夏の風物詩と言えば、花火を思い浮かべる人が多いはず。花火は英語で fireworks と言いますが、アメリカでは州や地域によって花火は厳しく規制されています。ワシントン州もその一つで、一般人が花火を購入して使用できる期間や時間帯が決まっていますが、毎年、花火が原因の大けがや死亡事故、火災が後を絶ちません。特に、独立記念日の7月4日に最も多く発生しています。この記事では、花火の楽しみ方、注意すること、周囲への配慮について解説します。
2022年に起きた花火が原因の事故
全米防火協会（National Fire Protection Association）によると、花火による火災は年間19,500件以上報告されています。このうち、7月4日前後の1カ月間に救急治療室で受診した9,100件の負傷者のうち44%が火傷で、救急治療室で受診した花火による負傷者の半数は手、指、足などの四肢、3分の1が目などの頭部を負傷したことがわかっています。
ワシントン州警備隊によると、2022年にワシントン州で消防機関や病院から州消防局に報告された花火関連の火災や負傷は508件。2021年の912件から減少しましたが、火災は310件、負傷者は198人にもなりました。「Sparkles（線香花火の名称）は1300°F/704℃で燃焼し、ガラスや木材を燃やしたり、水を沸騰させたりすることができる。 救急室での花火による負傷の4分の1は Sparkles が原因で、10～14歳の子供の負傷率が最も高い」とのことです。
独立記念日は、花火による事故・火災も多くなります。一般に販売されている花火は、手持ち花火はあまりなく、威力が自慢の打ち上げ花火タイプが多いです。そして、毎年、強力な花火が爆発したりして、子どもや大人が大やけどを負ったり、失明したり、指や手を失ったりといった悲惨なニュースが後を絶ちません。
花火はどこで買う？
ワシントン州では、一般向けの花火の販売を州法で規制しています。最寄の花火販売所を見つけるには、ブラウザで “fireworks store near me” などと検索してみましょう。
また、花火には、合法のものと違法のものがあります。違法のものは爆発したりしてケガの原因になることが多いので、注意が必要です。
花火が許可されている地域は？
花火をしても良いかどうかは、市や郡によって異なります。
例えば、シアトル市やベルビュー市のあるキング郡、タコマ市のあるピアス郡、エベレット市のあるスノホミッシュ郡など、人口の多い市や郡などでは、一般市民による花火がほぼ全面的に禁止されています。
詳細は、住んでいる地域や旅行先の地域の公式サイトで確認してください。
また、州立公園やビーチを含む、ワシントン州政府が所有する公共の土地でも花火は禁止されています。
花火が許可されている日時は？
花火ができる地域でも、花火をしても良い時間帯や場所などが決められています。ワシントン州警備隊の公式発表で詳細をあらかじめ確認しておくことをおすすめします。
花火をする時に注意すること
「花火の音のおかげで、赤ちゃんが泣き止まなくて困った」「狭い裏庭で打ち上げ花火をして、花火が隣家の屋根や庭に飛び、火災になった」「住宅街で打ち上げ花火をして、落ちてきた花火の破片でケガをした」といったこともあります。また、シアトルの夏は日が長く、独立記念日のあたりは午後9時を過ぎないと暗くなりません。そうすると、花火をする時間が午後9時以降となり、睡眠妨害にもなりかねません。
- 周囲に住宅がない場所を選ぶ。例えば、両側に家が建っている道路や、自分の家と隣の家の間の庭で打ち上げ花火やロケット花火はしない。
- 合法的な花火（legal fireworks）のみ購入し、違法な花火（illegal fireworks）は購入しない。
- 花火に火をつけるときは近くに容器に入れた水を用意する。
- ペットは室内に入れる。
- 花火には大人が点火すること。子どもには点火させない。
- 手持ちの花火に火をつけたり、室内で使用したりしない。
- 一度に点火する花火は一つのみにする。
- 花火を楽しんだ後は、花火の破片やゴミ、灰を片付け、使用済みの花火は水に浸す。
- マッチやライターは子供の手の届かないところに置いておく。
- 騒音や臭い、幼い子供や動物は花火の音を怖がる場合もあるので、住宅地は避ける。大きな音が嫌いなタイプのペットを飼っている場合は、こちらの注意点ご確認を。
- 灰、煙、火薬の臭いは、人によっては喘息の発作の原因にもなりえるので、周囲に住宅のない場所を選ぶ。
- 花火で事故や火事が発生したら、911に通報する。
