第8回
: 初めての飛行機の旅
7月4日の独立記念日に、全米に散らばる夫の家族が一同に会するファミリー・リユニオンに参加するため、5ヶ月になる娘を連れミネソタに旅をした。2歳以下は膝に乗せると料金がかからないし、飛行時間も3時間、しかも、私一人ではなく夫もいるということで、娘の席は購入せず、膝に乗せていくことにした。
旅先で使うために、ストローラーにカーシートをセットできるトラベル・システムを持参した。ストローラーやカーシートは通常チェックインする荷物の数には入らず、飛行機に乗る直前に搭乗口で預けることができる。赤ちゃん用に1席購入した場合はカーシートを機内に持ち込み、そこに赤ちゃんをセットすることになるが、今回私たちは娘の席を購入しなかったため、カーシートも預けなければならなかった。
赤ちゃん連れの場合、前の席が無く、足元が広めのバルクヘッドの席が良いと聞いていたので、当日はシータック空港に早めに行ってチェックインし、その席を確保。
セキュリティ・チェックでは、カーシートをストローラーからはずし、ストローラーを折りたたみ、靴を脱ぎ、全ての荷物をX線に通さなければならなかった。娘は夫に抱かれて金属探知機をくぐり、見事「キンコンカンコン」と鳴ってしまったため、夫の膝の上に座ってボディチェックを受けた。「一体、何をされているんだ?」という不思議そうな顔をしてキョロキョロする娘がちょっと笑えた。セキュリティ・チェックが終わったら、再びストローラーを開き、カーシートをセットし、娘をその中に入れて自分は靴を履き、はずしていた時計や指輪を身につけ全ての手荷物をとるという作業があって、これはなかなか大変。セキュリティでよく忘れ物をする人がいると聞くが、赤ちゃんを忘れてしまう、なんていう人がいるんじゃないかと思った。
セキュリティを通って搭乗ゲートの並ぶフロアに着き、一段落するころには娘の食事タイムとなっていたので、人が少なめのエリアを探して授乳。それからトイレに行ってオムツ替え。赤ちゃん連れの旅はなかなか手間がかかる。
搭乗の前に娘をカーシートから出し、ストローラーをたたんで搭乗口で係りの人にタグをつけてもらい、飛行機の入り口直前の通路でチェックインした。
機内でまず「失敗した!」と思ったのは、バルクヘッドの席では離着陸時に手荷物を足元に置いておくことができず、全て頭上の荷物入れに入れなければならないことだ。おかげで娘の気を紛らわすためのおもちゃやよだれ拭きなど、必要な小物が全て頭の上に行ってしまい、さらに通路側の席ではなかったので、頭上の荷物を取り出すのにも一苦労で、荷物を取り出すことも無く、3時間我慢するハメになってしまった。授乳がしやすいということで窓側の席を取る人も多いと思うが、やはり、オムツ替えにトイレに行ったり、機嫌が悪いと抱っこして通路を歩き回ったりする必要も出てくるので、私の場合は通路側がいいとつくづく思った。ちなみに、私たちのフライトはボーイング757型機で、バルクヘッドの席といっても国際線によくある747型機のそれのような広いものではなく、足元のすぐ前には壁があり狭かったので、通路に出るには他の席と同じく通路側の人に迷惑をかけなければならなかった(それでも一般の席よりは広い)。747型機のバルクヘッドなら広いので通路側の人に迷惑をかけずに通路に出られると思う。
3列席の窓側に私が座り、その隣の中央の席に夫が座った。通路側に中年と見える女性が座ったが、娘が泣いたりして迷惑をかけると思い、一応挨拶しておこうと話しかけたら、彼女は「いいのよ。私は13人子どもがいるからよく分かるわ」と言う。こうして話しかけたのが間違いだった。
今時13人とは、宗教がらみに違いないと推測した夫は、知人でやはりそういったキリスト教系の宗教に関連している人がいると言う話をすると、同じ宗教であることが分かった。そこから会話が進み、共通の知人がいたことも分かり、「世間は狭いね〜」といった話から調子にのったこのおばさん、なんと飛行中一瞬たりとも黙ることなく話し続けた。かわいそうな夫は、ずっとこの人の相手をするハメに。そしてもっとかわいそうな私は、疲れてぐずっている娘の気をそらしたりあやしたりするため、膝の上でああでもないこうでもないとジャンプさせたり向きを変えたり変な顔をして笑わせたりを、ひたすら3時間繰り返さなければならなかった。
離着陸の高度が大きく変化する間、授乳するか、おしゃぶりをなめさせるかして、耳が痛くなるのを防ぐとよいと言われているが、娘は離着陸時はとても機嫌が悪く、背中を反らせてぎゃーぎゃー言うし、おしゃぶりはすぐにはずしてしまった。離着陸の時は、赤ちゃんは進行方向を向いて膝の上に座らせなければならないと言われ、じっとしていない娘を前向きにじっと座らせておくのも苦しかった。
さて、なんとか現地に到着し、おしゃべりおばさんともサヨナラした後、現地で出迎えに来てくれた義父の質問「飛行機の中では良い子にしてた?」に対して夫は、「まあまあ良かったよ」
と。 おばさんの相手をしていた夫は、娘に大泣きされるのを避けるため、横でひたすらがんばっていた私の苦労を全く知らず、結構機嫌が良かったと思っていたらしい。まったく。身長・体重とも平均よりはるかに大きい生後5ヶ月の赤ちゃんを膝の上に乗せての飛行機の旅は、3時間とはいえ結構疲れるのだ。とにかく、機内に響き渡るような大泣き状態は2、3回にとどめておくことができたので、自分で自分に"I
did a good job, didn't I?"と言ってあげたい。 |