第15回 アメリカ IT 企業の職種について

アメリカ IT 企業の職種について
Seattle IT Japanese Professionals

執筆者:SIJP スタッフとサポーターによる共同執筆

Seattle IT Japanese Professionals (SIJP)は、シアトルの IT 業界で働く社会人と IT 業界に興味のある方の交流の場を設けるために創られた会です。学生でも日本から来たばかりの方でもIT業界15年以上のベテランさんでも、IT に関連しているか、興味があれば、どなたでも参加可能です。勉強会や講演会、BBQ など、これからも面白いことやって行こうと思いますので、ご参加・応援をよろしくお願いします。

3月末に Microsoft build conference、4月には Facebook F8、5月に Google I/O が開催され、IT 企業で開発するさまざまな製品や新技術が多数発表されました。

こうしたイベントでの基調講演に見られるソフトウェア開発のトレンドの一つは、"ボット(Bot)" と呼ばれるものです。ボットとは、簡単に言えば、複雑なステップを含む工程を自動化するサービスです。例えば、レストランの予約を自動にしてくれるものがそうです。

Microsoft からは Cognitive service と呼ばれる、コンピュータが画像や音声を理解する技術 、ボット開発フレームワークが発表されました。Facebook も負けじと「bots for the Messenger Platform」というボット開発フレームワークをリリースし、Google からは Allo と呼ばれるアプリから Google Assistant というチャットボットを利用する方法が提案されました。また、Allo には、チャットの返答を自動的に作成したり、送られた写真を自動的に解析する機能もあります。関連する製品として、音声で家にあるさまざまなものを操作する Google Home が提案されました。Amazon Echo も、もちろん人気です。

現在、皆さんの身近にあるスマートフォンで、Facebook や Instagram 等の各種サービスを利用する際は、画面をタップするアプリを利用していると思います。しかし、今後は画面タッチ以外にも、音声で操作したり、ボットを利用するアプリやゲームが主流になってくるかもしれません。

ソフトウェアの開発チームは、いろいろなスペシャリストの集合体

さて、Google、Microsoft、Amazon などの IT 企業はスマートフォンに代表されるデバイスを提供している一方で、ソフトウェアで高度に管理される巨大なデータセンターを保有し、クラウドサービスも提供しています。

スマートフォンやデータセンターを例に挙げましたが、ソフトウェアなくしては動作できません。

では、そのソフトウェアの開発にはどのような人が携わっているのでしょうか。製品仕様を決定する人や(プログラム)コードを書く人が想像されるかもしれませんが、実際は開発チームが存在し、そこにはさまざまな役割(職種)を持つ人々が働いています。

IT 企業に入社する場合、それぞれの職種の内容を理解して、自分に合う職種に焦点を当てて応募するのがお勧めです。

IT 企業の開発チーム 代表的な職種はこんな感じ

そこで、今回は一般的な IT 企業の開発チームではどのような職種があるのでしょうか。ここでは代表的なものを見ていきたいと思います。

  1. Product Manager (PM) (日本語): 製品の仕様策定、前バージョンのフィードバック・ユーザーリサーチ、製品戦略、競合研究を含む。製品開発の機能別陣頭指揮をとる。競合製品を研究する。Product Requirements Document (PRD)の作成も行う。

  2. (Technical)Project Manager(TPM)日本語): 開発者の人数などの資源(リソース)やビジネス判断などにしたがって、プロジェクトのプランを決める。そのプランにそって実際にプロジェクトの進行状況を管理する。関係者にそれを通知し、フォローアップする。

  3. UX Designer: User Experience(UX) をデザインするのが主な仕事。必要ならば、製品モック(プロトタイプ)を作って、Software Engineerに作成を頼む。

  4. Technical Lead/Manager(TLM): 技術部門での責任者、技術的な決断は全て、この人を通して行われる。また、同時にマネジャーなので、各チームメンバーのキャリアについて責任を持つ。この職種については次のリンクをご参照ください。

  5. Software Engineer(SWE): ソフトウェアのデザイン、開発、バグフィックス、検証などエンジニアリング全般を行う。さらに、フロントエンドエンジニア(おもに JavaScript や CSS などを用いたエンドユーザーが直接使う部分)とバックエンドエンジニア(サーバーやデータベース周りの部分)に分かれる場合もある。また、一人でシステム開発から運用のすべてを行うフルスタックエンジニアという職種もある。

  6. Test Engineer(TE):品質管理のためのテストの戦略を考える。製品が要求にあうかどうかを見る。Manual Tester の管理をする。テストの自動化のためのソフトウェアを開発する。ちょっと古い本ですが、「How Google Tests Software」(訳本)が参考になるかも。

  7. Manual Tester: テストケースを作り、実際に製品を使ってテストを行う。バグを登録する。契約社員が行う場合が多い。

  8. Site Reliability Engineer(SRE): システム管理者とソフトウェアエンジニアの両面を持つ、運用に特化したエンジニア。製品、サービスの監視やチューニング、運用プロセスの自動化、問題のトラブルシューティングなどを行う。例えば「Site Reliability Engineering – How Google Runs Production Systems」という本が参考になる。

  9. Support Engineer(SE): お客様からの技術的な問い合わせや障害報告に対処し、開発チームと協力しながら問題解決する。

  10. Developer Relations:製品やAPI(例えばGoogle Map APIなど)が社外の Software Engineer にうまく使ってもらえるようにする。例えば、チュートリアルやブログ記事を執筆したり、開発者向けイベントでトレーニングを提供する。Google I/O などの開発者会議では主要なメンバーとなる。

  11. Data Scientist: Data Scientist はさまざまな部門で活躍しており、その仕事の内容も多岐にわたる。Microsoft では Data Scientist は開発部門に必要不可欠な部隊で、製品開発のコアに取り込まれることが多くなっている。クラウドか On-Premise かに限らず、製品がどのように利用されているのか、どういう問題が発生しているのかを理解するためには、製品の中でどのようにテレメトリを取得していくかに始まり、どのようにデータを処理するか、取得したデータをどのように製品の中で利用するか、または製品改善のために利用するかまで、end to end のワークフローを data scientist が担うようになってきている。

  12. Researcher: ソフトウェア開発には直接携わらず、将来重要になるであろう要素技術を研究し、論文執筆や学会発表を行う。また研究成果を製品化するために開発チームと協力する。Microsoft Research が代表的。

以下に開発チームと利用者等を含めた全体図(図1)、および開発チームの内部にフォーカスした図(図2)を示します。1st party 開発チームはAPP だけでなく SDK やプラットフォームを提供しており、3rd party は 1st party が提供するプラットフォーム上で動作する APP を開発する 1st party から独立した存在です。

こうした代表的な職種がありますが、実際は各メンバーの役割がプロジェクトの段階で有機的に変化したり、重なりあうことが多々あります。そういった場合には "What is best for the team" を皆が心がけ、行動していると思われます。例えば、TPM と TLM がソフトウェア開発の計画を一緒に考える場合も多々あります。

また、基準は会社によって異なりますが、途中で職種を変更することができます。例えば、SWE から TPM、また SRE から SWE への変更はよくあります。

今回の内容は、筆者が毎週欠かさず聴いている "Rebuild.fm" というポッドキャストでよく語られる話なので、ご興味のある方はぜひそちらもご参照ください。

企業は開発以外にも多くのチームによって成り立っています。今後の連載ではそれぞれの職種について詳しくとりあげていきたいと思っています。

掲載:2016年6月

この記事は、参考情報の提供のみを目的としており、法的その他の専門的助言を提供するものではありません。この記事に記載する情報に基づくいかなる行為およびその結果について、筆者および SIJP は一切責任を負いません。

コメント

この記事にコメントする

※コメントは承認制です。公開までに時間がかかることがあります。
※弊社へのご連絡にはお問い合わせフォームをご利用ください。コメント欄はご使用になれません。
※内容によって掲載をお断りする場合もありますので、あらかじめご了承ください。

「ひと」の新着コメント

このカテゴリーのコメントはありません。

Fandango Now Tickets for AMC Theatres!