第39回 :
H-1B ビザ申請
今年ももうじき H-1B ビザ申請が開始されます。過去のコラムでも何度かお伝えしたかと思いますが、H-1B は毎年4月1日から申請開始となりますが、実際に就労が可能になるのは10月1日からとなります。
移民局が1年間(毎年10月1日から翌年の9月30日まで)に発給できる H-1B ビザの数は65,000件と決まっています。ただし、このうち6,800件は貿易協定によりチリとシンガポールの国籍者に優先的に割り当てられるため、実際のところ一般枠は58,200件です。しかし、例年、申請数は年間発給数を大幅に上回っており、2006年度(2005年10月1日〜2006年9月30日)は2005年8月に年間発給数の上限に到達しまた。米国の修士号、あるいはそれ以上の学位を持つ人に与えられている20,000件の特別枠でさえ、2006年1月に上限に到達しました。従って、申請は早い者勝ちと言えますので、雇用先が決まり次第、なるべく早く申請すること、タイミングを逃さないことが肝心です。
3月初旬に開催された移民法弁護士協会ワシントン支部の会合でも H-1B はホット・トピックとして取り上げられていましたが、今回は、そのうちのいくつかをご紹介します。
- 通常、H-1B ビザは雇用主の所在地を管轄する地方移民局で申請します。地方移民局は、カリフォルニア・ネブラスカ・テキサス・バーモントと、全米に4ヶ所にサービス・センターを置いています。例えば、シアトルの雇用主の場合、ネブラスカのサービス・センターで申請します。しかし、このように地域ごとに申請を処理する方法では、プロセス上の統一化が困難なため、似たようなケースが1つのサービス・センターでは認可されながら、別のサービス・センターでは却下される、また、地域によって申請期間が大幅に異なるというような問題が発生していました。これらの問題を解決するために、今年の4月1日より H-1B ビザ申請は2つの地域移民局で行うといった新案が出ています。現段階ではカリフォルニアとバーモントのサービス・センターが候補に挙がっていますが、まだ詳細は決まっていません。間違ったサービス・センターに申請を送って申請が受理されなかったり、大幅に遅れたりすることがありますので、今年の H-1B を申請する際は、注意して下さい。
- F や J ビザ保持者には、通常、"Duration of Status" というステータスが与えられます。これは、学業 (F ビザの場合)、あるいは研修 (J ビザの場合) を終了するために必要な期間と、卒業後のプラクティカル・トレーニング(F ビザの場合)が認められている期間は、米国に合法的に滞在できるという意味です。
1999年に H-1B ビザの年間発給数が上限に到達した時は、移民局は F や J ビザ保持者の "Duration of Status" を2000年10月1日まで延長すると臨時規定を発表しました。これは、実際の雇用は2000年10月1日まで開始することができないが、F や J ステータスの有効期限がそれ以前に切れてしまっても引き続き滞在は認めるといったものでした。
2004年には、7月30日までに H-1B ビザを申請した F や J ビザ保持者に対し、10月1日まで米国に合法的に滞在することを認めました。
今年の対策方法についてはまだ発表されていませんが、同じような臨時規定が発表されるだろうという期待がある反面、2003年2月に行われた移民局の再編成により、"SEVIS" を始めとする移民法の厳格な施行の管轄が移民局から出入国税関当局に移ったため、現実的には難しいだろうという声も挙がっています。
- スポンサーとなる企業の規模に制限はないものの、小規模なスポンサーによる会計士のH-1B ビザ申請は、基本的に難しくなっています。会計士(Accountant)は、企業の運営に必要な財務情報の分析の他、年次決算報告書や予算案、貸借対照表、キャッシュ・フローなど、高レベルな書類の作成などが一般的な職務内容となっているため、もちろん、学士号も必要ですし、非常に専門的な知識が必要な職と言えます。しかし、簿記係(Bookkeeper)の場合、帳簿をつけたり、給与計算や請求の支払い業務などが一般的な職務内容となっています。一見、会計士の職務と似ているようにも思えますが、この職務内容では、専門的な知識を論理的、実用的に応用することが必要な職とは言えません。小規模なスポンサーの場合、企業を運営する上で本当に会計士が必要なのかが問われるため、このような申請は、スポンサーの運営状況はもちろん、実際の職務内容をより厳格に申請する傾向にあるようです。
(2006年4月) = お断り = コラムを通して提供している情報は、一般的、及び教育的情報であり、読者個人に対する解決策や法的アドバイスではありません。
読者個人の具体的な状況に関しては、米国移民法弁護士にご相談下さい。 |