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相談「子育てのためにキャリアを諦めたことを悔やんでいます」

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ワシントン州認定ソーシャルワーカー
角谷 紀誉子さん

2019年3月15日付で、コンサルティングのサービスは終了しました。
【公式サイト】 www.successabroadcounseling.com

ようやく大学院を終えて就職したところで妊娠がわかり、仕事もやめなければならず、今は出産を終えて子育ての真っ最中です。子供ができたことは夫婦共々とてもとても嬉しく思っており、こんなすばらしいことはないというぐらいに幸せも感じます。でも、せっかくこれまで長年にわたって勉強してきたことをいかせる仕事に就くことができたのに、予定外の妊娠をしてしまったことも悔やまれてならず、親しい友人たちと話せばいつも愚痴をこぼしてしまいます。「大事な仕事だったんだ、好きな仕事だったんだってそこまで言い続けるなら、何がどうなってそんな望まない妊娠をすることになったわけ?自分の責任でしょ!もういいかげんに諦めて、これから先のことに目を向けたら?」と親友に言われ、それが事実であるため、ますます落ち込みます。子供がほしくてもできないご夫婦もいて、こんな愚痴を言ったりするのはぜいたくだとも思っているのに、悔やむ心をおさえることができません。自己責任のためますます自己嫌悪になり、また、自分のことがわからなくなっています。本当は子供の誕生を手放しで喜んでいるくせに、どこかでそれによって子供だけが生きがいのような自分の母親を嫌悪し、自分もそうなってしまうかもしれないと恐れるあまり、自分だって仕事ができたんだ、子供以外のことも考えているんだ、ということを言いたがっている自分がいるような気がします。

回答:女性の生き方が多様化するにつれ、結婚・出産・キャリアなどの選択が難しくなっています。選択が増えると、その分、幸せの形も増えるはずですが、一般社会の「幸せの価値観」は残念ながら多様化していません。女性がおおっぴらに祝福されるのは、未だに「結婚」と「出産」の時だけのようです。例えば、女性が昇進しても「あの人はまだ独身だから」「子供がいないからねえ」と言われますが、男性なら「(独身でも子供がいなくても)まだこれから」というふうに見られるのです。十人女性がいれば十通りの生き方・価値観・幸せの形があって、どれが正しい、一番良いと決められるはずはないのに、「一般の価値観」は深く女性の心理に影響していて、「本当は~したいけれど、やっぱり~するべきなのかも」と迷う人が多いのです。あなたの場合も、学歴やキャリアが大切であったのに、妊娠した時「一般の価値観」が出てきて「やっぱり女の幸せは子育てかも」と思ったのではないでしょうか。しかし、実際に赤ちゃんを育てて「幸せ」を感じたということは、その選択も正しかったということで、あなたは「キャリアも子供も」という価値観を持っていることになります。そしてそれは間違っているのでも、不謹慎なことでもありません。

問題は、あなたが「子供を持ったら仕事はできない」と考えていることです。キャリアを持ちながら子育てもしている女性は世の中にたくさんいるのに、どうしてあなたはそう思えないのでしょうか。あなたのおっしゃるようにお母さんの生き方が関係しているのでしょうか。子供だけが生きがいだったという彼女は、おそらく専業主婦で子供を中心にした生活をされていたのでしょう。もし、あなたの中に「自分の母親の子育ての仕方が子育て」という考えがあるとすると、それはあなたを制限し、あなたらしくない母親を作ることになります。例えば、きょうだいの数にしても「3人きょうだいで育ったから自分も3人欲しい」「自分は2人兄妹で兄がいたから、1人目は男の子がいい」というふうに、自分の育った家の環境を自分の家庭でも作ろうとする人はたくさんいます。それは「その環境に慣れていた」からです。「慣れ」と「自分の欲しい新しい環境」は別の物です。「新しい環境」には違和感がありますし、自分のものになるには時間がかかります。しかし、子供からすれば「後悔している不幸な母親」に育てられるより、「忙しいけれど幸せな母親」に育てられる方がいいのに決まっています。仕事から多くを得ていたのなら、早いうちに復帰する方がいいでしょう。そして「家事・子育てをすべて1人でせず、夫と2人でする」「デイケアを利用する」生活に慣れることです。

掲載:2006年10月

コラムを通して提供している情報は、一般的、および教育的情報であり、読者個人に対する解決策や法的アドバイスではありません。 このコラムから得られる情報に基づいて何らかの行動を起こされる場合は、必ず専門家に相談するようにしてください。



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