第11回 : 2007年不動産経済展望 2006年度も一軒家とコンドミニアム(タウンハウスを含む)の価格上昇率が2桁台に乗りました。しかし、2005年度とは多少異なるところは、インベントリー(売り物件数)の増加や物件売却時間の延長が見られ、売り手が一方的に有利だった市場が多少買い手寄りになった感があります。この状況はピュージェット湾沿岸地域の不動産市場がバランスのとれた状態に多少でも移行している現れと言えるでしょう。
1月20日付けでシアトル・キング郡不動産協会が発行した 『NWReporter』 によりますと、シアトル地域の12月の売り物件数は前年を多少上回ったものの、売却数は減少しました。それにも関わらず、キング郡では一軒家の中間値価格は2005年の同期に比べ12%上昇し、39万3千ドルから44万ドルになりました。注目すべきはキング郡にあるコンドミニアムの中間値が22%も上昇し、22万3千ドルから27万ドルになったことです。キング郡での一家族中間収入額は64,940ドルであり、それから計算すると購入できる物件価格は一般に25万6千ドルまでで、一軒家よりコンドミニアムやタウンハウスの購入者が増えるのは極自然な流れと言えるでしょう。経済の研究を行っているガードナー・ジョンソン社のマシュー・ウーガードナー氏は、これだけの上昇率が実現したことには、ピュージェット湾沿岸地域の地元経済の活性化、住宅ローンの低利子、モーゲージ(住宅ローン)・プログラムの多種多様化、人口の増加が関係していると報告しています。今年も所得上昇率と物件価格上昇率はギャップが開いていく一方で、2007年度も不動産物件の購入はファーストタイム・バイヤーには厳しいと言えそうです。
ここピュージェット湾沿岸地域の失業率は2002年の半ばから低下し続け、2006年12月には4.2%まで低下しました。2007年もこの状態が続くと予想されます。その背景には地域のハイテク企業、ボーイング社、地元小売産業の好調があります。また、前述の低利子の影響も注目に値します。2000年代の平均は6.5%ですが、1980年代の30年固定利子平均13%や1990年代の平均8%と比べると、アメリカの歴史上で最も低い数字と言えます。2007年の30年固定利子は6.1%前後になるだろうとガードナー氏は予想していますが、低利子が続くことにより不動産を購入できる人口が増えていると言えます。今月に入って利子は既に5%台の変動を見せており、さらに、他州から移動する人や移民の買い手人口も増加しています。
今年の一軒家の価格は去年のように2桁の上昇率は望めないかも知れませんが、カリフォル二ア、ネバダ、アリゾナ、フロリダのように値段が下落することはありません。私が2006年1月にこのサイトにに掲載したコラムを再読していただければと思います。ベビーブーマーによる不動産投資は衰えず、ユニークなピュージェット湾沿岸地域の地形、自然保護に関連する政治的背景では、住宅事情の緩和を示唆する要素が見えません。つまり、従来の上昇率を期待できないまでも下落は考えられず、低金利を利用して、物件を購入しキャピタルゲインを得るのが賢明だと言えます。
(2007年1月) |