第1回
: アメリカの不動産事情
■日米間の違い
日本とアメリカにおける不動産事情には、大小さまざまな違いがあります。特に、不動産に対する考え方は、根本的な部分で大きな違いが見られます。
一般的に、アメリカ人は購入した不動産を永久的な所有物と考えない傾向にあります。例えば、独身で小さな家を購入し、結婚すると夫婦で少し大きめの家へ移ります。そして、子供ができるとさらに大きな家へと移り、経済的に豊かになった40代では、高額であっても良い地域や質の高い家を選びます。そして、子供が独立した後は、維持が簡単なコンドミニアム(日本でいうマンション)または小さな家へ移ります。まるで遊牧民族のようですね。特に、アメリカ国内でも進歩的とされる西海岸では、日本のように、購入した物件を次の世代に残したり、死ぬまで1軒の同じ家に住んだりというケースはあまり見られません。
■ワシントン州の不動産事情
ワシントン州で、同じ物件が売買される回数は平均5〜6年に1回です。このことからも、一般的に、アメリカ人は不動産に関する深い知識を持っていることがわかります。また、それと同時に、法的な問題やもめ事も数多く起こるため、地方自治体や州では、そういった事柄に対処するための行政ガイドや法律を細部に渡って確立しています。ちなみに、ワシントン州における不動産関連の訴訟の数は、全米でトップ5に入っています。
■購入について
最近は、日本から5〜6年間の駐在で来られる方でも、家を購入する方が増えています。これは、賃貸より居心地が良いだけでなく、10%程度の頭金が用意できれば、毎月の支払いが賃貸とあまり変わらない上に、将来売却した時の合計利潤が賃貸よりもずっと良いからです。
■売却について
ここでよく聞かれるのは、「何年後かに家を売る時、すぐに売れるのか?」という質問です。購入する際、地域の平均価格で購入をすれば、売る回転率は思ったよりも早いはずです。バブルの時期を除き、今の市場は過去10年以上も安定しています。ですから、例えばイーストサイドの物件を平均価格の$320,000〜$350,000ぐらいで購入した場合、理論的には2ヶ月から2ヶ月半で売却から清算まで完了することができます。
■物件の選び方
また、購入時にどのような物件を選ぶかによっても、売却の早さは大きく変わってきます。つまり、一般の人が購入したがるような物件を選ぶことが大事です。もちろん、ご自分の家族がその物件を気に入ることも大事ですが、あまりにもデザインや間取りが個性的すぎたり、交通量の多い通りに面していたり、高圧線に沿っていたりすると、売却に時間がかかる原因となります。
■居住区域の選び方
前任の日本人から、住んでいた地区の学校区や近所について他の地区よりもよく聞いたため、その地区に固執して不動産を求める方が多いようです。しかし、住めば都というもので、人は自分の居住地区について良いことを話すものです。通常、信用のおける不動産業者なら、その土地に4〜5年住んでいる日本人よりも事実に通じていますから、購入する家の選択範囲を狭い地域に抑えるよりも、広い地域にわたってさまざまな人の経験を聞き、地域の選択をすれば、将来売りやすい物件を探すことにも役立つでしょう。
■築年数について
また、よくお客様がお尋ねになられるのが、家の築年数についてです。アメリカでは、日本のように築後15〜20年で家を取り壊してまた新しく建て直すということは非常にまれです。これは、主に土地の値段が比較的安いことが原因です。新築して売却しようとしても、周りの環境や家の並びがそれほど向上していないため、全体的な値段が上がらず、建て直したことで出てくるはずの利益を得ることができません。ですから、海や湖の水辺に建っているなど、明らかに土地自体にプレミアムがついているものだけが、建て直しの対象となるのです。また、土地の価格以外で建て直しをしない理由としては、アメリカの家は日本の家と比べてずっと長持ちするということでしょう。現在シアトル近辺では30〜70年、それよりも前の年代に建てられた家が売買されています。イーストサイドでも、ベルビュー近辺では30〜40年ものの物件が増えてきました。家というものは、維持さえきちんとしていれば、何10年にも渡ってその良さを保つことができます。実際、築後35年の物件でも、維持をきちんと行い、インテリアなどをモダンにしていれば、築後25年の物件よりも魅力的、ということもしばしばあります。ですから、築年数よりも、前の持ち主がどのぐらい手入れをしていたかが家の価値に大きく影響するのです。
(2001年1月) |