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アメリカの物件見学の心得5ヶ条

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お客様とたくさんの物件を見学させていただくと、「決め手となる条件は、必ずしも物件が中心ではない」ということに、いつも驚かされます。

最初は「2階建てで、リビングがオープンでキッチンから見渡せ、庭は南向きでトイレが最低2つ、会社から20分以内」というような “住みたい家” に直結した条件を並べるのが自然ですが、最終的には「平屋でこじんまりしたキッチン、でも場所が抜群に便利」または「会社から30分以上かかるけど、希望を上回る要素が揃った物件」など、当初の条件からかけ離れた物件を購入される方も少なくありません。

「ご縁」という素敵な言葉がありますが、これはまさに「ご縁」。それを引き付けるお客様に共通していることをふまえながら、物件見学の心得をご紹介します。

もくじ

1. 第一印象とプロセスを大切に

今ではインターネットで物件情報が豊富にそろい、写真や地図などでかなりイメージが収集できますが、実際に物件を訪れた時の第一印象をなるべく鮮明に覚えておきましょう。さらに、購入するという意思決定をしたときのプロセスを覚えておくと、将来、売却や賃貸に出す際に、どのようなアピールをしたら効果的かわかります。

具体的には、物件にたどり着くまでの道順、近所の印象、外観と中身の差(あまり差がないほうが好ましい。例えば、外の印象が悪いのに中身がいいなどはあまり良くない例。逆に外の印象がいいのに中身が悪い場合は、将来的にアップグレードなどを考慮すればいいので、問題なし)。何よりも大事なのが、多少ネガティブな部分はあっても、全体的にポジティブな部分が勝っているかどうか。その印象が玄関を出るまで続けば、購入に至るケースが多いです。最初の印象を研ぎ澄ますためにも、既成概念などはできるだけなくし、参考程度にする方が良いです。

2. 「変えられるもの」と「変えられないもの」の見極め

「外壁の色が好みではない」とか「カーペットがハードウッドフロアだったらいいのに」「もう少しきれいだったら」など、私たちの言葉でよく言う「コスメティック」な部分にこだわる方が多いですが、実際、それはそんなに大きな問題ではありません。なぜかというと、内装や外装の好みなどはたいていお金で解決できたり、妥協点を見出しやすいからです。

どちらかといえば、例えばフロアプランや家の向き、道路の騒音や土地の形状など、どうしても変えられないことには、無理に妥協しないほうがいいでしょう。変えられないものの見極めはとても大事です。また、「都心で育ったので、道路の騒音は気になりません」という方もいらっしゃいますが、売却時にはそれがネガティブに働くことがあることも。全体的なバランスを理解した上で判断するほうが賢明です。

3. 不動産の数秘術

毎日のようにさまざまな物件を検索していると、目に留まる物件に、ある共通点が秘められていることに気づきます。それは「不動産の数秘術」。市場は一刻を争うことも多々あるので、日々何十件もの物件を瞬時にスクリーニングしていく上で、数字の組み合わせは不可欠。ベッドルームやバスルームの数、広さ、価格はもちろんのこと、地域の環境を考慮したときに、その物件の価値がブレていないか判断する材料となります。物件の7割強はこの数字だけで決まり、後は物件のコンディションなどを裏付ける写真から判断し、お客様へおススメしていることが多いです。

この数字は全体的なバランスの他に、各フロアプランにも及びます。例えば、4ベッドルームあるけれど、メインフロアにあるのは1つだけ、他はすべて地下、または2つあったベッドルームを一つにしてしまっていたり、部屋のバランスが著しく欠けている、土地が広いはずなのに半分以上が崖や傾斜であるなど、例え数字が立派であっても、選抜から外れることも。こういった物件は将来の売却時にも影響してきます。

一般的に安定しているのは、2階にすべての寝室があり、メインフロアにはキッチン、リビング、書斎(Den)があればなお可、土地は平坦など、意外にもどこにでもある、普通のプランが無難です。

また、こうした数字の裏付けをとることもお忘れなく。まれに、オーナーさんの自己申請であったり、公開されている納税記録に反映されていなくても、不動産ローン審査のアプレイザー(不動産鑑定士)が測定した面積が納税記録より大きい数字が採用されていることがあります。実際の数字と誤差が発生した場合、不動産価値とも直結するので、注意が必要です。

4. 新築・築浅神話の思考転換

日本では中古物件より新築・築浅物件が好まれるようですが、シアトルはその逆で、新築・築浅は市場の3割弱にとどまり、7割強は築年数30年以上のものが占めています。

ご存知の通り、アメリカの不動産購入はほとんどの家が3~4回の売買を経る間に、いずれかのサイクルでインスペクションを経験し、水道管や電気経路などの主要ライフラインの交換など、メンテナンスを欠かさず行っています。なので、10年ほど放っておかれた新築よりも、築100年の建物のほうが、はるかにコンディションが良いとされて市場に出されることがよく知られています。このサイクルはメンテナンスするものによって異なりますが、だいたい15年から20年周期となっています。

例えば、屋根は20年から30年(現在は50年ライフタイムも人気)、外壁塗装は7~10年に一度、給湯器は10年、暖房機は15年から25年、電気・水道管は50-60年以上、また、キッチンなどのスタイルも15年おきにデザインが変わるなどしているので、10年も手入れをしなかった当時の新築よりも、築30年の物件のほうが優れていることもあります。

5. 一寸先が闇なら、二寸先は明るい未来

「一寸先が闇でも、二寸先には明るい未来」。

これには2つの意味が込められています。一つは理想の物件に近づくためにはまず、行動すること、失敗すること、学ぶこと。そして、そうしたプロセスが、いざ判断が必要な時に猛スピードで後押しをしてくれることを心に留めておいてください。

近年の不動産高騰でデータだけを統合し、「理想の家は見つからない」と購入を躊躇されている方も多々いらっしゃるかと思います。それでも、前述の通り、実際の決め手になる条件は物件そのものだけではないことが多々あります。それは今、答えを持っていないところにあるのかもしれませんし、単に気がついていないだけかもしれません。その答えを見つけるだけでも大きな一歩と考えてはいかがでしょうか。一寸先が闇でも、二寸先には明るい未来が待ち構えているのです。いい物件に会えるように努力をしている人は、その二寸先を見据えています。

二つ目は柔軟性。残念ながら、すべての条件を備える完璧な物件は数多くありません。その中で何が一番大事になるかは、意外に柔軟な場合があります。

思えば、私が過去に買った不動産もほとんどがそうでした。打算で考え失敗したこともありましたが、独立当初、お客様のために探していたエリアが気に入り、思い切って引っ越し。決め手は、当時住んでいたエリアでは絶対に無理だった、築浅でモダンな一軒家が予算ギリギリで売られていたからでした。最初は違うエリアに違和感ばかりでしたが住めば都。大切な友人ができ、子供たちが生まれた街として思い出深い地域となっています。

また、携帯の地図上で手が滑り、たまたまヒットした物件は、「かつてギャングがうろついていた」と言われたような街にありました。でも、たまたま友人が住んでいたこともあり、興味本位で何度か足を運んだのですが、夜でも一度も怖い目に遭わず、そのうち近所の人とも仲良くなり、結局、治安が悪かったのはそことはまったく違うブロックだったことがわかりました。それをきっかけにそのエリアでお買い得物件を購入したところ、その直後に不動産価格が急上昇。長い間、先入観で闇に見えていたところに、実は明るい未来が広がっていたことを自ら体験したわけです。

皆さんにもこんな体験をしていただけたら、不動産がもっと楽しくなるのではと願ってやみません。

不動産エージェント 三井まりこ
Mariko Mitsui CRS, ABR
Certified Residential Specialist


ワシントン州での不動産売買に役立つ最新情報をお伝えします。

【電話】 (425) 765-8742
【メール】 mariko@rellaassociates.com
【公式サイト】 rellaassociates.com

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