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日英バイリンガル弁護士。成蹊大学卒業後、日本の大手企業での広告業務、社員・管理職を対象にした研修の企画・運営を経て、渡米。ぺンシルバニア大学にて国際法学を学び、シアトル大学ロー・スクールで法学士の学位(J.D.)を取得後、弁護士としてシアトルの最大手弁護士事務所パーキンズクイでの勤務を経てシャッツ法律事務所を運営しています。雇用労働法と企業法を含む国際商業取引法務と関連の訴訟が専門。外国企業投資と法人設立、および吸収合併における契約書とそれにかかわる書類の作成、一般商業取引・雇用契約書の作成などに実績があります。また、雇用・労働法、独占禁止法に関わる訴訟においても経験があります。

シャッツ法律事務所
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500 Union Street, Suite 1005
Seattle, WA 98101
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Fax: (206) 691-3449
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第26回:未払金回収の方法と法的権利


最近は未払金の債権をめぐって企業間での紛争が急増しています。今回は取引先企業が支払いを滞納した場合の法的手段について簡単に説明します。

取引先企業が支払いを滞納した場合はまず、1)企業間の取引契約書に滞納した場合の手段についての条項があるかを確認します。請求書受領から30日以内の支払いが通常の支払い周期です。次に、2)契約書にアクションの起こし方、アクションを起こすための準拠地と準拠法に制約がないかを確認します。最後に、3)弁護士料の負担を誰がすることになっているかを確認します。

1)に関しては、支払いの周期や期日が契約書によって義務づけられていたにも関わらず支払いを滞納した場合は、取引先企業に督促状・再度の請求書を出します。2)に関しては、例えば、契約書によって問題解決が仲裁や調停によって解決されるように決められていた場合は法廷を通しても問題は解決できませんが、契約書に仲裁や調停に関する項目がない場合は、通常相手企業を法廷を通して告訴することができます。また、裁判地がどの州であるかも確認します。裁判地が仮に選択されていなかった場合は通常、被告企業の居住する州で訴訟を起こしますが、被告企業がカリフォルニア州に存在していてもワシントン州で事業展開をしている場合は、民事訴訟法の "最小限の接触"(minimum contacts)を満たすため、ワシントン州の法廷で告訴することができます。さらに、準拠法に制約がなかった場合で被告人の対人管轄権がワシントン州にある場合は通常、原告の居住する州の法律が適用されます。いずれにしても、2)に関わる対人管轄権や "最小限の接触" の決定に関しては多くの判例があり、細かい法的分析を要するので、督促状を出して相手企業に支払いの意図がないと判断した段階で弁護士を代理人としてたてて債権回収をすることを勧めます。なお、3)に関しては通常、取引契約書によって、敗訴当事者が勝訴当事者に弁護士料の支払いを義務付ける規定をしています。従って、債権が確実で被告企業が倒産等の経済的問題を抱えていない限りは、最終的に、未払金だけでなく、弁護士料も回収できます。

なお、取引業務に関しての契約書がなかった場合は、原告の法的権利にかなり影響します。例えば、契約書がない取引自体が法的効力がないとみなされる可能性もあります。仮に契約書が存在していたとしても、2)と3)の部分が明確に記されていない場合は、原告に不利になる可能性があります。特に弁護士料の負担を誰がするかに関して不明確な場合、損害額の大きさによっては法廷を通して告訴することによって弁護士料の比率が損害額に比べて大きくなると予想されれば、原告側の未払金の回収に対する本来の目的が薄れます。ちなみにワシントン州法 RCW 4.84.330 では勝訴当事者が弁護士料の支払いを敗訴当事者から受け取ることになっているので、ワシントン州法が適用された場合は勝訴当事者に有利です。ただし、契約書がそもそも成立していないと、この法律は該当しません。

従って、企業間の取引においては特に、自社の法的権利の行使と、問題があった場合の防衛対策として、各条項が綿密に考慮された取引契約書を事前に交わすことが大切です。

(2010年7月)

= お断り =
コラムを通して提供している情報は、一般的、及び教育的情報であり、読者個人に対する解決策や法的アドバイスではありません。 読者個人の具体的な状況に関しては、直接弁護士にご相談下さい。
第26回 未払金回収の方法と法的権利
第25回 国際販売契約における配送用語とその法的効力
第24回 秘密保持契約(NDA)とは?
第23回 担保つき取引について
第22回 国際企業間紛争解決の手段について
第21回 製品品質保証(Warranty)の種類と法的効力
第20回 独占禁止法について
第19回 I-9 Form に関わる差別問題を防ぐための注意点
第18回 不法解雇の事例
第17回 駐在員(出向社員)と現地採用社員の雇用労働条件とその法的権利
第16回 ワシントン州での事業所設置について
第15回 アメリカで働く外国人のための新しい教育政策
第14回 ハラスメントと差別の違い
第13回 労働災害補償(Chapter 51.32 RCW)について
第12回 人員削減(Reduction In Force)・レイオフ・解雇手当・失業手当給付金
第11回 面接・採用の際の約束と虚偽陳述について(Misrepresentation and fraud)
第10回 契約社員〈独立契約者〉採用に関する法律
第 9回 家主(Homeowner)と建設請負業者(Contractor)の雇用関係とその問題
第 8回 市民権・永住権・ビザのステータスと、雇用の関係
第 7回 転勤や雇用形態変更に伴う契約書の法的有効性
第 6回 アメリカの雇用形態 - 正社員と契約社員の違い -
第 5回 解雇契約とそれに関わる問題点
第 4回 雇用契約とそれに関わる雇用上の問題と解決
第 3回 職場でのいじめとそれにかかわる法律、および対処の仕方
第 2回 育児介護休業法とそれに関連する法律
第 1回 労働法・雇用法の概要
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