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1999年春、ワシントン大学ロー・スクールで J.D. を取得して卒業。同年秋、法律の高等学位 LL.M を税法の分野で得るため、ニューヨーク大学ロー・スクールに入学し、翌年春に卒業。同年秋にガーヴィ・シューバート・ベアー法律事務所入社し、現在に至ります。ワシントン州弁護士会税法部門や贈与・遺産税委員会、キング郡弁護士会不動産・トラスト・エステート部門などに所属し、地域の様々な団体への講演も数多く手がけています。2002年11月の 『ぶらぼおな人』 をぜひご一読下さい。

ガーヴィ・シューバート・ベアー法律事務所
Garvey Schubert Barer
18th Floor
Second & Seneca Building
1191 2nd Avenue, Seattle, WA 98101
Phone: (206) 464-3939
Fax: (206) 464-0125
URL: www.gsblaw.com
※セールス・勧誘の電話・メールはご遠慮ください。
第11回: よくある質問

この連載は今回で最終回となります。そこで、よく依頼人やセミナーの参加者の方から出る質問についてまとめてみることにしました。

「遺言無しで死んだ場合、遺産はどうなる?」

第3回にも書きましたが、遺言書を持たずに亡くなった人の財産は、その人が居住していた州の法定相続法によって定められます。日本国籍保持者でもアメリカ永住者で、全ての財産がアメリカにある場合は、基本的に亡くなったときに住んでいた州の法定相続法が適用されますし、逆に、日本からの短期旅行者が事故で亡くなった時はこちらに「居住」していないので通常は日本の法定相続法が適用されることになります。

事情によりどちらの国に居住しているか不明確な人の場合、また複数の国に財産が点在している場合などは、どちらの国の法律がどの程度まで適用されるべきかが曖昧になることがあります。また、どちらの法定相続法が適用されても、遺産は基本的に残された家族に渡るのですが、遺族それぞれの取り分はどちらの国の法律が適用されるか、またワシントン州の法律が適用される場合は遺産がコミュニティ・プロパティ(第2回参照)であるかによって変わってきます。これらの問題はあらかじめ適切なエステート・プランを作っておくことによって回避できます。


「日本国籍保持者がアメリカで遺言書無しに死ぬと、遺産は全てアメリカ政府に取り上げられる?」

これは意外に多い質問なのですが、ほとんどの場合そのような結果にはなりません。ワシントン州の法定相続法では、故人の祖父母の代までさかのぼって子孫を探しても遺族が全くいない場合は、遺産は州の所有とされますが、そこまで身寄りのない人は極めて稀です。ただし、州政府が進んで遺族を探し出してくれるわけではないので、米国に近親者がおらず、日本にいる遠縁の親戚たちが故人の死を長年知らなかった場合などは、「故人には遺族がまったくいない」という結論になることもありうるかもしれません。遺族が後から死を知った場合は州政府が遺産を州の物とする手続きを始めてから7年以内であれば遺族としての申し立てをすることができます(遺族が未成年者であった場合は成人してから7年間)。


「グリーンカード保持者は必ず "QDT"(Qualified Domestic Trust)を作らないとたくさんの遺産税がかかる?」

これもよくある誤解の1つです。第一に、"QDT" は既婚者でなければ作成することはできません。また、既婚者でも、遺産総額が遺産税課税免除額よりも少ない場合は "QDT" を作成しなくても無税で遺産を受け取ることができます。詳しくは第10回をご参照ください。


「離婚した夫との間に未成年の子供がいるが、私が先に死んだ場合、前夫以外の人を後見人として指名できるか?」

指名することはできますが、前夫が後見人となることを防ぐのは困難です。前夫は前妻との結婚関係は解消されていても、子供との親子関係は親権を抹消されない限り継続しますので、前妻が亡くなった場合は子供の後見人となる第一権利があります。ですから、前夫自身に後見人としての資格問題がある(極端な例を挙げると、罪を犯して服役中である場合など)のでないかぎり、それを防ぐことは困難です。しかし、前夫が後見人の役目を拒否する場合や何らかの事情によってできない場合(前夫が先に死亡する、または事故などによって意思表示不明になる)ことも考えられますので、遺言書によって代理後見人を指名しておくのは良い考えです。


「最近、遺言書を作ったが、生命保険やIRAの受取人はもう何年前から変更していない。遺言書に自分の希望を明記してておいたが、これで安心していいのだろうか?」

基本的に遺言書の内容が生命保険やIRA、401(k)などの受取人指名と一致しない場合、後者が優先されます(第4回参照)。ですから、遺言書を作成すときは必ず同時にこれらの財産の受取人指名を確認し、両方の内容が一致することを確認するべきです。また、受取人を指名した後に離婚した場合は、法律によって自動的に元配偶者が受取人指名からはずされることもあるので、必ず確認が必要です。厳密には法律上、これらの受取人を遺言によって指名することも不可能ではないのですが、現実的な問題として、遺言の内容と受取人指名が異なっている場合、保険会社やIRAの管理会社などは必ずしもワシントン州の法律をすぐに理解し、その通りに従ってくれるとは限らないので、死後のトラブルを防ぐためにはあらかじめ受取人指名は別に更新した方が賢明です。


「委任状(Power Of Attorney)というのは遺言書と同じもの?」

委任状は遺言書とは全く異なる書類です。第7回にも詳しく書きましたが、遺言書というのはあくまでも自分が死んだ後に初めて効果を発揮するものですので、生前は何の法的効果もありません。これに比較して、委任状というのは、本人がまだ生きているのに意思表示ができないことを考えて(例えば昏睡状態など)第三者に行動権限を代理でゆだねるものですから、生前に効果を発し、本人の死亡と同時に効果を失います。ですから、生前と死後の両方をカバーするためには委任状と遺言書の両方が必要です。

長い間にわたってご愛読いただき、ありがとうございました。


(2005年6月)


= お断り =
コラムを通して提供している情報は、一般的、及び教育的情報であり、読者個人に対する解決策や法的アドバイスではありません。読者個人の具体的な状況に関しては、お住まいの州のエステート・プランニング弁護士にご相談ください。

なお、このコラムにおける法律の情報は特に明記されていない限り、掲載時のワシントン州の法律に基づいております。エステート・プランに関する法律は州によって大きく異なりますので、ご注意ください。
第10回 連邦遺産税
第9回 連邦贈与税
第8回 州遺産税
第7回 委任状(Durable Power of Attorney)
第6回 プロベート
第5回 リビング・トラスト(Living Trust)
第4回 プロベートを通さない遺産相続(Nonprobate Transfers)
第3回 遺言状(Will)
第2回 コミュニティ・プロパティ
第1回 エステート・プランとは?
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