そこで連邦議会は1950年代に、小規模ビジネスの株式会社にとってこの二重課税は負担が大きすぎるとの立場をとり、一定の小規模ビジネス株式会社経営者は法人の収益または損失を直接、自身のものとして取り扱えるものとしました。この法律が内国歳入法典に
S 章として編入された結果、該当する法人は「S コーポレーション」または 「S コープ」と呼ばれています。株主が S 章適用を選択するにはその会社が、A)米国内の会社であり、B)株主は、非永住権者でない個人か一定の資産または信託であること かつ C)株主数が75人以下で D)株式は1種類のみ、であることが必要です。
以上のように、この S コーポレーション法は、小規模ビジネス株式会社の経営者にとって便利なものですが、いくつかの点で注意が必要です。
まず、株主の1人でも非永住権者の場合は適用できません。これは、S 章適用の開始要件であるばかりか、継続要件でもありますので、もし株主の1人が日本に永久帰国すれば、S
コーポレーションとしての扱いができなくなります。 いったん S コーポレーションでなくなった場合、再度 S コーポレーションになりうるのはそれから5年目のことです。このような事態に対しては、株主の帰国の際には株式を会社に売り渡すものとするとの合意を取り付けておくとよいでしょう。
日本人経営のビジネスとしてもう1つ気をつけなければならない点は、S コーポレーションのオーナーは法人であってはならないことです。日本法人は往々にして100%子会社として米国法人を設立しますが、例えば日本の「株式会社クスノセ」が米国に「クスノセ(USA)社」を設立した場合、「クスノセ(USA)社」は
S コーポレーションにはなることはできません。S 章適用の利点は大きくとも、会社が所有する場合は S コーポレーションになることは認められていないのです。
ところで、大きな問題でありながらあまり日系のビジネスに知られていないのが、1種類以上の株式を発行した株式会社は S コーポレーションになることはできないことです。「一般株」と「優先株」が存在する場合や、「議決権のある株」と「議決権なき株」がある場合は、S
コーポレーションにはなることはできません。
以上でお分かりのように、S コーポレーションとなり得るのは、どちらかと言えば単純構造で小規模なローカル・ビジネスです。一旦これらの要件を満たせば、二重課税がなくなるための税率低下を主なものとして、S
章適用の利益は大きいものがあります。なお、法人設立に際し、S コーポレーションとなるには期限の制約があることにご注意下さい。また、C コーポレーションとして設立された法人も
S コーポレーションに変更することはできますが、変更前までの資産利得については法人税が課税され、それは S コーポレーションを選択してから10年以内にわたって継続されます。S
コーポレーションの選択または S コーポレーションへの変更については、会計士または弁護士にご相談下さい。