第10回 40歳からのアメリカ移住「そうだ、アメリカに行ってみよう」

40歳からのアメリカ移住「そうだ、アメリカに行ってみよう」
Seattle IT Japanese Professionals

執筆者:保坂 隆太さん

第10回 筆者プロフィール:保坂 隆太 (ほさかりゅうた)さん
Seattle IT Japanese Professionals ディレクター。現職は Microsoft Corporation にて 社内IT部門のプログラム・マネジャー(ビジネスインテリジェンス・ビッグデータ)。東京生まれ/育ち。法政大学大学院システム工学研究科卒。40年以上の日本生活ののちに2012年からシアトル在住。シアトルに来てからアウトドアが楽しくて仕事よりも休日が忙しい。詳細プロフィール

漫画:銭湯ルイス(せんとうるいす)
Seattle IT Japanese Professionals 漫画担当。原案と作画を二人で担当しているコンビ名。日本の漫才コンビ 『星セント・ルイス』 とは別人。本業は IT。スーパー銭湯好き。

今からさかのぼることおよそ4年前の年のはじめ、とても親しくしていた友人を失ってしまったときに、"短い人生やってみたいことやらないでどうする?"、"そうだ、日本の外で生活してみよう" と閃き、突然始まった人生第2章。想定外のオンパレードで楽しいやら困るやら、いまだに安定とは程遠い生活を共有したところで果たして人の役に立つのかさっぱりわかりませんが、もう今の仕事に飽きてしまったという方、妄想のネタに困っている方に向けて、この4年間に経験した転職、移住、転職してからのできごとを3回に分けてお話ししたいと思います。

日本で育って40年

日本では外資系の IT 企業に長く勤め、システムエンジニア、テクニカルサポート、Windows PC メーカーの開発支援チームのマネジャーなどを経験したのち、アメリカ移住前7年間はマーケティングの分野でデータ分析を担当していました。外資系に勤めてはいたものの、もともと海外とはまったく縁もゆかりもない土地で生まれたこともあって、初海外旅行は29歳、それまではパスポートさえ持たない海外とは無縁の生活でした。

とはいえ、マイクロソフトのような会社で長く仕事をしていると、好き嫌いにかかわらず英語を使わなければいけない業務がふりかかります。避けて通ることはできないし、どうせなら英語ができたらカッコいいだろうという単純な動機で、英語が出来もしないのに英語を使わないといけないポジションで仕事を始めたのが、本格的な異国の文化とのふれあいのはじまりです。それから12年ほど、さまざまなポジションを経験しましたが、一貫して英語を使うことができるポジションを継続していたことが幸いして、ビジネス英語はまあそこそこのレベルに達し、これならもしかしたらアメリカでも何か仕事を見つけられるかも?と妄想を膨らませ始めたのが40歳を過ぎたころでした。

職探し、はじめる

マイクロソフトに限らずアメリカの IT 企業の多くは、会社都合による異動もありますが、個人の意志に基づいた異動が圧倒的に多く、それをサポートするための仕組みが充実しています。

マイクロソフトの場合は社内で社員がいつでも閲覧できるオープンポジションサイトがあり、日本だけでなく、全世界のポジションにアクセスすることができます。グローバルにビジネスを展開している会社では、文化や思考の多様性が非常に重要視されています。そのため、特にアメリカ本社の多くのポジションは、採用する側もさまざまな国・地域からの採用を積極的に推進していることが多く、実際に採用候補が数カ国から集まってくることも珍しくありません。私の場合もまずこの社内サイトでの検索から始まり、採用担当マネジャーーとの事前面接(インフォーマル・インタビューと社内では呼ばれています)を経て、正式な採用プロセスが始まりました。

インタビュー、インタビュー、インタビュー

採用プロセスはこの連載ですでに他の執筆者がお話をしている通り、インタビューループと呼ばれる面接がヤマになります。採用されるポジションのレベルにもよりますが、少なくとも4人、一般的には6人程度の面接官とそれぞれ一時間ずつの面接が行われます。候補者がオンサイトで面接をできる地域に住んでいる場合には朝から夕方まで1日で行われるのが通常ですが、海外からの応募の場合は電話会議になります。私の場合はほぼ一週間、毎朝7時くらいから面接が行われ、プロセスが始まってからほぼ一ヶ月で採用となりました。毎日朝早くには面接が終わっているので、日中は何ごともなかったかのように普通に業務を続けられるというメリットつきですね。

最終的に採用されたポジションはマーケティングオペレーションのオフショアリソースをマネジメントするポジションで、フィールド(各国法人のこと)での経験を必要とされていたこと、さらにその部門のマネジャーと数年にわたり仕事をした経験から、お互いに良い信頼関係があったことが採用の決め手になりました。こう書いてしまうと、縁もゆかりもないポジションにいきなり応募して可能性があるのか?という感じられるとおもいますが、私の例に限らず、こちらの採用は単に技術や知識レベルだけでなく、どれだけ複雑な事象に対応することができるか、どれだけ創造性が豊かであるか、などを多角的に判断されるので(6人もの人と面接があるのはそのためです)、日本での転職、採用以上に個人同士の信頼関係や、価値観の共有が非常に重要になります。結果として、社外からいきなり応募して採用に至るケースは実際に非常に難しく、そのハードルは想像以上に高いはずです。日本で仕事をしている人が海外の仕事にチャレンジしたいときは、できるだけ海外の担当者や部門とやり取りがあるポジションでの仕事を担当し社内で異動するチャンスを探すのが、アメリカ移住のもっとも可能性が高いオプションでしょう。

長く続いた採用プロセスも終わってオファーレターが届き、いよいよ移住計画スタートです。次回は異国生活の始まりで経験した英語との格闘についてお話しします。

掲載:2016年2月

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