第6回 「もっとローカルで、新鮮なものを!」 農産物の流通を大きく変える、フード・ハブ

21 Acres シェフ サリバン・麻子

21 Acres シェフ サリバン・麻子

「体と地球に優しくて安全なものを食する」ことについて
お伝えします。
13701 NE 171st Street, Woodinville, WA 98072
【電話】 (425) 481-1500
【公式サイト】 www.21acres.org

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21 Acres

21 Acres のフード・ハブのツアー

今年ももう11月。あっという間にシアトルのつかの間の夏も終わり、まだ11月初旬だというのにこの冬初めての雪が降りました。

21エーカーズのキッチンも今年最後の大きなイベントを終え、少し静かなシーズンを迎えます。

今年の21エーカーズは、ユース・エデュケーションの担当だったアンドリュー・エリーがファーム・マネジャーに就任し、子羊や鶏の飼育や、今までとは異なった作物の栽培を始め、また新しい学びの多い年となりました。

ワシントン州、特にピュージェット湾地域は、生産者の方々の日々の努力が形になり始め、目を見張るような進化と遂げた年でもありました。

11月になり、多くのファーマーズ・マーケットはシーズンが終わりましたが、来シーズンへの期待を込めて、今回は、ピュージェット湾地域にあるファームの近況をご報告したいと思います。

フード・ハブ(Food Hub)って?

今シーズンの第一の成果は、何と言っても各地のファーマーズ・マーケットに参加するファームの数と商品点数の増加にあると思います。

ユニバーシティ・ディストリクト、バラード、ウエスト・シアトル・のマーケットが、どんどん出店ファームが増えて活気づき、販売される商品の種類が多くなるのは本当に嬉しい限りです。

また、レストランなどの飲食業や病院、学校などの施設向けにホールセール(卸売)を行う生産者の数も増えているのも喜ばしい成果と言えるでしょう。

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フード・ハブ

ピュージェット湾地域には、ファーマーが直接ホールセールを行うに当たってのセールスと物流支援サービス(フード・ハブ)がいくつかあります。

通常、飲食業では、野菜、肉、乳製品、加工品などの材料を仲卸業者から材料の仕入れ、仲卸業者はファーマーから農産物を購入し、中間マージンとして得た利益を用いて運営をしています。

一方、フード・ハブのサービスでは、販売権は常に生産者にあります。この利点は、ファーマー達が直に売値を決め、顧客サービスやマーケティングなども行える点にあります。

消費者は、ローカルの食材を新鮮なうちにスーパーマーケットなどで購入できたり、カフェやレストランで味わうことができるようになります。

一般消費者の方々は、直接目にする機会は少ないかと思いますが、これらのフード・ハブはレストランなどの外食業界にとって画期的なサービスなのです。

フード・ハブが確立するまでは、生産者の方々は販売ルートを各々独自に開拓し、物流も自分たちで行っていました。それは生産者が生産作業を止め、シアトルなどの都市に何時間もかけて配達するということでもありました。

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21 Acres の配達用トラック

フード・ハブのサービスは、スカジット・バレーやサマミッシュ・バレーに拠点を置き、生産者はインターネットで受けた農産物の注文を、自分のファームから一番近いハブまで配達します。レストランなどの顧客への配送、入金確認、生産者への支払いもすべてフード・ハブのスタッフが行ってくれます。

ファームに代わって顧客への配達を担当するフード・ハブのスタッフは商品の知識が豊富で、生産者やファームの状況に精通しているので、顧客はいろいろなファームの情報を聞くことができるという利点もあります。

現在、シアトル近郊(主に北部)には二つのフード・ハブが存在し、21エーカーズは双方のフード・ハブの設立に携わってきました。

フード・ハブに参加するファーマーの増加と充実の品揃え

私が現職に就いた2012年頃に始動した Puget Sound Food Hub(ピュージェット・サウンド・フード・ハブ)は、主にスカジット・バレーの生産者の支援を行っており、生産者、バイヤー共に利用者数を順調に伸ばしています。

21 Acres

先シーズンまでは、業務用に使用する量の確保が困難だったピュージェット湾地域で栽培された小麦、栗、ぶどうなどの農作物や Salish Sea(サリッシュ・シー:ピュージェット湾を含むカナダのブリティッシュ・コロンビア、アメリカのワシントン州沿岸の内海)で自然環境や水産資源に配慮をした漁業方法で捕獲されたサーモンやいくら、エビなどの業者も参加し始め、商品ラインアップもより充実してきました。

これは消費者にとっても朗報。なぜなら、21エーカーズのキッチンはもとより、その他のレストラン、カフェ、スーパーマーケットでも、より多くのローカル食材が比較的リーズナブに手に入るようになるからです。

「仲卸業者を通した場合と比べて、どれくらい新鮮なのか」と聞かれることがありますが、私がお付き合いしている生産者の方々は、日曜日の夕方までに受けた注文分の農産物を月曜日に収穫し、火曜日に出荷しています。

カリフォルニア州やメキシコなどで収穫された野菜は、以前もこのコラムでご紹介した通り、数週間から1ヶ月前に収穫されたものがほとんどですので、どれだけ新鮮かは言わずもがな。新鮮ということは、それだけ栄養価も高いということですし、熟してから収穫しているので美味しさも格別です。

サマミッシュ・バレーのフード・ハブと若きファーマー達

シアトルなどの都市のバイヤーのフードマイル(food mile:材料の輸送距離)をより一層短くし、主にサマミッシュ・バレーの生産者を支援するために今年発足した Farmstand Local Foods(ファームスタンド・ローカル・フーズ)には、ファーマーズ・マーケットに出店する規模に至っていない小規模農家や、農業を学んでいる学生を支援する農場なども参加していて、さらに珍しい食材の販売が行われています。

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主なところでは、21エーカーズの裏に農地を構える SAgE Farmは、シアトル・セントラル・コミュニティ・カレッジ、エドモンズ・コミュニティ・カレッジでサステナブル農法を学ぶ学生の農場でもあり、またインキュベーション・サービスとして農場スペースをレンタルし、そのサービスを利用する小規模生産者も Farmstand Local Foods に参加しています。

また、ケリー・オカムラさんとショーン・ミラーさんが運営する Tuk Muk Farm は、主にアジア系の野菜を栽培していて、今年は大根、青じそ、水菜、春菊、ごぼうなど日本食材もたくさん収穫し、フード・ハブに提供していました

21エーカーズの新しいユース・エデュケーション担当でもあるマーシャル・リロイの運営する Alki Market Garden は、ギリシャやトルコ料理のドルマに使われるぶどうの葉や、フレッシュな刺激が楽しいグリーン・コリアンダーを販売していたり、かいわれ大根などのスプラウトを冬の期間も販売予定だとのことです。

これらのファームは、21エーカーズのマーケットで販売している他、CSA(Community-supported agriculture)での販売も行っているので、ぜひウェブサイトなどをチェックしてみてください。

ファーム・トゥ・テーブルをやっているレストランなどで、今まで見たことのないローカルな食材を見かけたら、フード・ハブが浸透してきている証拠かもしれません。

掲載:2017年11月 写真:21 Acres

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