第9回 リロケーション転職をスムーズに行う方法 (第2回)

リロケーション転職をスムーズに行う方法
Seattle IT Japanese Professionals

執筆者:渡辺 毅さん

第8回 筆者プロフィール:渡辺 毅(わたなべ・つよし)さん
Seattle IT Japanese Professionals インフラ担当。福岡県出身。高校卒業後、オハイオ州へ語学留学し、5年かけて国際関係学の学位を取得。大学卒業間際にプログラミングに夢中になり、コンピュータ・サイエンスを学ぶために大学院へ進学。卒業後はボストン近郊でソフトウェア・エンジニアとしてキャリアを積む。2014年に Microsoft にリロケート転職。Skype for Business の品質分析ツールの開発に携わっている。

漫画:銭湯ルイス(せんとうるいす)
Seattle IT Japanese Professionals 漫画担当。原案と作画を二人で担当しているコンビ名。日本の漫才コンビ 『星セント・ルイス』 とは別人。本業は IT。スーパー銭湯好き。

第2回では、リロケーション転職をスムーズに進めるための具体的な方法とコツをいくつか紹介します。

  1. オンライン・ドキュメントを活用する
  2. オンライン・ストレージを活用する
  3. 電子署名を活用する
  4. スキャナ付きのオールインワン・プリンタを活用する
  5. 普段から書類をオンライン化しておく
  6. P.O. Boxを利用する

オンライン・ドキュメントを活用する

転職だけでなく、どんなプロジェクトでも、なんらかの計画書と記録が必要です。たくさんの連絡先、プロジェクト、ミーティング、手続きなどを管理していくためです。私たちの場合は Google Document を使いましたが、Microsoft OneNote や DropBox などでも構いません。ただし、オンラインで家族と共有できないと意味がありません。特に家族のメンバーが別々に動く場合、お互いの活動内容などを簡単に知ることができて大変便利です。

例えば、私たちが使ったオンライン・ドキュメントは、以下のような項目を含んでいました。

  • 連絡先リスト
  • 家を売る
  • 購入希望者に家を公開できる状態にする
  • 持ち物を整理する
  • 引越しの挨拶をする
  • 引越しまでに地域活動を終わらせる
  • 引越し先の住居を確保する
  • 実行スケジュール

そして、それぞれの項目の下に、さらに細かいサブ項目を書きこんでいきました。

連絡先リスト

とにかくたくさんの人と連絡することになります。誰が何をする人なのか、メールアドレスと電話番号、最後に話した内容と日時などの情報を書き込んでいきます。すばやく連絡を取らなくてはいけない時や、家族との連携をする際に役に立ちます。

  • Relocation Manager リロケーション・プロセス全体のサポート
  • Move Manager 飛行機や宿泊のサポート
  • Real estate service 家の売買両方のサポート
  • Domestic Move Counselor 引越し全体のサポート
  • Carrier 実際の引越し業者
  • Car mover 車の引越し業者
  • Pet mover ペットの引越し専門業者
  • Realtor 1 家の売却のための業者(複数)
  • Realtor 2 新居購入のための業者
  • Mortgage Company 1 新しい家のローン会社(複数)
  • Mortgage Company 2 新しい家のローン会社

家を売る

家を売るためのステップとして、外の世界と連携しなくてはいけない2つの段階があります。まず不動産業者(リアルター)を選び、作戦を立てる段階。そして作戦を実行し、何人もの購入希望者(バイヤー)に家を見せ(Showing)、必要に応じて交渉する段階。

もし家は売らずに貸し出すとしても、マネジメント会社を探してサービスと料金を決めるプロジェクトが発生します。

  • 家を売るためのリアルター選び
    • リアルターA
    • リアルターB
  • 購入希望者情報
    • Aさん Showing 日時
    • Bさん Showing 日時

家を公開(Showing)できる状態にする

上の「家を売る」というプロジェクトでもっとも重要で、なおかつお金と時間と労力がかかる段階。家を売ると決めたら、予算と時間の制約のもと、出来るだけ魅力的な状態にして家を売りに出さなくてはなりません。私たちは、壁を塗り直したり、業者に絨毯を取り換えてもらったり、家中を大掃除したりするのにほぼ一カ月を費やしました。また、IKEAで買ったおしゃれな額縁を飾り、テーブルに花などを置いたりして、ショールームのように仕上げました。最後の方には「引っ越すのがもったいない」と思うぐらいにきれいにしました。

  • 予算
  • 屋内の掃除
  • 屋外・庭の掃除
  • 改築
  • 修理
  • 設備

持ち物を整理する

引越しですから当然、荷物の整理をすることになりますが、リロケーション転職の場合は制約も生まれます。荷物の引越しは会社持ちであったとしても、コンテナのサイズや重量などに上限がありました。また、コンテナに入れたまま無料で預かってもらえる期間も限られています。私たちの場合は、最終的な家への引越しが数カ月先送りになってので、コンテナを有料貸倉庫として利用しましたが、コンテナの重さを基準に請求されるので、できるだけ量を少なくするよう心がけました。

  • あげるもの
    • 寄付するもの
      • 寄付先A
    • 知り合いにあげるもの
      • 知り合いA
  • 捨てるもの
    • 重くてかさばる物 捨て方
    • 軽い物 捨て方
  • 売るもの
    • オンラインに出すもの
    • 知り合いに譲るもの
  • 引越し前の荷造り

しかし、これは流行りの断捨離をする好機でもありました。

まず、捨てるものをどうにかするために、中くらいのサイズの Dumpster と呼ばれる大きなゴミ箱を業者に持ってきてもらい、車庫の前に設置してもらいました。家具類は壊れて引き取り手がないものは捨て、まだ十分使えるものは寄付、もしくは知り合いに譲りました。子供の服などは知り合いにお別れの挨拶をするタイミングで渡したりすると作業効率が上がります。大量の本を町の図書館と日本語学校図書館に寄付し、Craigslist などを利用して小型エンジンの付いた道具類は割安で売ってしまいました。

引越しで持って行くと決めたものでも、業者に任せたくないものなどは自分で梱包しました(私はいくつかのデリケートなプラモデルの模型を持っていたので、念入りに箱詰めをしました)

引越しの挨拶をする

長年お付き合いしてきた人たちに挨拶をすることになりますが、これも「誰といつどこで」といった計画や記録が重要になってきます。特に子供たちにとっては、離れてしまうとはいえソーシャルメディアの時代ですから、お付き合いを続けていける環境が整っています。お別れの挨拶と同時に、これからの遠距離でのお付き合いをお願いするようにしました。

  • 友達
  • ボランティア先
  • 子供の習い事先
  • ご近所さん
  • サービスプロバイダ
    • ファイナンシャル・アドバイザー
    • 主治医
    • 歯医者
    • 矯正歯科

友達だけでなく、お世話になったファイナンシャル・プランナーや会計士、それに主治医や歯医者などの医療サービス・プロバイダにも、挨拶だけでなく実務的にも連絡をする必要があります。引っ越し後どうしたらよいか、早めにアドバイスをもらうと良いでしょう。

引越しまでに地域活動を終わらせる

仕事以外にも、例えば教会や学校PTA関係、町のNPO団体でのボランティアなど、なんらかの地域活動をしている場合は、引継ぎ作業が発生するかもしれません。

子供たちが習い事をしているなら、辞めるタイミングや引越し後のトレーニングの継続方法など、アドバイスをもらうとよいでしょう。

  • お父さん
    • ボランティア活動の引継ぎ
  • お母さん
    • ボランティア活動の引継ぎ
  • 子供たち
    • 習い事A 辞める日
    • 習い事B 辞める日

実行スケジュール

いろいろな準備を進めていきますが、実際に「動き始めた」瞬間から、いわゆるジェットコースターに乗っているような感覚で、どんどんと先に進んで行くことになります。当然、スケジュール管理が重要になってきます。

私たちは Google カレンダーと Google ドキュメントを併用して、アクティビティを管理しました。

以下は、私たちの実際のスケジュールを要約したものです。

  • 初めの月
    • リアルター選定
    • 家の販売作戦
    • 家を公開できる状態にする
  • 2ヶ月
    • 家をマーケットに出す
    • 家の公開との交渉、仮契約、
  • 3ヶ月
    • ペットの引越し準備(動物病院で予防接種)
    • 車A、引越し業者へ引き渡し
    • お父さんだけ先に引越し
    • リロケーション仮アパートへ引越し
    • 入社
    • 車A、引越し業者から引き取り
    • 最終引越し先の町決定(通勤時間、学区などを考慮)
    • リアルター選定
    • 家のモーゲージ会社選定
    • 購入する家選び
    • 家族、現地下見旅行
    • 郵便物の転送設定
  • 4ヶ月
    • 車B、引越し業者へ引き渡し
    • 荷物引越し業者へ引き渡し
    • お父さん、クロージングのために一時帰省
    • 家クロージング(購入者への引き渡し)
    • ペット、ペット業者へ引き渡し
    • 家族移動(当面の荷物も含む)
    • ペット、ペット業者から引き取り
    • 車B、引越し業者から引き取り
  • 5ヶ月
    • 子供、学校へ編入
    • リロケーション仮アパートから引越し
    • 別のアパートへ引越し
    • 家具レンタル業者の家具配達
  • 6ヶ月
    • 車登録
    • 免許証申請
    • 住所一時変更
  • 7ヶ月
    • 家クロージング
    • 引越し業者から荷物受け取り、開封作業
    • 家具レンタル業者へ家具引き渡し
    • 別のアパートからの引越し
    • ケーブル、電話、インターネット・プロバイダー契約
    • 地域行政サービス契約(水道、ガス、電気、ゴミ)
    • 家具の買い物

これはあくまでも私たちの場合ですが、リロケーション転職で起こるイベントの主だったものが含まれているので参考になると思います。実際のドキュメントはこれの数倍の量があり、進捗状況と連絡先や急なスケジュールの変更なども記録していきました。さらに、完了した項目については「ペットを業者に引き渡す」のように取り消し線を入れることで、注意を払わなくてはいけない項目がより目に着くようにしました。

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