第9回:
日本のDV 防止法 - 今回の改正案とアメリカ(ワシントン州)との比較 -
日本では2001年にDV法(正式には「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」)が可決成立し、各都道府県では2002年より婦人相談所などを活用した
『配偶者暴力相談支援センター』 を設置し、相談受付や一時保護などに当たることになりました。この12月にそのDV法が改正されましたが、その内容は下記のとおりです。
(1) "配偶者からの暴力" の定義の拡大
今までは、配偶者(事実婚も含む)だけだったのが、元配偶者も含むことになりました。このため、DVのために離婚した後も、心身に危険があれば保護命令を出すことができます。アメリカではDVの加害者に(元)配偶者のみならず、デート関係にあるパートナーも含んでいます。
(2) 保護命令制度の拡充
改正前は「被害者が更なる配偶者からの暴力によりその生命又は身体に重大な危害を受ける恐れが大きい時は、裁判所は被害者の申し立てにより、当該配偶者に対し、6ヶ月間、被害者に接近することなどを禁止すること、生活の本拠とする住居から2週間退去することを命ずること」となっていました。この点における変更点は、被害者本人だけでなく、子供への接近禁止命令も発することができる(ただし、子供が15歳以上のときはその同意がある場合に限る)、被害者とともに生活の本拠としている住居付近の徘徊も禁止する、退去命令を2ヶ月に拡大し、再度の退去命令の申請も可能になり、さらに保護命令の手続きを改善するなどです。被害者は子供と一緒にいることが多いので、子供への接近を禁止することは被害者・子供の安全のためとても大切なことでした。今後の問題は、永久保護命令がないため、退去命令が有効な2ヶ月以内に被害者は安全なところに逃げる必要があることです。ここでのアメリカとの違いは、日本では加害者が逮捕されるということはほとんどありませんが、アメリカではDVがあったと認められれば逮捕され、被害者の申請なく検察側が3ヶ月の接近禁止命令を出します。また、保護命令は最初、緊急措置として2週間認められ、その後、裁判官が1年またそれ以上の命令を出しその後再申請も可能となっています。
(3)市町村による配偶者暴力相談支援センター業務の実施
今までは都道府県の婦人相談センターなどに相談機関があったため、遠くて相談に行くことができないケースがありましたが、今回の改正で市町村でもDVの相談センターができるようになりました。
(4)この他、改正案の中で、被害者の自立のための就業、住居などの政府の支援の明確化、被害者保護を図るため、民間との連携強化などが述べられています。今、日本では公的なシェルターが150ほど、民間シェルターが75ほどしかありません。民間はほとんど政府から補助金が出ないので、とても大変な状況であると伺っています。外国人被害者のためのシェルターに、DV法ができた途端、日本人被害者が殺到したという話も伺っています。日本では、最近になってマスコミがDVについて騒ぎ出したので、今後もっとシェルターは、必要になるでしょう。それとともに、DVについての一般人への啓蒙、職員の研修、加害者更正プログラムの設置、外国人被害者の援助などが、今後の課題として考慮する必要があるようです。
アメリカでは日本よりシェルターの数ははるかに多く、政府からの経済的援助がたいていありますが、それでもシェルター不足は深刻な問題です。シェルターに入りたいと思ってもすぐ入れるわけではありません。ですから、その間どうしたら安全でいられるか、被害者は安全策(セーフティ・プラン)をアドボケイトとよく話し合う必要があります。
アドボケイトの訓練はワシントン州ではWSCADV(Washington State Coalition Against Domestic
Violence), KCCADV (King County Coalition Against Domestic Violence)
などの団体、そして国の犯罪被害者権利擁護局Office of Crime Victims Advocavy などが行っています。
(2004年12月) |