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第33回 : ワシントン州の 『Distressed Homeowner Act』

ミネソタ州、イリノイ州、カリフォルニア州、およびいくつかの州に続き、ワシントン州も困窮状況にあるホームオーナーを支援する法律 『Distressed Homeowner Act』 を制定しました。この法律は2008年6月12日から発効しています。

現在の相場額から当該家屋を抵当とした借金残額を差し引いた価値(エクイティ)が10万ドルある家を持つ人が失職し、毎月の返済ができなくなったとします。この家を売ってしまうと別の家を購入することはもう不可能なので、所有主は家を売却したくありません。そこで詐欺師が、差し押さえの公告がなされると、その物件の所有権移転と引き換えに毎月の返済の肩代わりをすると申し出ます。つまり、所有主は、自分の家を買い戻すまでは借家として賃料を払って同じ家に住み続ける訳です。しかし、この詐欺師は、所有主が家の買い戻しどころか、賃料支払いもいずれ不可能となることをあらかじめ知っています。現在は借家人でしかない元所有主はやがて立ち退かされ、家は詐欺師に売却されることになります。そして、詐欺師の手には、エクイティの10万ドルが儲けとして残るという仕組みです。

新しい法律の目的は、この手の権利移転を防ぐことにあります。譲渡契約が、差し押さえ物件の持ち主への賃貸契約と買戻しまたは再譲渡の際の利益供与条項を含む場合は:
  • 困窮家屋の購入者は、売却条件を克明に記した契約書を所有主に渡すとともに、5日以内であれば契約を取り消すことのできる権利を与えなければなりません。

  • 困窮物件の購入者は、購入前に、所有主が賃料支払い、および買い戻しの能力を持つことを確認しなければなりません。

  • 所有主が物件を買い戻すことができない場合、持ち主は所有権を失った時点での実勢価格の少なくとも82パーセントを受け取ることになります。

  • この法律に反する行為による損害をこうむった所有主は、実質損害の3倍、最大10万ドルまで要求することができます。
「困窮家屋」とは、一戸建てまたは二軒一棟、三軒一棟、四軒一棟の建物で、所有主が自分の主な住居として住み、差し押さえられているか、差し押さえの可能性のある建物をいいます。マンション型の大規模建造物は、この法律の対象となっていません。法律では、抵当権設定のある家について支払いが30日以上遅れている場合は、差し押さえの恐れがある、すなわち困窮状態と見なすことができます。また、所有主が今後4カ月以内には抵当物件に対する返済ができなくなると判断し、そのことを弁護士または不動産業者、金融担当者その他の関係担当者に連絡した場合は、その家は困窮状態にあると見なされます。

新しい法律の後半は、「差し押さえを阻止できます」「あなたの家を救います」などのサービス提供を謳う、「困窮ホーム・コンサルタント」の出現を防ぐことを目的としています。ワシントン州議会は(他州の類似の法令と異なり)、ライセンスを持つ不動産業者をこの法律の対象から免除していませんので、州内の不動産ブローカーやエージェントは、住宅所有者が毎月の返済や税金支払いに遅滞を生じた場合には思いがけない責任を問われることも予想されます。このため、州議会は現在、条項の追加を検討しています。

(2008年7月)

= お断り =
このコラムは一般的な情報提供のみを目的としたものであり、法的勧告もしくはそれに代わるものと見なされるべきではありません。このコラムは、執筆担当者と読者の間に、弁護士とクライアントという関係を意図するものでも、そのような関係を築くものでもありません。ここに含まれている内容は概括的なものであり、読者個人の法的なまたは事実に基づく状況には適合しない可能性があります。このコラムから得られる情報に基づいて何らかの行動を起こされる場合は、必ず専門家に相談するようにしてください。
第33回 ワシントン州の 『Distressed Homeowner Act』
第32回 米国ビジネス法についての指針
第31回 小規模ビジネス売却にあたっての税法上の考慮
第30回 『1031Tax Exchange』 を利用する場合における注意事項
第29回 有限会社メンバーシップによる債務保証の完全化
第28回 資産売却に際する債務不継承についての例外
第27回 州法5373 ワシントン州失業保険プログラムの対象拡大
第26回 2007年の特許法改定について
第25回 ワシントン州消費者保護法(Consumer Protection Act:CPA)後編
第24回 ワシントン州消費者保護法(Consumer Protection Act:CPA)前編
第23回 責任制限条項(Exculpatory Clauses)
第22回 共有財産の売却に際しての配偶者・家庭内パートナーの同意
第21回 なぜ有限責任会社(Limited Liability Company)は人気があるのか?
第20回 バラード・スクエア判決とシングル・プロジェクト法人
第19回 リース契約と賃料支払能力
第18回 個人保証の重要性
第17回 商標の上手な選び方
第16回 米国著作権
第15回 地役権(ちえきけん)
第14回 ワシントン州の不動産消費税(REET)
第13回 取締役及び役員の賠償責任保険(D&O Insurance)について
第12回 不動産を担保とする貸金契約
第11回 株式プラン
第10回 単独所有と有限責任主体 (法人) (2)
第9回 担保権の重要性
第8回 Buy-Sell Agreements ("売り渡し・買い取り規定")
第7回 既存ビジネスの買収
第6回 "S コーポレーション"とは
第5回 単独所有権と有限責任法人 (1)
第4回 国際商標登録
第3回 商標
第2回 コマーシャル・リース
第1回 ビジネス・ライセンスの取得
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