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第48回 ワシントン州(米国)での採用面接で、企業側が聞ける質問・避けるべき質問とは?

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日本で使用される履歴書と米国で使用される履歴書の様式が異なるように、日本と米国では採用面接で企業側が聞くことのできる質問も異なります。

ワシントン州(米国)で採用を予定している企業は、仮に日本企業であっても、ワシントン州(米国法)の雇用法の対象となります。今回は、ワシントン州(米国)で採用活動をする企業の立場からの合法的な面接の仕方についてご説明します。

採用前に聞いてよいこと:

  • 出身校と成績について
  • 仕事の経験と能力について
  • 出張の可・不可について
  • 残業の可・不可について
  • 決められた就労時間と規則の仕事内容についての確認
  • 薬物検査を条件とする採用とその承認
  • 経歴の確認を事前にすることの承認

採用前に聞いてはいけないこと:

  • 求職者の年齢、結婚歴、国籍、宗教、性的嗜好、健康状態等について
  • 健康診断を前提とする採用
  • 妊娠の有無
  • 債権差し押さえや信用格付けの記録についての質問
  • その他、就業規則や労働条件に関係のない質問

基本的には、1964年施行の公民権法第7条に定められている法律に違反した行為を避けること、すなわち差別を理由に採用を却下したと求職者に解釈されない面接をすることが重要です。

たとえば、履歴書に生年月日の記入を条件とすることや年齢制限を設けた採用基準は年齢差別、子供の有無や配偶者の有無は結婚歴に関する差別、過去に大きな病気をしたかどうかの質問は健康状態(disability)に関する差別、子供を産むつもりかなどの質問は女性に対する差別、妊娠の有無や出産後の計画等の質問(仮に求職者が明らかに妊娠しているとわかっても)は妊娠女性に対する差別、日本人と働くことをどう思っているかなどの質問を他民族の求職者に聞くことは国籍や民族に関する差別と疑われます。

特に、面接後に採用されなかった求職者は失うものがないので、差別待遇として訴えるのに都合のよい理由になりえます。

解雇になった被雇用者が解雇後に差別を訴えた場合と、このような求職者で採用を却下されて差別の訴えをした場合の違いは、後者は損害賠償の証明が難しく、前者の解雇対象になった被雇用者ほど訴訟の可能性はないと言えます。しかし、法的視点からだけではなく、企業の評判にも影響するため、質問内容には十分な配慮が必要です。

シャッツ法律事務所
弁護士 井上 奈緒子さん
Shatz Law Group, PLLC
www.shatzlaw.com

当コラムを通して提供している情報は、一般的、及び教育的情報であり、読者個人に対する解決策や法的アドバイスではありません。 読者個人の具体的な状況に関するご質問は、事前に弁護士と正式に委託契約を結んでいただいた上でご相談ください。

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