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第2回 子どもをバイリンガルに育てるには

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ベルビュー・チルドレンズ・アカデミー
清水 楡華(しみず ゆか)さん

14640 NE 24th Street
Bellevue, WA 98007
【電話】 (425) 785-8032
【公式サイト】 ベルビュー・チルドレンズ・アカデミー土曜学校
バイリンガル幼稚園BCA 現地校(英語サイト)
Willows Preparatory School ミドルスクール現地校(英語サイト)
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バイリンガル教育が国内でも国外でも盛んですが、何をもってバイリンガルと言うのかはとても曖昧です。

日本人としてのバイリンガル。またはアメリカ人としてのバイリンガル。アメリカ人という言葉さえおかしく聞こえます。日本は歴史上どの国からも支配されたことがないため、独自の文化、単一言語・民族からなり、他の国とは大きく違います。

子供たちには、日本人としてのアイデンティティと常識を持ち、自分がどういう文化のもとに育ち、どういういうコミュニケーションをしていくのかをしっかり把握できる教育環境、生活環境を与えてあげたく思います。自分をよく知り、自分のアイデンティティをしっかり持って、日本という国の国柄を誇りに、国際社会に羽ばたいてほしく思います。

いろいろな国のことを知って初めて日本のこともよく見えてきます。それは、他文化の中で生活しているバイリンガルの子供たちの大きな利点ではないでしょうか?日本の環境だけでなく 現地の生活にも積極的に参加して、他の文化の考え方や背景を自ら体験して感じてほしく思います。そのためには家庭からの働きかけが必要になってきます。子供だけでなく、ご両親もどんどん現地の世界へ出て子供が体験できる機会を作ってあげてください。なかなか気が進まない時もあるかもしれませんが、バイリンガルの子供たちにとっては日本語の環境を作るのと同じくらい大切なことです。他文化に触れさせ感じさせ、日本を外から見せてあげてください。バイリンガルの子供たちには “知(知識)” の教育だけでなく、”心(感性)” の教育も同じくらい大切です。

「なぜ日本語を勉強しなくちゃいけないの?」
「どうして土曜学校へ通わなければならないの?」

こんな子供たちの質問に今までたくさんのお母さんと先生方が、たくさんの答えを出されてきたことと思います。子供が自己形成の過程で必ず通過するポイントです。早い時期から励ましながら各ご家庭にあった答えを見つけられたらと思います。

また、英語と日本語を学習する子供たちはどうしても物理的に両方の言語の学習に充てる時間が少ないのが現状です。そのため、限られた時間の中でいかに効果的に学習するかが大切です。アメリカ現地校の小学3年生の英語のレベルが、日本の高校3年または英検2級とほぼ同じです。逆に小学3年生の日本語がこちらの大学の日本語と同じレベルです。フォニックス学習で子供たちが幼い頃から自分で英文を読めるようにして、自分で読めた絵本から単語を拾って学習していくのが望ましいでしょう。子供たちは自分で読めるので自信がつき、どんどん進んでいきます。

単語の学習は英語ならば英語のみで、日本語ならば日本語のみで単語力をつけていきます。”island” に対し「島」を持ってくるのではなく、”a small land surrounded by a water” のように単語の輪を広げながら学習していきます。

次に、英文法を理論的に教えます。ネイティブ・スピーカーの子供たちは文法的に正しい英語を使っているわけではないので確かなお手本にはなりません。英文法は日本語を用いてロジカルに教えます。日本式の英文法学習は be 動詞から始まり、一般動詞、過去形、完了形と進む横並び学習です。一方、生活言語として出てくる英文法は縦割り学習です。そのため、バイリンガルの子供たちには横並びと縦割りの両方で隙間なく教えるのが効果的です。

次に読書。本は英語でも日本語でも広いジャンルの中から読ませてあげてください。図書館に毎週ご家族で通われることをお勧めします。また、音読も1日2分、俳句でも短歌でも歌でも構いませんので声に出して読み、日本語の音やリズムに触れるようにしてください。英語でも日本語でも楽しい本を見つけたら、その一節をインデックスカードに書き写し たくさんためていきます。時々たまったものから何枚か抜き出し見直すのも楽しいものです。表現力と作文力が身につきます。

目まぐるしく変動する国際社会。価値観さえも安定しないこれからの未来社会でたくましく生きていくバイリンガルの子供たち。

他の言語を話せる書けるという 知(知識)の教育だけでなく、心(感性・適正)の教育も同じほど大切で必要です。

一人ひとりの個性を伸ばしながら、その時その時にしてあげられる最高のものを与えてあげましょう。昔、科学の時間にエネルギー不滅の法則を習いました。今がんばっておけば必ずどこかでその結果が何かに形を変えてひょっこり芽を出します。

私たちの子供が日本人バイリンガルとして世界に貢献する日が楽しみです。その日のためにがんばりましょう。

掲載:2013年2月

このコラムの内容は執筆者の個人的な意見・見解に基づいたものであり、junglecity.com の公式見解を表明しているものではありません。
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