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第4回: プロベートを通さない遺産相続(Nonprobate Transfers)
前回は遺言状についてお話しましたが、残念ながら遺言状を作ればもう死後のことは安心というわけではないのです。アメリカの遺産相続にはプロベートとノン・プロベートという2通りの相続方法があります。遺言状はプロベートを通して相続される財産の処分方法を指示するものなので、ノン・プロベートの財産は遺言状の内容と関わりなく、独自のルールに従って相続されます。
一般的なノン・プロベート財産は以下のものを含みます。
(1)受取人を指名できる財産
・ 生命保険
・ 退職資産(年金、401(k)、Individual Retirement Accounts等)
・ Pay On Death (POD)またはTransfer on Death (TOD)という形の口座
これらの財産はそれぞれ、持ち主の死後の受取人(Beneficiary)を指定できるという共通の特徴を持っています。このように受取人が契約上で明確に指定されている財産は、その指定に沿って分配されます。
(2)JTWROSという形で共同所有されている財産
2人以上の人が共同で財産を所有する場合には、"Joint Tenancy with Rights of Survivorship (JTWROS)" という形にすることができます。基本的に、JTWROSの形にして所有されている財産は共同所有者の1人が死亡した場合に残された共同所有者が財産を自動的に相続します。よくある例が銀行のジョイント口座です。さらに、投資口座や不動産をJTWROSとして共同で所有することも可能です。
(3)コミュニティ・プロパティ・アグリーメント(Community Property Agreement)による相続
これについては第2回でお話しましたが、一般に言うコミュニティ・プロパティ・アグリーメントとは、死後の財産相続についての夫婦間の契約書です。このような契約書を夫婦間で交わしている場合には、遺言状の内容に関わらず残された配偶者に故人の財産全てが渡ります。
以上のタイプの財産を持っている人が死後の遺産相続をコントロールしたい場合には、遺言状を作るだけでなく、受取人の指名もエステート・プランの全体像に従って変えたり、JTWROSとなっている財産をそうでない形に名義変更したりすることが必要になってきます。
例: AとB夫婦は以下の財産を持っており、子供Cが1人いる。AとBは最近遺言状を作り、先に死んだ者の財産は残された者のためのトラストに入れ、2人目の死後にCに財産が渡るようにした。
・ 自宅(AとBの共同名義、JTWROSにはなっていない)
・ 投資口座(AとBの共同名義、JTWROSになっている)
・ Aの生命保険(受取人はC)
Aの死後、以上の財産は次のように相続される。
・ 自宅−遺言状にそってBのためのトラストへ
・ 投資口座: JTWROSなので、Bに直接(トラスト経由ではなく)渡る
・ Aの生命保険−受取人はCなので、Bがまだ生存中であるにもかかわらず、Cに直接渡る
バリエーション 1: AとBは遺言状を作った後、投資口座の名義をJTWROSでないものに変え、生命保険の受取人を遺言状の中身に沿ったものに変えた。Aの死後、Aの財産は全て遺言状の内容の通り相続される。
バリエーション 2: AとBは遺言状を作った後、投資口座の名義をJTWROSでないものに変え、生命保険の受取人を遺言状の中身に沿ったものに変えた。しかし、実はAとBは結婚後間もない頃コミュニティ・プロパティ・アグリーメントに署名しており、遺言状を作ったときにはそのことを忘れていた。Aの死後、Bはこのアグリーメントを見つけ、遺言状のかわりにそれを執行することにした。そうすると、Aの財産は全てBに渡ることになり、Aの遺言状の内容は果たされなくなる。
以上の例で分かるように、せっかくいろいろ考えた末で立派な遺言状を作っても、財産のほとんど、または全てがノン・プロベート財産である場合、遺言状に沿った相続が実現されなくなってしまいます。ですから、遺言状を作った後は必ずこれらのノン・プロベート財産の名義・受取人を確認し、プランに沿ったものにするべきでしょう。また、コミュニティ・プロパティ・アグリーメントに署名したことがある夫婦は必ずそれを見直して、破棄するかそのまま持続するかを決める必要があります。
プロベートを通さない相続には上記のもののほかにも、リビング・トラスト(Living TrustまたはRevocable Living Trust)というものがあります。これについては次回お話します。
(2004年9月)
= お断り =
コラムを通して提供している情報は、一般的、及び教育的情報であり、読者個人に対する解決策や法的アドバイスではありません。読者個人の具体的な状況に関しては、お住まいの州のエステート・プランニング弁護士にご相談ください。
なお、このコラムにおける法律の情報は特に明記されていない限り、掲載時のワシントン州の法律に基づいております。エステート・プランに関する法律は州によって大きく異なりますので、ご注意ください。
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