第5回 : 条件項目
今月は、家の売買における契約の中で、非常に大切な条件項目についてお話したいと思います。
家が見つかり、オファーを 提出する時に、すべての条件をはっきりと述べなければなりません。指定された条件が、後になって新たな条件を生むことはたびたびありますが、それ以外に後になってまったく新しい条件項目を付け加えるということはそれが両者に取ってよっぽど得になることでなければ難しいからです。
たとえば、契約が結ばれた後に買い手が「売り手はカーペットのスチーム・クリーニングをやってくれるんでしょうね」というような質問をすることがありますが、カーペットのスチーム・クリーニングは売り手の義務ではありませんし、契約書にも買い手が条項目としてあらかじめ売り手の合意を得なければ、まずありえません。条件の内容は基本的にはどんなことでも合意すれば良いことですが、一般の場合、条件項目に入るのは2つです。1つは
ローンを組む条件項目で、これを "Financing Addendum" と言い、内容は、「買い手は誠意を持ってローンを組むようにするが、万が一何かの理由で組めない場合は契約は解消となり、払った誠意金(Earnest
Money)は買い手に返金される」というものです。2つ目は、家の検査条件(Building Inspection Addendum)でオファーが合意されてから1週間から10日以内にプロの家屋検査官を入れることです。この結果により、買い手は家の欠陥修理を売り手に要求でき、その要求項目が受け付けられない場合は契約を解消し、誠意金は買い手に戻ります。しかし時々、検査もすべてしてから決算を済ませ、いざ家に引越しをするとその夜にガレージにある温水器から錆の入った水がもれて温水器が壊れたとか、皿洗い機が壊れていたということも
あります。点検でたまたま出てこなかった欠陥が後で起きても、売り手にその修理や損害を要求することは大変難しいことです。たとえ売り手がその欠陥を知っていて明らかに隠していたと思われる節があっても、それを
証明し、さらにそれを当局に訴える時間や弁護士費用を考えると、買い手がそのままで受け入れることが多いでしょう。
過去の経験で、キッチンのビニールの床が少しはがれていたのですが、そこにラグが置いてあり、売り手も言わず、点検でもわからず、買い手が引越しして初めてそのラグを動かして気がついたということもありました。損失になる金額が
$5,000以内の場合には、裁判所での訴訟でなく、その前の "arbituration" という聴解人の検査と判断で扱われますが、床をやり直して$400としても、裁判所に行って、用紙をもらい、それにこと細かに記入し、さらにそれを弁護士に相談したりすると、時間的にも金銭的にも合わないことですから、買い手はやむなく
あきらめました。売り手に抗議書を出しましたが 何の返事もありませんでした。こんなことはまずありませんが、ありえないことでもないのです。つい先月にも、私が日本に帰国なされた持ち主に変わって売った家で、新しい買い手が引越しをしたその次の日に買い手側のエージェントから電話があり、湯沸かし器から水が漏れたので、確かに決算は終わったがなんとかならないかと質問が来ました。可哀相ですが、答えは「どうにもなりません」でした。
条件にはいろいろあり、決算日までに古くなった屋根を新しくするとか、季節がたまたま合わないために引越しが終わって2ヶ月後に子供の記念に植えた植木を取りにこさせて欲しいなどです。最近は対策ができましたが、つい最近までは決算後、売り手はたいていの場合、引越しのため3日間にわたり家の居住権を維持しますが、その間になにか家に起きた場合、誰が責任があるかという問題が出てきます。決算をすると、売り手は家の持ち主ではないので、その時点から家の保険は解約せざるをえません。しかし、もし3日の引越しのために家を保持する場合は、なんの保証もなく家を使用するため、損害が出た場合は例え新しい持ち主が保険を持っていても、それを使うことは納得がいかないわけです。こんな頭の痛いことも、経験の豊かな不動産業者を持つことによって避けられます。
(この内容は2001年5月に掲載され、2005年3月に更新されました) |