第55回: 言語のはなし
現在2歳と9ヶ月になった次女ですが、長女とは丸2年違い。生まれたときから2歳年上の姉の存在があった次女は、特に1歳になったころから2歳になるあたりまで、長女よりも言葉の発達が早かったように思います。2語文になり、そこから3語文、4語文と増えていくのもあっという間でした。主に大人からだけ言葉のインプットを受けるのと、大人だけでなく年齢の近い子供から言葉のインプットを受けるのとではこんなに差が出てくるものなのだなと実感しました。
最初の頃、次女の言語は日本語のみで、英語は単語だけ知っているという状態でした。長女が現地のプリスクールに通い始め、英語のみの環境につかり始めたのは3歳半ごろでしたが、その後1年間にわたり、長女の英語が急激に上達したということはありませんでした。ただ、夫によると、コミュニケーションはプリスクールに行く前よりは随分と楽になったとのこと。相変わらず家での姉妹の会話(当時1歳の次女が会話というほどではありませんが)は日本語でした。
ところが最近、特に9月から長女のプリスクールが2年目に入って以来、姉妹の会話が英語になっています。特に、ごっこ遊びをしている時はそれが顕著で、長女が次女に命令口調で何かを話している時などは、プリスクールで誰かがこんな話し方しているんだろうなあと推測できます。お互い日本語が分かる、いや、現時点では日本語の方が得意なはずなのに、どうして英語で話そうとするのか私なりに考えてみました。
長女は週4日、1日3時間、3〜5歳の英語を話す子供たちとともに過ごし、子供英語とでもいうのでしょうか、プリスクールでインプットされてきた子供の世界の会話を、家で自分の妹に対して再現しているようです。そして、英語で話しかけられるので、次女も英語で答えます。こんなとき、あくまで私は日本語で介入していますが、どこまで効果があるものなのでしょうか。
さらに英語と日本語を混ぜることへの危機感も強くなってきました。まず、長女はプリスクールに行っているため、そこで新しい単語に触れるので、英語で知っていても日本語では知らない単語が増えています。私に話をする時にはそういった単語を日本語文の中に英単語を混ぜる形で伝えてきます。そして、長女の話を一言一句逃さないように耳に入れている次女は、それと同じように話します。まだ混ぜる単語が名詞の場合はマシなのですが、動詞になってくるとちょっと聞き苦しくなります。しかし、次女はそういう使い方が非常に多くて、例えば、「ママ、ちょっとあの人形 "bring" してくる」といったような、話し方をするときがあります。こういうときは、毎回「持ってくるのね?」と言い直していますが・・・。
さらに最近、唖然としたのが、英語に日本語動詞を混ぜるというもので、夫に "Daddy, I'm OKAIMONO(お買い物)ing." と言ったことです。確かに文法は分かっているようなのですが・・・。当然「お買い物」の意味を知らない夫はキョトンとしていました。
ところで、母親が日本語を話す日本人で父親が日本語を話さないアメリカ人という組み合わせの夫婦の間の子供でも、子供によって日本語が優勢、英語が優勢など、さまざまです。母親と父親だけのことではなく、祖父母や親戚が近くにいるとかいないとか、デイケアやプリスクールなどのその他の環境ももちろん影響してきますが、夫婦が同じ言語を話す場合には計り知ることのできない、母親と父親の育児への貢献度みたいなものが、母親と父親の言語が違うために浮き彫りになってくる場合もあります。普段、母親と一緒にいる時間が多くても、父親がマメに本を読んであげたり、話しかけてあげたりするかしないかで、英語力(父親の言語が英語として)に相当の差が出ているようです(学校に行き始めれば追いつきますが)。「貢献度」と言うと、どちらの親が話しかけたり本を読んであげたりする量が多いかということになりますが、多い少ないだけではなく、質の違いもあるように思います。また、母親の方ががんばっているとか父親の努力が足りないとかといった平等・不平等の問題ではなく、同じ子供の中で2つの言語にそれだけ差が出ているということは、優勢な言語を母国語とする親とそうでない方の親の話し方や教え方などの違いを分析すれば、例えば、どういった話しかけ方が良いのかなど参考にできる部分がたくさんあるのではないでしょうか。
(2007年12月) |