第10回 : 2006年 不動産経済展望
2005年は1年を通して一般不動産家屋の価格急騰が注目を浴び、一部の人々はバブル崩壊が来るのではという懸念を隠せませんでしたが、皆さんもうご存知のようにバブル崩壊は来ず、不動産家屋の値段はまだ上昇を見せています。しかし、この異常なほどの価格急騰は、2006年も続くのでしょうか?
12月31日の Seattle Times / Real Estate を参考にすると、12月だけを比べても絶対販売数こそ多少減少しましたが、家の在庫減少のおかげで驚くべき価格上昇を見せました。その販売数減少すら、2004年の12月に続き記録的とされています。不動産専門家にもこの盛んな市場は減速しているようには見られないようです。MLS によるとキング郡の家屋の価格中間値は$393,000、コンドミニアムで$229,900になり、去年の12月に比べ17%上昇しました。2006年の家屋の販売率は2005年に比べ少し落ちると予想されますが、それでも史上2番目、または3番目の販売記録となるでしょう。
John L. Scott 社の社長、レノックス・スコット氏は次のようにコメントしています。「全国不動産協会によると、不動産マーケットが不振で3.5%落ちたとしても、2006年に次いで記録的になると予想されています。さらに、雇用数の増加や少ない新築物件が市場を強くするようです。市場に出る家の数は増えると予測されていますが、それでも環境の良い地域での比較的安価に設定された家は複数のオファーが入り、価格競争が起こるでしょう」。
また、コンドミニアム市場は、Seattle's ek Real Estate Group のエドワード・クリングスマン氏の予想では 一軒家の高騰とコンドミニアムに住むライフスタイルを好む人たちが増加しているという2つの理由から、市場はさらに上向きとなっています。今年は2,000軒から3,000軒のコンドミニアムが、キング郡の市場に出ると予測されています。
MLS のデータから言うと 2004年の11月と2005年の11月では、イーストサイドでの不動産価格が24.8%の上昇率を出しました。なお、前述したように、キング郡という広い範囲を見ると、その価格上昇は多少低くなります。
この飛躍的な価格上昇の理由はいったい何でしょうか?第1の理由は、年々厳しくなっている住宅開発の厳しさによる土地高騰です。自然保護の中でも特に今までに気が付かなかった自然の水の保護です。水の保護は水全体のサイクル法則、水質管理、そして、湿地や小川などが間接的に身近な生物に与える影響を考慮したものですが、これが土地の値段と開発のコストを上げ、不動産の価格を上げています。昔は見かけなかった大きな池が最近の開発住宅/コンドミニアム地に見られるのも その制約の一環です。この傾向は将来さらに厳しくなるもので バブルとは一切関係のない現象です。
第2に考えられる理由は、第2次世界大戦終了後から1961年までのいわゆる "ベビー・ブーム" です。このグループは現在、上は約60才、下は約44才。経済的にも安定し、しかもまだ投資意欲に燃えている年代で、一般の人々の経済力が増加したことによって、アメリカ史上以前には見られなかった記録的な数で2軒目、3軒目の投資物件を購入しています。2004年のリファイナンスの40%以上が投資目的で行われているのは偶然ではありません。そして、この年代の子供たちが、"ジェネレーション X" と呼ばれる、1961年から1981年に生まれている人達です。つまり、約24才から43才のグループの人達は同じ年代以外にその一代前の人達とも競争をして不動産を購入しなければいけないわけです。前代のために物件の需要が増え、アメリカン・ドリームが自分たちの親の代のために遠くなっているのも皮肉なものです。
第3に、9/11以来、住宅ローンの利子がアメリカ史上最低になったことです。付け加えて1980年以来のキング郡成長率データ(2005 King County Annual Growth Report)を参考にしてください。1980年の12.36%以来、利子は下がり続けています。イラク戦争やテロへの不安、そして中近東の政治不安からなる石油の価格不安定などから、一度上がり始めた利子も現在6%あたりで落ち着いています。これに加えて、住宅ローンがこの5〜6年で非常に寛容になっていることも挙げられます。頭金なしの購入や、変動利子の多種化、ローン申請者の財政証明なしの手続きなどが購入者の増加の要因となっています。駐在員も含め外国人の一時住民や永久移民に対しての民主化が進み、それがローンの寛容さに反映をして、住宅需要が増えています。実際に2004年にキング郡で記録された住宅購入者の中でもっとも多かったファミリー・ネームは、ベトナム人の名前 "Nguyen" です。
もちろん、これ以外にも理由はいくつかあります。例えば、ベビー・ブームの間接的な影響ですが、その年代の離婚に関して、最近では女性の職業上の平等化から経済的な安定が強まり、再婚が少なくなっています。そのため、住宅需要率はさらに増えることになりました。また、ワシントン州の経済安定、ポール・アレン氏やゲイツ基金が支援するグローバル・スケールのバイオ・テック推進計画が、キング郡の人口増加にさらに拍車をかけています。これらの観点からも、現在の不動産価格上昇が単に短期間のバブル形体ではないというのが、私の意見です。何人もの専門家が言っているように、2005年ほどの価格上昇率はそれほど望めないかも知れませんが、所得上昇率が追いつくような範囲ではないため、物件取得の難しさは今後も続きそうです。
(2006年1月) |