第13回 40歳からのアメリカ移住「異国生活その後」

40歳からのアメリカ移住「異国生活その後」
Seattle IT Japanese Professionals

執筆者:保坂 隆太さん

第10-13回 筆者プロフィール:保坂 隆太 (ほさかりゅうた)さん
Seattle IT Japanese Professionals ディレクター。現職は Microsoft Corporation にて 社内IT部門のプログラム・マネジャー(ビジネスインテリジェンス・ビッグデータ)。東京生まれ/育ち。法政大学大学院システム工学研究科卒。40年以上の日本生活ののちに2012年からシアトル在住。シアトルに来てからアウトドアが楽しくて仕事よりも休日が忙しい。詳細プロフィール

漫画:銭湯ルイス(せんとうるいす)
Seattle IT Japanese Professionals 漫画担当。原案と作画を二人で担当しているコンビ名。日本の漫才コンビ 『星セント・ルイス』 とは別人。本業は IT。スーパー銭湯好き。

アメリカでの生活も早4年が過ぎましたが、いまだに毎日のように驚きや発見の連続で、とても刺激的な、かつ不安定な生活を楽しんでいます。もしこれを読まれている方が安定と保障を求められいるのであればまったくおすすめしませんが、冒険好きの方は40歳からでも50歳からでも、チャンスがあったらぜひ移住にチャレンジしてみましょう。移住されたあとの生活の保障をしてくれと言われても丁重にお断りさせていただきますが、移住して発見したこと、なぜ楽しめているのかをいくつか紹介したいと思います。

歳は関係ない

驚くべきことに、マイクロソフト本社では70歳くらいのおじいさんのような人が結構仕事をしています。定年がそもそも何歳なのかいまだにわからないですし(そもそも人事上のルールがあるのかどうかさえわかりません)、仕事、採用の現場で年齢を聞かれることはまずありません。私のささやかなキャリアゴールは人生の最後の日まで仕事をすることなのですが、どうも日本にいると強制的に仕事から離れる定年なるコンセプトがあるらしく、それが日本を離れた要因の一つでした。アメリカは社会保障システムが日本と比べるべくもない、高額な医療、などさまざまな問題がありますが、どんな職場でも年齢ではなく、その人がそのポジションに適切な人材なのかだけで純粋に判断されるので、幾つになってもやる気さえあれば新しいことにチャレンジできます。

私の友人には50歳を過ぎてから大学に通いはじめたり、オンラインでナノディグリーを取得する人がたくさんいます。年齢に関係なく新しいチャレンジを受け入れる文化は、長く仕事をしたい人にとってはまたとない環境だと思います。最近は日本でもダイバーシティが叫ばれていますが、男性女性という観点だけではなく、あらゆる年齢の人が前向きに、楽しく働ける社会というのはとても素敵だと思うのですが。

文化のるつぼ

多くの IT 企業がグローバルビジネスを展開しているおかげで、今シアトルにはさまざまな国からたくさんのタレントが集まっています。もちろんそれぞれの国のトップクラスが集まる中で仕事ができることはまたとない素晴らしい機会なのですが、それぞれの国・地域から持ち込まれる文化や習慣に日常生活の中で触れることができるのはとても刺激的です。たとえば、私が以前所属していたチームにはイスラム教徒が二人いたのですが、一人はとても敬虔な信者で、いかなることがあっても年に一度のラマダンをきちんとやる、つまり 一か月間まったく使い物にならない、対照的なもう一人は、今年はもう体調が悪くなっちゃったので例外適用といって、毎年例外を適用してラマダンを3日でやめる信者(だからといって彼女がラマダン期間中きちんと仕事をしていたかはなんとも言えないですが)などなど、世界には本当に様々な人がいることを肌で感じることができます。インド人、中国人、日本人、トルコ人で話をして、あまりにも話がかみ合わないので最後は呆れてなんでこんなに違うんだ?と爆笑で終わるようなこともなくはないですが。多様性とは何かをこれだけ身近に感じることのできる環境は、シアトルやサンフランシスコなど、グローバルIT企業が多く所在する場所で仕事をする大きな利点かもしれません。

一寸先は・・・

アップル、グーグル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフトなどが先導する IT の革新はとどまるところを知らず、年を追うごとにそのスピードもむしろ加速しているようにさえ感じます。その変化の現場の中で仕事をできる、自分がその一員として仕事ができることに喜びを感じつつ、いつ起きるかわからない変化と常に隣り合わせであることを日々実感するのは、アメリカで仕事をする醍醐味でしょう。変化はいいこともありますし、日々の生活に大きな支障をきたすような残念な変化であることも多々あります。私の周りではこの一年で大きな変化が何度もありましたが、数十人の部隊が一日にして数人に縮小となってしまったり、あるチームが部署ごと別の部隊に飲み込まれて冷や飯を食わされたりなど、とてもダイナミックな、ジェットコースターのような変化は見ごたえというレベルを超えて、人生観そのものを変えるくらいのインパクトがあります。私はマイクロソフト一社しか経験していませんが、ほかの会社はどうやらかなりことなる企業文化をお持ちらしいので、この際もう数社経験してみて、企業文化コンサルタントでもやったら面白いかもと妄想しています。

冒険を続けてみよう

40歳をすぎてから始めた冒険、まだまだ面白いので当分の間は続けようと思っています。人生は一度だけ、やりたいことをやったほうがいいし、いつ始めても遅くない、やりたいと思ったときがそのときです。もちろん歳を重ねるほど考えなければならないことも増えるでしょうし、普通に行かないことも多くなりますが、経験しているからこそより楽しめることもたくさんあります。あまりいいキャリアプランが思い浮かばなかったら、"そうだ、海外で仕事をしてみるか" と考えてみるのは悪くないアイデアです。考えるだけなら無料ですので、ぜひためしてみてください。

掲載:2016年3月

コメント

この記事にコメントする

※コメントは承認制です。公開までに時間がかかることがあります。
※弊社へのご連絡にはお問い合わせフォームをご利用ください。コメント欄はご使用になれません。
※内容によって掲載をお断りする場合もありますので、あらかじめご了承ください。

「ひと」の新着コメント

このカテゴリーのコメントはありません。

Fandango Now Tickets for AMC Theatres!