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日英バイリンガル弁護士。成蹊大学卒業後、日本の大手企業での広告業務、社員・管理職を対象にした研修の企画・運営を経て、渡米。ぺンシルバニア大学にて国際法学を学び、シアトル大学ロー・スクールで法学士の学位(J.D.)を取得後、弁護士としてシアトルの最大手弁護士事務所パーキンズクイでの勤務を経てシャッツ法律事務所を運営しています。雇用労働法と企業法を含む国際商業取引法務と関連の訴訟が専門。外国企業投資と法人設立、および吸収合併における契約書とそれにかかわる書類の作成、一般商業取引・雇用契約書の作成などに実績があります。また、雇用・労働法、独占禁止法に関わる訴訟においても経験があります。

シャッツ法律事務所
Shatz Law Group, PLLC

Seattle Office:
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第60回:インターンシップに関する雇用法問題

大学の夏休みに向けて、経験を積むためのインターンシップやボランティアを考えている方が多いと思います。今回は、このインターンシップに関連して発生する雇用問題についてご説明します。

基本的に、インターンシップの目的は、大学のプログラムを通して勉強してきたことを現実の社会に適用するために学ぶこと、またはキャリアを向上し、経験を得るために働くことです。中にはインターンシップを完了することによってクレジットを与える学校もあります。インターンシップの中には雇用者から給料を受けとれるものもありますが、インターンに関する定義は法的には規定されていません。ただし、業務を遂行し、雇用者に利益をもたらすものは被雇用者として定義されるので、インターンが雇用者から支払いを受ける場合は、被雇用者として扱われます。また、雇用されている従業員(被雇用者)は差別法(TitleVII of the Civil Rights Act,)に適用されるので、もし解雇されれば、インターンでも、差別法で訴えることのできる権利が発生します。

さて、第43回のコラムでもご紹介しましたように、雇用者が人を雇う場合は独立契約者か正社員の選択があることをご説明しましたが、インターンを採用する場合は、正社員(Employee)として雇うのが通常です。それは、独立契約者は、雇用者からの監督やトレーニングを必要としないことが条件だからです。従って、インターンが支払いを受けた場合、インターンは正社員として扱われることになり、雇用者には所得税などの税金の納税が必要となります。このように、インターンに支払いをすると雇用者にとっては経済的負担になるだけではなく、さまざまな雇用法問題の引き金となるので、多くの雇用者は、無償でインターンを採用する方法を選びます。

さて、インターンを無償で受け入れるために必要な条件は、下記のとおりです。
  1. 仕事そのものがインターンの利益・勉強となっていること。
  2. インターンに正社員の仕事をさせないこと。または、退職した正社員の後任者として仕事をさせないこと。
  3. 雇用者の利益を得るためだけに受け入れないこと。たとえば、スーパーマーケットのたな卸しや掃除は雇用者の利益に直接還元され、インターンの利益・勉強になっているとは考えられない。
  4. インターンの仕事内容が、インターンが学校で勉強している内容に一致している、またはキャリアの向上につながるものであること。
  5. インターンシップの終了時にインターンが正社員になると約束しないこと。
  6. インターンが他の正社員または雇用者から直接トレーニングを受けること。
しかしながら、給料や税金の支払いを避けるため、このような条件を無視し、企業の利益とビジネスに貢献させる目的でインターンを受け入れる企業も少なくありません。インターンとして業務をする際は、雇用者とどのような経験・利益が得られるのかを前もって話し合っておく必要があります。また、雇用者としては、インターンを迎える前に、企業・組織としてインターンを教育する時間と設備に余裕があるかを考慮する必要があります。

(2013年5月)

= お断り =
コラムを通して提供している情報は、一般的、及び教育的情報であり、読者個人に対する解決策や法的アドバイスではありません。 読者個人の具体的な状況に関しては、直接弁護士にご相談下さい。
2013年
第60回 インターンシップに関する雇用法問題
第59回 最低賃金適用除外社員と最低賃金該当社員の誤分類とそれに伴うリスク
第58回 株式会社経営者の法的責任
第57回 有限会社(LLC)経営者の法的責任
第56回 学校でのいじめ(Bully)や差別(Discrimination)への対処法

2012年
第55回 経営者変更の際の不動産賃貸借契約書の手続きについて
第54回 企業経営において発生する2013年度の連邦税の見通し
第53回 民事訴訟において召喚状と申立書を受領した場合の対応とその後の手続き
第52回 フランチャイズ経営について
第51回 ジョイントベンチャー/共同経営者間の問題と契約書の必要性について
第50回 弁護士に業務を依頼する際に知っておくべきこと
第49回 有限会社・合名会社経営者の解散・解離・紛争について
第48回 採用面接で企業側が聞ける質問・避けるべき質問
第47回 子会社(Subsidiary)と支社(Branch)の相違とその法的影響
第46回 社員を採用する際に必要な書類
第45回 会社・事業を買収する際の注意点
第44回 Promissory Note(約束手形)とLease Agreement(賃貸借契約)における準拠法

2011年
第43回 契約社員・独立契約者と正社員の誤分類の増加とそれに伴う問題
第42回 残業手当・勤務中の休憩時間・最低賃金に関する規定
第41回 経営者間の契約とその注意点
第40回 再販売業務契約書・販売代理店契約書 (Reseller Agreement) とは?
第39回 Attorney Client Privilege(弁護士・依頼者間の秘匿特権) について
第38回 株主の権利と利点についての基本
第37回 職務著作物(work made for hire)とは?
第36回 別離契約(Separation Agreement)とは?
第35回 緊急事態が起きた場合の契約不履行について(Force Majeure)
第34回 勤務先で問題が発生した場合の対処の仕方
第33回 契約した会社と問題があった場合の対処の仕方
第32回 契約書の一般的な読み方と扱い方

2010年
第31回 臨時社員及び派遣職員を採用する際の法的手続き
第30回 オンライン・ショッピングに関する法律問題
第29回 C Corporation(C株式会社)と LLC(有限会社)の利点と欠点
第28回 家族休暇・妊婦(Family Responsibilities Discrimination)に対する差別について
第27回 国際調停 (International Arbitrations) について
第26回 未払金回収の方法と法的権利
第25回 国際販売契約における配送用語とその法的効力
第24回 秘密保持契約(NDA)とは?
第23回 担保つき取引について
第22回 国際企業間紛争解決の手段について
第21回 製品品質保証(Warranty)の種類と法的効力
第20回 独占禁止法について

2009年
第19回 I-9 Form に関わる差別問題を防ぐための注意点
第18回 不法解雇の事例
第17回 駐在員(出向社員)と現地採用社員の雇用労働条件とその法的権利
第16回 ワシントン州での事業所設置について
第15回 アメリカで働く外国人のための新しい教育政策
第14回 ハラスメントと差別の違い
第13回 労働災害補償(Chapter 51.32 RCW)について
第12回 人員削減(Reduction In Force)・レイオフ・解雇手当・失業手当給付金
第11回 面接・採用の際の約束と虚偽陳述について(Misrepresentation and fraud)
第10回 契約社員〈独立契約者〉採用に関する法律
第 9回 家主(Homeowner)と建設請負業者(Contractor)の雇用関係とその問題
第 8回 市民権・永住権・ビザのステータスと、雇用の関係

2008年
第 7回 転勤や雇用形態変更に伴う契約書の法的有効性
第 6回 アメリカの雇用形態 - 正社員と契約社員の違い -
第 5回 解雇契約とそれに関わる問題点
第 4回 雇用契約とそれに関わる雇用上の問題と解決
第 3回 職場でのいじめとそれにかかわる法律、および対処の仕方
第 2回 育児介護休業法とそれに関連する法律
第 1回 労働法・雇用法の概要

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