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「せっかくアメリカに留学したのだから、できるならアメリカで就職をしたい」と願う留学生の方は少なくないと思います。
しかしながら、現在、外国人労働者がアメリカで働くことは、簡単なことではありません。アメリカでの労働に必要なビザではH-1Bビザが一般的ですが、9・11事件以降、このビザの発行数は当時の3分の1近くの65,000件に制限され、取得が難しくなっています。さらに、このビザの取得には、取得をサポートしてくれる企業、すなわち雇用を確約してくれる企業が必要なわけですが、ビザをサポートする必要のないアメリカ人でもエントリー・レベルの就職は簡単ではないこの国で、ビザをサポートしてまでもエントリー・レベルの留学生を採用したいという企業を見つけることは非常に困難だと言えるでしょう。実際に、これまでアメリカで就職をしたいとがんばっていた留学生を何人も見てきましたが、エンジニアやアカウンタントなど一部の学部の卒業者を除けば、ほとんどの留学生はアメリカでの就職先が見つからず、日本へ帰国していきました。
一方、日本では昔から、新卒採用が定期的に行われていますが、今年は、日本の景気の回復、また2007年問題(団塊世代の定年退職によって、社員が大幅に減ること)などが理由で、日本での新卒採用の状況はバブル期以降の売り手市場だと言われています。新卒の可能性に賭け、大事に育てていくという日本企業の傾向は、今なお日本社会の中に根付いています。新卒であれば、日本での就職はアメリカで就職するよりは選択肢が多く、一般的に易しいと言えるかもしれません。
アメリカで働きたいという夢の実現のためにがんばっておられる留学生の方を見ると、その努力に感心し、夢が叶うことを願います。しかし、アメリカでの就職は、日本での就職に比べ何倍も難しいというのが現実ですから、アメリカでの就職と同時に、日本での就職のことも考えてみる必要があると思います。
アメリカで働きたいという理由は、英語、または外国と携わっていたい、アメリカに住んでいたい、さまざまだと思いますが、日本企業もグローバル化が進み、日本で就職したとしても、海外に関わったり、英語を使ったりする機会は少なくありませんし、将来アメリカに赴任の可能性もあるかもしれませんから、皆さんが留学で培ってこられたものを生かせる場は日本企業にも大いにあると言えます。
留学生の皆さんは「アメリカで就職する」「日本で就職する」という2つの選択肢をせっかく持っていらっしゃるのですから、よく比較して、良い選択をしていただきたいと思います。
(2005年12月) |