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第39回:Attorney Client Privilege(弁護士・依頼者間の秘匿特権) について

米国ではどのような問題解決や交渉にも弁護士が関わっており、一般的に弁護士との関係についての認識が日本とは異なります。今回は、米国で弁護士を雇う際に成立する Attorney Client Privilege(弁護士・依頼者間の秘匿特権)についてご説明します。

米国でも一般的には社内の情報は "社外秘" 、個人間の情報は "秘密" 情報として、特定の相手と情報を交換することがよくあります。社外秘情報は、雇用契約書や他社・契約会社との業務契約書等の Confidentiality Provision(秘密保持条項)や NDA(秘密保持契約書)等によって社内や取引企業から入手した情報の非開示を約束し、この契約に対する違反は、会社の知的財産権問題とも深く関係します。

同様に、弁護士とクライアントとの間でも、業務契約を交わすと同時に、弁護士・依頼者間の秘匿特権が成立します。これは各州の弁護士協会の倫理規定にも細かく説明されていますが、弁護士はクライアントとの会話や情報を外部に漏らさないことを約束します。ですから、弁護士との契約書に NDA や Confidential Provision 等を設ける必要はありません。弁護士と業務契約を結ぶ前に交わした会話や情報は、規定上は秘匿特権として扱われませんが、ほとんどの弁護士はそのような情報もクライアントとの秘密情報として扱い、通常、情報が公開されることはありません。

その目的は、クライアント、または弁護士に問い合わせをした将来のクライアントが、外部への情報開示の恐れを持つことなく、弁護士に正確な法的判断をさせるのに必要な情報を弁護士に伝えることです。もしクライアントが弁護士に正直かつ正確に状況等を説明しなければ、弁護士の正確な判断(問い合わせの案件が勝ち目のある案件かの判断も含む)が不可能になることもあるからです。さらに、弁護士・依頼者間の秘匿特権情報を相手側に知られるとクライアントの法的立場も不利になるので、この特権は弁護士にとってとても大きな関心事でもあります。

例えば、訴訟が進行している間、証拠開示手続き(この手続きは日本にはありません)として、原告側が被告人に対して案件に関連する証拠書類の提出を求めることがよくあります。この際、被告人は、関連する資料であっても、また、訴訟の鍵になる内容であっても、弁護士・依頼者間の秘匿特権として保持されている書類を原告側に提出する義務はありません。従って、弁護士と交わされたメールや資料・手紙の中で、弁護士がクライアントにアドバイスをしたと判断される部分は裁判の証拠書類としても提出されません。こういった秘密情報が原告側に公開されたことによって、被告人であるクライアントの立場が不利になり、相当な被害額を原告に支払う結果になったため、被告人であるクライアントが自分の弁護士を後に訴えたケースもあります。

    ただし、秘匿特権の例外として、クライアントが弁護士との会話で違法行為や犯罪行為を認めたり、弁護士に弁護士倫理規定違反行為を強いたりした場合は、弁護士はこの会話を秘匿特権として扱う義務はありません。また、クライアントが弁護士との会話を他人に話した時点で、この弁護士・依頼者間の秘匿特権は解除されるので、クライアントとしても弁護士と同様に情報をできる限り外部に漏らさないよう努める義務があります。

クライアントとして弁護士との秘匿特権を保持するためには、たとえば、1)被雇用者が会社を訴える場合、被雇用者は外部の弁護士とは会社の電子メールアドレスを使用しない、2)社内弁護士との法律相談についてはできる限り会社の電子メールを使用する、3)法的問題のありそうな関連内容については弁護士に CC する、4)会社内の社外秘情報が株主の権利を侵害する可能性がある場合は、株主は社外秘情報も弁護士と共有する権利があるなどの方法があります。特に弁護士からの電子メールに "Attorney Client Privilege" というラベルが添付されていたら、弁護士の判断が間違っていない限り、それが弁護士・依頼者間の秘匿特権情報として扱われることを意味しています。ですから、クライアントは案件に関わるどのような極秘・社外秘情報も弁護士と交換することができ、それがクライアントの問題解決を早める鍵となることをご理解ください。

(2011年8月)

= お断り =
コラムを通して提供している情報は、一般的、及び教育的情報であり、読者個人に対する解決策や法的アドバイスではありません。 読者個人の具体的な状況に関しては、直接弁護士にご相談下さい。
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