第2回 : 家を選ぶ際の注意点と売買について
今回は家を選ぶ際の注意点と売買に重点を置きたいと思います。
第1回ではアメリカの住宅は日本と比べてずっと長持ちするということをお話しました。皆さんもご存知のように、シアトルは雨が多く、家にとって良い気候とは決して言えません。それでも家が長持ちする理由としては、構造的な点がいくつか挙げられます。おおまかに言うと、ペンキなどで保護されない資材は、水から完全に隔離され、通気のみを十分に取り入れる構造になっているのです。このことは屋根裏だけでなく、床下の構造にもあてはまります。
■アメリカの家:床下の構造
木は、水に濡れたり極度な湿気を含む状態が繰り返し長く続くことで腐ってしまいます。この腐敗を防ぐため、通常の1〜2階建ての家はセメントの基礎の上に直接施工される土台部分の木材と地面を約1mから1.5m離します。また、地面の上には約0.03mmの
"Visqueen"(ビスクイーン)、あるいは "Vapor barrier"(ベイパーバリヤー)と呼ばれるビニールを張り、地面から上がってくる湿気を遮ります。簡単な施工ですが、家を何10年と持たせるための秘訣です。構造上、床下のない家、つまり
"Split Level"(スプリット・レベル)や "Daylight Rambler"(デイライト・ランブラー)と呼ばれるスタイルの家は耐水施工をし、そこに床になるコンクリートを直接打ちます。これが一般にスラブ・コンクリートと呼ばれるものです。基本的な構造を知っておくことは、家の健康維持には欠かせません。
■築年数と流行
維持さえすれば、何十年も品質の変わらない家はたくさんあります。実際に、築35年の物件の方が築25年の物件よりも維持が良く、はるかに魅力があることも多いものです。私の目から見て、築年数が気になるのは構造上の問題ではなく、むしろ間取りだと思います。衣類に流行があるように、住宅にも時代の生活様式に従った流行(変化)があります。まず、一般生活水準が上がるに伴い、衣類の数が多くなり、それを収納するクロゼットが圧倒的に大きくなっています。築約15年ぐらいの物件からこの傾向が見られます。
第2に、リビングルームの広さが比較的小さくなっている代わりに、ファミリールームが大きくなっています。家族が一緒に過ごす場所が、昔に比べて重要視されてきたのでしょう。通常の2階建ての家においては、ファミリールームがキッチンへとつながっている間取りが最近圧倒的に人気を呼んでいます。食事を作るところと食べるところ、そしてくつろぐところが毎日の生活では80%以上を占めるでしょうから、そういったフロア・プランは必然的なものです。考えてみても、来客をリビングルームに通して時間を過ごすというのは稀なことです。
第3に、マスターベッドルームのお風呂があります。昔の建物はかなり高級な家もシャワーとトイレだけでしたが、最近はトイレの他に、大きなタブとシャワーが別にあります。これも、生活水準が上昇すると共に、バスルームが、単に身体を洗う場所ではなく、リラックスする場所へと変わってきたためだと思われます。
■不動産の購入について
それでは続いて、不動産購入はどのような手続きで行われるのかご説明しましょう。売買に携わる業者とは、不動産エージェントはもちろん、ローン会社、タイトルカンパニー(登録保険会社)そしてエスクロー会社です。不動産エージェントは、"Buyer"(バイヤー)
のために家を紹介し、ローンから "Closing"(決算)までの、おおよそのことを説明します。ローンのことに関しても、経験の深いエージェントなら詳しく説明できますし、馴れ合いではなく、信頼のおけるローン会社を紹介してくれるはずです。バイヤーにとって、このローンを理解することは大変に重要なことですので、ローンのタイプや手続きに必要な書類に関してわからないことがある場合は、とことん質問をして理解することが大切です。現在では日本人のローン・オフィサーもいますので、納得が行くまで説明を聞いてください。しかし、最近は外国人に対して大変寛容なローンの種類が増えている一方で、言葉が不自由な事を利用していろいろな形で余分に手数料を請求する業者も数多く、社会問題になっています。こういった
"Predatory Lending"(プレダトリー・レンディング)がどういったことか、不動産業者に説明を受けることも大切でしょう。
不動産売買の仕組みについて、図に表しましたのでご覧ください。

■不動産の売買について
一般に不動産の売買には、2種類の不動産業者が関わります。
- Listing Agent (リスティング・エージェント)
この不動産業者は、売り手のために物件を市場に出し、手続きのサポートを行います。
- Selling Agent (セリング・エージェント)
この不動産業者は、買い手のために物件を探し、オファー(契約書) を作成し、リスティング・エージェントを通して売り手との交渉にあたります。
この2種類、あるいは2社が同じ会社ということもありえます。一般的に、手数料(コミッション)は売り手が支払い、リスティング・エージェントとセリング・エージェントが50%ずつ受け取ります。
- 買い手の支出
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- 不動産物件購入時の頭金
- ローンの貸し付けに携わる手数料(価格鑑定費も含む)約ローンの3.3%(例)ローンの手数料、エスクロー費の半額、登録保険、ローン保険(頭金が20%以内の場合)、火災保険
- 約$350〜$450の "House Inspection Cost"(物件調査)
売り手の支出
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- 不動産手数料(コミッション)価格の約6%
- 登録保険(例えば$200,000$〜$280,000の家に対し$770〜$888)
- ワシントン州の不動産売買税(価格の1.78%)
- エスクロー費の半額(例えば$200,000$〜280,000の家に対し$500〜$550)ここまでの合計が約売り値の8%程度。
- 売り手がアメリカの市民権を持たず、次の家を購入しない場合は、売り価格が$300,000以上の場合はその10%がエスクローを通し合衆国に自動的に税金の保証金として預けられることがあります。年末の収入税決算報告時に清算し、差額あるいは全額が戻ります。この場合収入税の対象は、売り値と買い値の差額になります。それに携わる管理費などは税金控除になります。
その他物件に関し未払いのもの(不動産税、ローンの差額など)は、全てエスクローから直接クロージング(決算日)に支払われます。
※参考資料:米国勤務終了後帰国する際に必要な税務処理及び類意事項(プライス・ウォーターハウス)
(この内容は2001年2月に掲載され、2005年3月に更新されました) |