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第9回 : 担保権の重要性

会社としてであれ個人としてであれ、金銭を貸した場合は返済してもらわなければなりません。貸金を取り戻す保証としては、適切に担保をとることが大切です。

担保をとることなく金銭を貸して返済がなされない場合は、貸手は借手の財産を差し押さえることはできません。裁判に訴え判決を得て初めて "Sheriff" に差押さえをさせることができます。しかし、これは時間と費用のかかる手続きで、往々にして割の合わないものとなります。これに対し、担保を設定して金銭を貸す場合は、返済がなければ訴訟手続きを経ることなく、担保物件を差押さえて売ることができます。

また、担保をとることの利点は、借手が破産宣告を申請した場合にあります。担保をとっていない貸主は借手の少ない資産を他の債権者と分け合わなければならず、結果として貸金の回収が困難です。これに対し、担保をとっていれば破産宣告とはほとんど関係なく担保物件を差し押さえることができます。

では、担保権はどうやって設定するのでしょうか。まず、借手に、約束通り返済できない時には貸手が財産(担保品)を取得することに合意するとの署名をさせることが必要です。そして債務不履行が起きた場合、この担保契約書を裁判官の面前に提出して裁定を受け、担保品についてのの権利を与えられます。

しかし、借手が悪知恵の働く人間で、財産 X を担保品として A からも B からも借金した場合はどうなるのでしょうか。借手が返済できなければ、A も B も X についての権利は有しますが、さて AB どちらがより強い権利を持つのでしょうか。最初に担保を取得したのはA ですが、 B もまた被害者でもあります。

このような問題が起きるのを防ぐ法律は、対抗要件を具備して担保契約を"Perfect" (完全なもの)とすることを貸主に求めています。簡単に説明すると、担保権が設定されたことを公にすることで担保契約を "Perfect" とする訳です。貸主が他の貸主に担保権の存在を知らせた後に他の貸主が担保権を設定することは可能ですが、ちょうど第1抵当権者、第2抵当権者への支払いと同じように、対抗要件を最初に設定した者が返済を受けてなお残りがあれば、次の貸主が弁済を受けることができます。

対抗要件具備の方法は、担保とされる物によって異なります。担保権によっては自動的に対抗要件を備えるものもありますが、たいていの担保権は公的機関への届出を必要とします。例えば、不動産上の担保権は郡の不動産台帳へ登記することで完全なものとなります。"Deed of Trust" が借主によって登記されるのはそのためです。よくある、ビジネスの「売掛金および在庫・什器備品・機械・備品・道具」についての担保契約の場合、"Financing Statement" と呼ばれる融資報告書を、別の機関に登録します。したがって、これらを担保に融資しようとする場合は事前に、該当機関で他の "Deed Of Trust" や "Financing Statement" の存在の有無・内容を確かめる必要があります。

担保品が妥当なものでかつ他の担保契約の対象でもないという調査を済ませ、かつ借主が担保品を大切に扱い、担保契約が対抗要件を具備していれば、貸主は返済についてほぼ安心していて良いと言えるでしょう。


(2006年3月)

= お断り =
このコラムは一般的な情報提供のみを目的としたものであり、法的勧告もしくはそれに代わるものと見なされるべきではありません。このコラムは、執筆担当者と読者の間に、弁護士とクライアントという関係を意図するものでも、そのような関係を築くものでもありません。ここに含まれている内容は概括的なものであり、読者個人の法的なまたは事実に基づく状況には適合しない可能性があります。このコラムから得られる情報に基づいて何らかの行動を起こされる場合は、必ず専門家に相談するようにしてください。
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