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第40回 : 雇用ベース移民ビザのリトログレッションについて

雇用ベースの移民ビザ(永住権)は、年間を通して無制限に発行されるものではありません。移民法では、毎会計年度(10月1日〜翌年9月30日)の間に発給できる永住権の数が、カテゴリ別に設定されています。また、カテゴリとは別に、移民を希望する人の出身国によっても、毎会計年度の発給数の上限が決められています。年間発給数が上限に到達したカテゴリの申請には、ウェイテリング・リストが作成され、永住権の発給が翌年、またその翌年と先送り状態になります。この状態のことを、リトログレッション(後退)と言います。

雇用ベースの移民カテゴリには、大きく3つのカテゴリがあります。EB-1と呼ばれるカテゴリは、(1)科学、芸術、教育、ビジネス、そしてスポーツにおいて、卓越した能力を有する人物、(2)優秀な教授・研究者、そして(3)多国籍企業の重役・マネージャーが該当します。EB-2 と呼ばれるカテゴリは、(1)修士以上の学位を保持する専門職者、そして(2)科学、芸術、またはビジネスで、例外的な能力を有する人物が対象となります。EB-3 と呼ばれるカテゴリは、(1)学士号を持つ専門職者もしくは最低2年の職務経験が必要な仕事に従事する労働者と、(2)2年以下の職務経験が必要な仕事に従事する労働者が対象です。

雇用ベースで永住権を取得する場合、基本的に上記のカテゴリのいずれかに基づいて申請することになりますが、それぞれのカテゴリで、あるいは国ごとに定められている移民ビザの発給数を超える申請があった場合、ウェイティング・リストが作成されてしまい、申請者は"プライオリティ・デート"の順番に従って、自分の番が回って来るまで永住権を取得することができません。"プライオリティ・デート"とは、永住権申請における優先順位のことで、簡単に言うと、それぞれのカテゴリで、最初に必要な申請が受理された日です。現在、この EB-3 のカテゴリにおいて、リトログレッションの問題が発生しており、ウェイテリング・リストが作成されています。

この移民ビザのリトログレッションは、昨秋までは発生していなかったのですが、労働省による PERM の導入、ならびに移民局によるバックログ減少努力の結果、雇用ベース永住権申請の第1ステップの期間が短縮されたことにより発生してしまいました。そして最新の国務省発表の統計によると、現在、大半の方が該当する EB-3(1)のカテゴリでは、プライオリティ・デートが2001年5月1日となっているため、それ以前に申請した人が移民ビザ取得の対象となっています。この日付だけをみれば、雇用ベースで永住権を取得するには、単純計算では5年かかりそうですが、この日付は、突然年単位で動いたりすることがあります。また実際に数年前にも、現在と同様な状況にありましたが、突然、ウェイテリング・リストがなくなるといったことが起こりましたので、今後の動向に注意する必要があるでしょう。

過去の H-1B ビザに関するコラムで、6年目以降の H-1B ビザ申請について、2002年11月にブッシュ大統領が署名した新法 『The 21st Century Department of Justice Appropriations Authorization Act』 によって、労働許可申請、または移民ビザ申請を開始してからすでに365日以上経過している場合は、H-1B ビザ保持者の6年以降のステータス延長が1年づつ可能ですとお伝えしました。しかし、雇用ベース永住権申請の第1ステップである PERM、そして第2ステップである I-140 雇用ベース移民ビザ申請が認可されているにも関わらず、リトログレッションによって第3ステップの永住権申請を行うことができない場合は、1年ではなく3年づつ H-1B を延長することができます。

(2006年5月)

= お断り =
コラムを通して提供している情報は、一般的、及び教育的情報であり、読者個人に対する解決策や法的アドバイスではありません。 読者個人の具体的な状況に関しては、米国移民法弁護士にご相談下さい。
2008年
第65回 米国移民法・最新情報
第64回 シアトル地域における結婚に基づくグリーンカード申請の状況
第63回 再入国許可証でのバイオメトリックス採取義務化
第62回 H-1B 申請について
第61回 ビザ申請料金の値上げ
第60回 有効期間のないグリーンカードの更新

2007年
第59回 就労ビザに関する最新情報
第58回 J-1ビジネス研修ビザ
第57回 DV-2009(抽選永住権)のお知らせ
第56回 E ビザ・L ビザ保持者の配偶者 ソーシャル・セキュリティ番号
第55回 申請料金の値上げ
第54回 PERM 最新情報
第53回 プライオリティ・デート
第52回 H-1B ビザ申請・最新情報(3)
第51回 H-1B ビザ申請・最新情報(2)
第50回 米国市民との結婚によるグリーンカード申請 最新情報
第49回 H-1B ビザ申請・最新情報(1)
第48回 2006年を振り返って

2006年
第47回 プレミアム・プロセス
第46回 DV-2008(抽選永住権)のお知らせ
第45回 雇用に基づく永住権申請に関してよく聞かれる質問(2)
第44回 雇用に基づく永住権申請に関してよく聞かれる質問(1)
第43回 H-1B ビザ最新情報
第42回 E-1条約貿易商ビザ
第41回 雇用ベースの短期就労ビザ、および移民ビザのサービス・センター変更
第40回 雇用ベース移民ビザのリトログレッションについて
第39回 H-1B ビザ申請
第38回 L-1A ビザ保持者から永住権申請へ
第37回 L ビザの申請基準について
第36回 帰化申請(3)

2005年
第35回 永住権保持者が長期間米国外に滞在する場合の永住権の維持について
第34回 DV-2007 (抽選永住権) のお知らせ
第33回 PERM 申請
第32回 雇用に基づく永住権申請
第31回 永住権と離婚
第30回 I-864 Affidavit of Support(扶養証明書)
第29回 抽選永住権当選後の永住権申請
第28回 永住権申請時の健康診断
第27回 移民法に関する情報が入手できるウェブサイト
第26回 シアトル地域移民局・最新情報 永住権申請時のバックグラウンド・チェック
第25回 H-1B ビザ最新情報

2004年
第24回 J-1研修生ビザ
第23回 F-1学生ビザ保持者の社会保障番号・申請基準の変更
第22回 E/L ビザ保持者の配偶者・就労許可証
第21回 条件付永住権
第20回 シアトル地域移民局・最新情報(2)
第19回 永住権インタビュー・結婚ベース米国内ステータス変更(AOS)の場合
第18回 家族関係に基づく永住権申請
第17回 シアトル地域移民局・最新情報(1)
第16回 H-1B ビザ年間発給数が上限に到達・今後について
第15回 永住権取得後の留意点
第14回 永住権申請
第13回 E-2条約投資家ビザ

2003年
第12回 永住権の自己申請(VAWA)
第11回 O-1卓越能力保持者ビザ
第10回 米国市民との 結婚に基づく永住権申請・ステータス変更手続き
第9回 K-1 フィアンセ・ビザ
第8回 帰化申請(2)
第7回 帰化申請(1)
第6回 H-1B 専門職者ビザ: H-1B ビザに関してよく聞かれる質問集(2)
第5回 H-1B 専門職者ビザ: H-1B ビザに関してよく聞かれる質問集(1)
第4回 H-1B 専門職者ビザ: 転職
第3回 H-1B 専門職者ビザ: 解雇
第2回 H-1B 専門職者ビザ: 申請手順
第1回 H-1B 専門職者ビザ: 申請基準
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