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BLACK さん「努力をすれば夢はかなうと伝えたい」(プロ・ヨーヨー・パフォーマー)

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就職後も夢をあきらめなかった

自己評価が低かった少年時代。そんな BLACK さんを、ヨーヨーとの出会いが変えた。

幼い頃は、自分に自信のない子供でした。でもヨーヨーと出会い、「これなら上手くなれるかも」と思い、練習を重ね、2001年には世界大会で優勝しました。でも、金メダリストと言えど、ヨーヨーは所詮おもちゃ。「ただの大学生」という私の日常は変わりませんでした。卒業後は会社員として就職しましたが、業務に対する意欲は低く、自分は会社に貢献できていない、社会の役に立たない人間だと感じました。

そんな自分に嫌気が差し、「では、自分は世の中にどのように貢献できるのか」と考えた結果、「ヨーヨー選手の社会的地位を向上させること」だと思い至りました。そして、「シルク・ドゥ・ソレイユ等の社会的評価の高い舞台でヨーヨーを披露できたら、ヨーヨーそのものに対する評価も変わるのではないか」。そう考え、独立し、プロのパフォーマーになりました。

シルク・ドゥ・ソレイユ初のヨーヨーアーティストに

BLACKさん

シルク・ドゥ・ソレイユのオーディションに合格したものの、すぐに出演できるわけではない。その間に、BLACK さんを取り巻く環境は大きく変化した。

シルク・ドゥ・ソレイユのショーに出演するにはいくつかのパターンがありますが、私の場合はオーディション受験がその第一歩でした。ウェブ上で誰でも申し込むことができ、見込みのある人には、シルクからオーディションの日時・会場についての案内が届きます。合格するとシルクのアーティスト・データベースへ登録されますが、すぐに出演できるわけではありません。私の場合は2009年にオーディションに合格しましたが、『KURIOS』 への出演依頼を頂戴したのは、5年後の2014年でした。

『KURIOS』への出演依頼を頂戴した際は、嬉しい一方で、受けるべきか悩みました。と言うのも、2013年に講演会 『TED 』に登壇してから仕事の幅が広がり、パフォーマンス以外に講演活動にも力を入れるようになっていたからです。自身の経験を通じ「努力と情熱で道は開ける」、「自分を諦めず、幸せな人生を送って欲しい」と伝えることにより、ヨーヨー業界の後輩だけでなく、より多くの方々の役に立ちたいと思っていました。

ですが、『KURIOS』への長期出演が決まると、そうした講演活動の機会も限られてしまいます。悩んだ末、「まだ身体が動く若い間は、パフォーマーとしての技術を磨くことを優先しよう」と、出演を決めました。『KURIOS』 は移動型のショーなので、公演都市移動の間にいただく休暇期間に日本に戻り、講演活動を行っています。

シルク・ドゥ・ソレイユ唯一のヨーヨー・アーティスト。その責任は重い。

シルク・ドゥ・ソレイユのショーに出演しているヨーヨー・アーティストは私だけ。『KURIOS』でも代役はいません。怪我などでショーに穴を開けてしまわないよう常に万全の状態を保つ必要があり、体調管理は極めて重要です。

しかし、ある意味でそれ以上に責任を感じていることは、初のヨーヨー・アーティストとして、『シルク・ドゥ・ソレイユ』の名に見合う演技を披露し続けることです。私の演技如何でヨーヨーという演目そのものに対するシルクからの評価が左右され、後輩のヨーヨー選手が第2、第3のヨーヨー・アーティストとして出演できるか、「やはりヨーヨーはシルク・ドゥ・ソレイユに見合わない」となって、彼らの道を閉ざすことになってしまうかが決まります。これは私がプロとして独立した原点でもあり、大きな責任も感じますが、とてもやり甲斐があります。

「情熱で、夢をかなえることはできる」講演活動

日本人初の 『TED』 講演者となった BLACK さん。この経験を、さらに大きな意味で世の中の役に立つきっかけにできればと語る。

「才能も自信も無かった。けれど、情熱と努力で夢をかなえることができた」

講演では、そんな私の実体験をありのままにお話しさせていただいています。

独立当初は「ヨーヨーへの社会的評価の向上」を目標に掲げていましたが、2013年の TED 登壇時に、「情熱を持てる物を見つけ、そこへ向かって邁進した君は、これからの若い世代のロールモデルになるべきだ」「先行き見えない経済情勢の中、これからの若い世代が生きていく上で『情熱を持てる物』を見つけるということは、とても重要だと思う。ぜひ、『教育』という分野に力を貸して欲しい」との声をいただきました。

もしヨーヨー業界に止まらず 『教育』 という分野へも貢献することができたなら、より大きな範囲で世の中の役に立てることになります。自分がどこまでできるかはわかりませんが、ぜひ力を入れていきたいと思っています。

「『KURIOS』を観て元気をもらってくれたら」

BLACKさん

『KURIOS』 はシルク・ドゥ・ソレイユ30周年を記念するショーであることもあり、サーカスの原点に立ち返り、観客の皆さんに元気になってもらいたい、というメッセージが込められています。時代背景は、産業革命の直後。日々新しい技術が生まれ、経済も発展の一途を辿っていた、そんな前向きで明るい雰囲気に満ちあふれています。たとえ失敗が続いても、努力の積み重ねや、みんなで力を合わせることで、不可能も可能にできる。そんなメッセージが少しでも観客の皆さんに伝わり、日々の活力となれたら嬉しいです。

ぶらっく/東京都出身。青山学院大学卒業。1997年にヨーヨーを始め、2001年に米国フロリダ州で行われた世界大会で優勝。大学卒業後は会社員として就職するが、2007年にプロのヨーヨー・パフォーマーとして独立。2009年にはシルク・ドゥ・ソレイユのオーディションに、初のヨーヨーアーティストとして合格。2013年、日本人として初めて『TED』 で講演。その後は講演活動も積極的に行う。現在はシルク・ドゥ・ソレイユ の最新ツアーショー『KURIOS』 に出演している。
【公式サイト】 BLACK

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