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アメリカでの出産を考えている女性のために 第3回 妊娠・出産に備えて(3)

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ナースプラクティショナー・助産師・看護学博士
押尾 祥子さん

Sachiko Oshio, CNM, PhD, ARNP

Nadeshiko Women’s Clinic

【メール】 info@nadeshikoclinic.com
【公式サイト】 www.nadeshikoclinic.com
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妊娠にまつわる体の仕組み

男女ともすべて正常で、タイミングがあっていたとしても、その月に妊娠する確率は25%程度です。最近は不妊症が増えており、その背景には、男性の精子の数の減少と女性の高齢化があります。

妊娠しようと思ったら、基礎体温を計り、頸管粘液をチェックし、排卵予測キット(ovulation predictor)を使って、排卵日を見るようにしましょう

妊娠初期の注意点

タバコと飲酒はやめましょう。薬を服用している場合は、必ずかかりつけの医師に妊娠への影響を確認しましょう。

通常は妊娠後12週まで検査の予約をしない場合が多いのですが、なでしこクリニックでは初期の流産などの可能性も考え、できるだけ早く予約をしていただいています。妊娠初期の流産は意外に多いものです。「もう少ししたらどこかの産科にかかろう」と思っているうちに出血や痛みが始まったりすると、救急室しか行くところがなく、とても怖い思いをしたりする場合があります。また、妊娠が判明するかしないかという最も初期に、胎児の主な臓器はすべてできてしまうので、その時期の健康管理はとても大切です。なでしこクリニックでは、妊娠が判明したら、できるだけ早い時期に予約をしていただいています。あらかじめ妊娠前や、妊娠判明後すぐに受診していただくと、妊娠初期の大切な時期の注意事項や、流産になってしまった場合の対処法についての話をしておくことができますし、緊急事態が起こった場合は夜中でも相談することができる上、救急室に付き添ったりすることもあります。なお、こういった流産の原因のほとんどは染色体異常で、妊婦が旅行したからとか、重いものを持ったから、ということは関係ありません。

妊娠初期はつわりも辛く、不安の多い時期です。水分摂取ができなくなるほどひどいつわりの場合は薬を使用します。

ダウン症などの染色体異常、および、脊椎分裂症や無脳症などの奇形を調べるために、希望者は出生前検査を受けることができます。血液検査だけのトリプル・スクリーン、あるいはクオド・スクリーンや、超音波と組み合わせるコンバインド・スクリーン、あるいはインテグレイテド・スクリーンなどがあります。スクリーニング検査は、血液や超音波で得られた数値をコンピュータ平均値とくらべて異常の確率が高いか低いかというリスク率を計算するだけなので、確定ではありません。また、正規分布の端の数%を異常とみなすので、10人から20人に1人ぐらいは、異常だと言われます。実際はダウン症などは200から300人に1人程度のまれな異常なので、スクリーニングテストで異常といわれた人のほとんどは実際は正常なことが多いのです。 ダウン症があるかどうかを確定するためには、羊水突刺や絨毛採取法を行う必要があります。これらは、子宮に針を刺すので、感染症・出血・破水などの合併症によって流産になってしまう危険性が0.5%ほどあります。

また、超音波検査で予定日を算出する際、検査をする時期があまり早いと胎児が小さく、誤差が出やすくなります。また、心拍が確実に見えるのは7週を過ぎてからなので、5週や6週目で超音波検査をしても、この妊娠が正しく継続していくかどうかの判断ができません。

アメリカと日本の医療の違い

アメリカと日本では、医療にもさまざまな違いがあります。以下の点での違いを確認しておきましょう。

1)医師と助産師の役割
2)病院と外来
3)保険の違い
4)超音波の回数
5)入院日数
6)立ち会いの自由さ
7)体重制限の差

不妊症かな、と思ったら

基本的な体の仕組みをよく理解しましょう。35歳以下なら、1年ほどタイミングを合わせて性交し、また、サプリメントやヨガ、鍼などを試しながら待ってみましょう。35歳以上なら、同じようにして6ヶ月待ってみても妊娠しない場合は、医師に相談してみましょう。不妊症かどうかの基本的な検査は、一般医で行うことができます。この基本的な検査には、基礎体温、卵管通気検査、精液検査、血液検査が含まれています。

また、体外受精も非常に進歩してきているので、昔よりも身近なオプションとして検討してみてもよいでしょう。

(2005年11月)

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