓症が多くなるので、女性ホルモンの入ったピルは奨められません。プロジェスティンというホルモンだけが入ったピル(ミニピル)なら大丈夫です。更年期にさしかかった人も血栓症ができやすくなってきているので、女性ホルモンの量が特に少ないピルを使います。母乳を与えている人は普通のピルは母乳の量に影響するため、ミニピルにします。

どうしてもホルモンは身体に合わないという人も中にはいます。いろいろ調整してみても副作用が強い場合や、ホルモンはどうしても避けたいという人には他の方法について相談してみて下さい。

ピルを処方してもらうためには普通、婦人科の定期検診を受けなければいけません。緊急に避妊が必要なのに検診の時間が取れない時は特別に1ヵ月分だけ検診をせずに処方することもあります。

ピルの処方を受けたら、基本的には毎日1錠ずつ飲みます。朝なり、夕方なり、決まった時間を決めて忘れないよう毎日飲みます。ピルにはホルモンの入ったものが21日間分、擬薬が7日分入っているのが普通です。ホルモンの入ったピルを飲み終り、擬薬を飲んでいる間に生理が来ます。

ピルは毎日飲んでこそ効果があります。1回だけ飲み忘れたら、気が付いた時にすぐ忘れた分を飲み、予定通りの時間に次のピルを飲みます。(気が付いた時が次の日だったら、2錠一緒に飲みます。)もし、2日間飲み忘れたら、気が付いた時にすぐ2錠飲み、さらにその次の日に2錠飲むと予定に追い付きます。ただし、その間にセックスをした場合は妊娠をする可能性があるので、クリニックに連絡して、いつものピルとは別に事後ピルを飲んだほうが良いかどうか確認しましょう。2日抜かすとピルの効力が少し落ちているので、その後7日間はコンドームを併用しましょう。3日抜かしたら、もう効力はありません。セックスをしたら事後ピルをもらい、残りのピルはあきらめてコンドームを使い、生理が来たら次の箱のピルを新しく始めましょう。(ただし、擬薬を飲んでいる時は抜かしても効力に関係がありません。)

ピルの値段は種類や薬局によって違います。一番安いのが1ヵ月15ドル程度、高いものは30ドル程度のようです。保険は効かないのが普通です。ただし、生理痛がひどいとか、偏頭痛の治療に使う場合は保険が効く場合もあります。

非常にまれですが、副作用の血栓症ができると深刻な問題です。症状としては急にひどい頭痛がしたり、胸に痛みがあり呼吸が困難になる、お腹が急にひどく痛むなどがあります。このような症状が出たら処方してくれたクリニックにすぐに連絡し、連絡がつかない時は近くの救急室に行きましょう。

現在ピルを使っていない人でも、コンドームが破れた、うっかり避妊をしなかったという場合は、生理が来るのをドキドキしながら待つよりも、すぐにクリニックに連絡して下さい。事後ピルを72時間以内に使うことによって妊娠の可能性を低くすることができます。

(2001年1月)
妊娠が難しい時 第3回 クロミド・チャレンジ検査
妊娠が難しい時 第2回 自宅でできる不妊症検査
妊娠が難しい時 第1回 不妊症専門医にかかるタイミング

アメリカでの出産を考えている女性のために 第3回 妊娠・出産に備えて(3)
アメリカでの出産を考えている女性のために 第2回 妊娠・出産に備えて(2)
アメリカでの出産を考えている女性のために 第1回 妊娠・出産に備えて(1)

新しい避妊法のいろいろ 第4回 価格比較と診察の必要性
新しい避妊法のいろいろ 第3回 オーソ・エブラ、ニュバリング、ミレナ
新しい避妊法のいろいろ 第2回 ピルの復習
新しい避妊法のいろいろ 第1回 最近許可された避妊法とその他の避妊法

若い女性のために 第3回 多のう胞性卵巣症(Polycystic Ovary Syndrome)
若い女性のために 第2回 生理
若い女性のために 第1回 思春期から20代までの心と身体の変化

赤ちゃんの健康のために 第5回 母乳と黄疸
赤ちゃんの健康のために 第4回 割礼について (2)
赤ちゃんの健康のために 第3回 割礼について (1)
赤ちゃんの健康のために 第2回 ペットと赤ちゃん (2)
赤ちゃんの健康のために 第1回 ペットと赤ちゃん (1)

第14回 レイプの被害にあったら
第13回 子供のいるお産(3)
第12回 子供のいるお産(2)
第11回 子供のいるお産(1)
第10回 いざ、お産
第 9回 妊娠後期の不快症状
第 8回 妊娠中の体重管理
第 7回 妊娠初期の心配ごと
第 6回 赤ちゃんを作ろう
第 5回 ルネル(Lunelle)避妊注射
第 4回 中絶ピル
第 3回 ミニピル
第 2回 事後ピル
第 1回 避妊ピル
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