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第20回 : バラード・スクエア判決とシングル・プロジェクト法人

ワシントン州最高裁は昨年11月、注目されていたバラード・スクエア・コンドミニアム所有者組合対ダイナスティ建設会社の裁判に判決を下しました。この 『バラード・スクエア判決』 では、消滅した会社に対し裁判を提起することはできるのか、また、どのような請求ができるのかが問題となっていました。

会社は、設立と同様にまた、消滅することもあり得ます。会社が不要なものとなれば所有者は会社を解散しますし、会社が毎年の納入金を滞納すれば州政府が解散させることもあります。いずれにしても解散してしまうと、会社はもう存在しないものとなります。こういう事態に備え、ワシントン州法はこれまでもまた今後も、会社とその所有者はすでに会社解散前に請求の対象となっていた賠償責任について、会社解散を理由として免れることはできないことを定めています。

これに対し、『バラード・スクエア裁判』 は、「賠償請求の必要について会社解散後に気づいた場合はどうなるのか」を判断しました。つまり、仮に法律で「書面による契約について、当事者は6年間の訴訟提起期間を有する」と定められているとした場合、会社解散後に初めて契約上の問題に気づいた者が訴訟を提起できるかどうかということです。バラード・スクエア裁判では、コンドミニアム所有者組合がその建物の開発業者、ダイナスティ社を訴えました。同社は最後のユニットを売り終えた後の1995年に解散しましたが、1996年から1997年にかけてユニット内の水漏れが発見され、しかも同社が当初の計画通りに工事を履行しなかったことが明らかになったため、コンドミニアム所有者組合が訴訟を提起したのです。

ワシントン州下級審は、同社の解散前に請求がなかった以上、組合は同社を訴えることはできないと判断しました。「会社不存在、故に訴訟もなし」ということです。一方、最高裁はこれに同意せず、そのような訴訟を禁じる法律がない以上、訴訟は適切に開始されており、組合は訴訟を継続できるとの立場をとりましたが、最終的に最高裁は、州議会が2006年に法律を下記のように変更した事実に従いました。


RCW 23B.14.340
解散後救済方法の残存


2006年6月7日より前に解散された場合には、解散が効力を生じた日から2年以内に訴訟、その他の手続きが開始される。2006年6月7日以降解散の場合には3年以内に訴訟、その他の手続きが開始される。解散前に存在した権利または請求について、または解散前またはそれ以降に生じた賠償責任についても、会社または取締役、役員、株主を相手に責任を追求する救済方法を失わせたり減じたりしない。会社に対するその訴訟または手続きに対しての弁護は、会社により会社の名の下に行いうる。


簡単に言えば、2006年6月7日(改正法が発効した日)より前に解散した会社については会社を相手取って訴訟できる期間が2年あり、2006年6月7日以降の解散会社を相手にする場合にはその期間は3年あるということです。2年や3年などと聞くと長いように思えるかも知れませんが、訴訟を提起するまでにはかなりの時間がかかります。会社解散でない場合などは問題が起きてから訴訟を始めるまで6年という場合も少なくありません。解散した会社について議会は訴訟提起できる期間をなるべく短くしようとしたのです。何しろ解散後は、そもそも会社は存在していないのですから。

このように解散した会社を相手とし得る期間が短いため、シングル・プロジェクト法人(たとえば特定のプロジェクトのための開発業者として組織された会社)の所有者としては、今後生じるかもしれない賠償請求の数を低くする一助としても、何らかの賠償請求の起きる前に早く会社を解散することが望ましいということになるでしょう。賠償責任という観点からは、多数のプロジェクトを扱う1社を用いるよりも、プロジェクトごとに会社を設立してその終了により会社を解散するほうが利点があるとも言えます。逆に、消費者の立場から言えば、クレームがある場合は早急に動く必要があるとも言えるでしょう。


(2007年4月)

= お断り =
このコラムは一般的な情報提供のみを目的としたものであり、法的勧告もしくはそれに代わるものと見なされるべきではありません。このコラムは、執筆担当者と読者の間に、弁護士とクライアントという関係を意図するものでも、そのような関係を築くものでもありません。ここに含まれている内容は概括的なものであり、読者個人の法的なまたは事実に基づく状況には適合しない可能性があります。このコラムから得られる情報に基づいて何らかの行動を起こされる場合は、必ず専門家に相談するようにしてください。
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