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第5回 : 会計事務所の提供する会計サービスについて - "Financial Statement" の種類編
年末から始まったタックス・シーズン中にさまざまなお問い合わせをいただきましたが、米国の会計事務所で行っているサービスは意外に知られていないのだろうかと思うことが多々ありました。そこで、会計事務所の提供しているサービスについて、2回に分けて解説したいと思います。
■
Financial Statement の種類
お客様から、「当社の会計をいくらぐらいでやっていただけるのでしょうか?」というお問い合わせをよくいただきます。この質問に対し、私はいつも、「"Financial Statement"、あるいは決算書は、どのような種類のものを必要とされていますか?」というところからお話を伺うのですが、「決算書には種類があるのですか?」というのが、一般的な反応です。日本において、例えば「決算」という場合、「決算書 + 確定申告書」が一対のものとして作成されるというのが一般的なイメージかと思いますが、アメリカにおいては「決算書の作成」と「確定申告書の作成」は異なる2つの作業であり、決して「決算」の一言でくくれる作業ではありません。
それではまず "Financial Statement"(財務諸表)には、どのような種類のものがあるのでしょうか?財務諸表の書類を考えるとき、いくつかの分け方があると思いますが、今回はまず GAAP ベース、あるいは OCBOA ベースという2つの種類に分けて解説したいと思います。
・GAAP ベースの Financial Statement/財務諸表
まずよく知られているものとして、GAAP ベースの財務諸表がありますが、これはつまり "Generally Accepted Accounting Principle"(一般に認められた会計原則)に則った形の "Financial Statement" を指します。GAAP は、SAS(Statements on Auditing Standards:監査基準書)第69号において定義されており、FASB(Financial Accounting Standard Board:財務会計基準審議会)が発行したFAS(Statement of Financial Accounting Standards:米国財務会計基準書)などの基準書、あるいはFIN(FASB Interpretation:FASB 解釈指針)などの指針などがいくつかの階層に分類され、かつ複雑に関連しながら構成されていますが、「米国の会計原則に則った "Financial Statement"」と言った時、このGAAP の規定に基づいたものが1つの代表的なものと言えるでしょう。
・OCBOA ベースの Financial Statement/財務諸表
次に、OCBOA ベースの財務諸表ですが、こちらは "Other Comprehensive Basis of Accounting"、つまりその他包括的基準に則った "Financial Statement" を指します。OCBOA ベースの財務諸表は SAS 第62号において定義されてた "Special Report" に該当しますが、代表的なものとして、"Modified cash basis"(修正現金主義ベース)、あるいは "Tax basis"(税法ベース)などの "Financial Statement" があります。先の GAAP ベースのものとは多少異なりますが、他の包括的基準に基づき作成される財務諸表ですので、その使用目的などによっては有用な書類となり得ます。
・GAAP、OCBOA ベース以外の Financial Statement/財務諸表の扱い
それでは、GAAP や OCBOA ベース以外の "Financial Statement" の扱いはどのようになるのでしょうか?基本的には GAAP ベースでない場合、"Financial Statement" は "Departure from GAAP"、つまり GAAP からの離反となり、一般に認められた会計原則、あるいはその他包括的基準に則っていない財務諸表という扱いになります(当所では、これらを「試算表」と呼び、"Financial Statement" とは区別して扱っています)。この場合、会計原則、会計基準に沿っていない "Financial Statement" に関しては、自分以外の第三者に開示すると問題になりかねないことが多く、投資家や株主などへの社外使用においては適していない書類のため、原則「試算表」の開示は禁止されていると言えるでしょう。
このように、"Financial Statement" と一言で言っても、どのような基準を元に財務諸表を作成するのか、あるいは、どのような使用目的で "Financial Statement" の作成が必要なのかなどにより、会計事務所が用意する書類が異なってきます。"Financial Statement" を対外的に開示する必要のない場合などは、OCBOA ベース、あるいは試算表レベルの書類でも十分かもしれませんが、日本に親会社があり、連結決算などの必要性がある場合は、GAAP ベースでなければ連結時に支障が出てくる可能性が高いと言えます。従いまして、まずはこれらの違いが存在することを知っていただき、皆様の必要とされる種類の "Financial Statement" を選択されることをおすすめします。
次回はこれらの "Financial Statement" を作成・報告する上での作業の種類(Compilation、Review、あるいは Audit など)について解説したいと思います。
(2007年6月)
= お断り =
コラムを通して提供している情報は、一般的、および教育的情報であり、読者個人に対する解決策や法的アドバイスではありません。 このコラムから得られる情報に基づいて何らかの行動を起こされる場合は、必ず会計・税務の専門家に相談するようにしてください。
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第4回
起業に際しての事業形態
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第3回
課税対象所得の範囲とは?
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第2回
私は確定申告をする必要性があるのでしょうか?(2)
■
第1回
私は確定申告をする必要性があるのでしょうか?(1)
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