1990年代に入ると、日本企業による雇用差別が法的問題から社会問題に発展したとして、ラントス議員率いるアメリカ議会下院の小委員会("Employment
and Housing Subcommittee")が "Employment Discrimination by Japanese-Owned Companies
in the United States" という題目の公聴会を行い、訴訟を起こした元従業員・企業幹部・弁護士・政府関係者、その他の専門家の証言を元に問題を分析する結果となりました。一般には
"Lantos Hearings" として知られるこの公聴会では、一定の人種を除外する人材選考過程や、黒人コミュニティを避けた工場の設置、そして社内でのアダルト・ビデオ鑑賞に至るまで、日本企業による多様な差別行為が取り上げられました。また、女性従業員のみによるお茶汲みや不明確な
"job description"(職務の範囲)など、日本の伝統的な企業文化を「アメリカに持ち込むな」という意見が出されました。「我々アメリカ人は自国にいながら下等の人間として扱われている」「日米関係の醜い章が開かれた」といった怒りをぶつける声もあがり、問題の深刻性を反映しました。
公聴会で厳しく追及されたケースのひとつとして、カリフォルニアで企業を対象に就職斡旋を行うリクルート
USA をめぐる差別問題をご紹介します。リクルート USA は、顧客の要望に応じて一定の人種・出身国・性、あるいは年齢の候補者を選択する目的で暗号を使用していました。例えば、"Talk
to Adam"(男性に限る)、"Talk to Eve"(女性に限る)、"Talk to Haruo"(日本人男性に限る)、"Talk to Haruko"(日本人女性に限る)、"Maria"(ヒスパニックの女性)、"Maryanne"(黒人女性)、"Suite
20 through 35"(20歳から35歳)といった具合です。更に、「外国人は不可」「白人と黒人は不可、しかし日系人であれば可」などと記したメモを使用していたことや、男性と女性の候補者を4対1の割合に決めていたことなども判明しました。雇用機会均等委員会との交渉において、リクルート側が、差別の対象となった人達への賠償金支払いに加え、アメリカ雇用機会均等法に関するセミナーを通して、日本駐在員に啓蒙を促す義務が課される結果となりました。