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第42回:プリスクール

しばらくお休みをさせていただいている間に、季節はすっかり変わり、サンクスギビングが目の前という時期に突入しました。長女のプリスクールも始まり、生活のペースが変わってあたふたと毎日を過ごしながら、長女妊娠中から書かせていただいているこのエッセイを、どういう方向性で続けて行こうかということも考えていました。いろいろ悩みましたが、結局、引き続き同じスタンスでシアトルでの子育てを綴っていこう、そう決めました。ただ、1つ変わったことは、文体を「ですます調」に変更したことです。理由は、文章の雰囲気をもっと柔らかく親しみやすいものにしたいからです。

さて、今までの回で書いてきましたとおり、長女はとてもセンシティブで新しい物・人に対する恐怖が極端に大きく、それはちょっと内気な性格ということでは言い尽くせないものです。ですから当然、母親の私から1日数時間でも離れてプリスクールに行くということは画期的なことで、果たしてこれがどういう結果を招くのか全く予測のつかないことでした。プリスクールを退学させられた人もいるという話も聞きましたから、「そういうことになるかもしれない」と、なんとなく最悪のシナリオの覚悟も決めていました。別に、プリスクールを退学したからといって人生の終わりではありませんからね。シャイすぎて幼稚園を退学したという経験を持つ有名俳優がフィーチャーされた番組を見たこともあります。

プリスクール初日は、もちろん泣きました。私の脚をものすごい力で掴んでいるのをなんとか振りほどいて、先生が体を抑え、なんとかその場を去りました。2日目も、もちろん泣きました。脚を掴む力が若干1日目より弱かったかもしれません。3日目も泣きましたが、脚を掴みませんでした。預ける相手が、何十年という経験を持つ信頼できる先生なので、すこし残酷なようでしたが、娘を置いていくことができたのだと思います。それでも初日は私も泣きましたよ。子供と別れている間に別室で行われた親向けのオリエンテーションで自己紹介をした時には、涙が出そうで言葉が詰まりました。

ところで別れ際のことばかりを書いてしまいましたが、迎えに行った時に娘が泣いていたことは今まで一度もありません。それどころか、プリスクールでしたことを楽しげに話してくれるのです。別れ際は泣く、迎えに行くととても楽しかったことを話してくれる―。2ヶ月経った今もだいたいそんな感じです。別れ際にやっと泣かなくなり、先生にもやっと慣れたと思ったら、いつもの先生が休みで別の先生が入ったため、逆戻りしたこともありました。

おそらくクラスメートとはほとんど会話という会話はしていないのでしょう。でも、お友達の名前は教えてくれます。迎えに行くと、「あの子が〇〇」という具合に名前を教えてくれるので、女の子の名前と顔は全員覚えました。特に、外遊びの時にいつも一緒に遊ぶ女の子ができた時には驚きました。迎えに行くと屋外の遊び場で、手をつないで歩いていたり、一緒に滑り台をしています。しかし、笑ってよいのかどうか、その子とは全く会話はしていないようです。娘の言い訳は、「彼女はスパニッシュしか話さないから」。でも、英語も話すはずなのですが・・・。会話無しで一緒に遊べるのは子供時代だけなんでしょうね。

言葉に関しては、今まで日本語の方が英語に比べるとかなり強かったのですが、今では妹に英語で話しかけていたりすることも多くなり、日本語がすこし心配です。今まで以上に、子供たちには、英語を混ぜず、純粋に日本語だけで話をしようと神経を使うようになりました。

このプリスクールはモンテッソーリの学校なのですが、皆で同じことをやりましょうというよりは、自分のやりたいことを満足のゆくまでやるというメソッドですので、基本的には各個人で別々のアクティビティをします。そのため、いきなり大勢のクラスメートに圧倒される機会が比較的少なく、長女の性格には合っているようです。家ではいつもやりたいことを満足いくまでさせてあげるということは不可能なので、学校でやりたいことをやりたいだけするのはとても楽しいことのようです。それは、迎えに行った時や、学校でやったことを話してくれる時の満足した表情でよく分かります。

娘が辛そうならいつでも辞めさせようという覚悟で行かせることにしたプリスクールですが、今のところその必要は無さそうです。

(2006年11月)

執筆者プロフィール: 日本での長い独身貴族生活の後、軽い息抜きのつもりでやってきたシアトルで思いもよらず今の夫と出会い結婚。2002年初夏に初めての妊娠が判明し、人生が180度転換してしまった。2003年に長女を出産し、2005年には次女を出産。子育ての毎日は初めてのことばかりで、心配したり悩んだり喜んだりと実に賑やかな(?)生活を送っている。

Back Number
2008年
第61回 言語のはなし 続き
第60回 子供とアクティビティ
第59回 アメリカ人が甘いもの好きな訳?
第58回 逆カルチャーショック
第57回 学校選び
第56回 バケーション

2007年
第55回 言語のはなし 第49回 夏休み
第54回 風邪に悩まされた10月 第48回 おもちゃと遊び
第53回 ほめられるのが嫌いな子 第47回 トイレ・トレーニング完了
第52回 日焼け対策 第46回 姉妹の関係
第51回 ファミリー・キャンプ 第45回 子供の味覚
第50回 プリンセスとウルトラマン 第44回 2006年を振り返って

2006年
第43回 お誕生日パーティ 第38回 子供の感受性(2)
第42回 プリスクール 第37回 子供の感受性(1)
第41回 砂場デビュー 第36回 自分でさせる教育
第40回 殻を破り始めた娘 第35回 ベビーシッター
第39回 スクラップブッキング

2005年
第34回 日本のお風呂に開眼 第28回 しつけ
第33回 子供2人連れ、飛行機の旅 第27回 卒乳(Weaning)
第32回 歌を歌おう 第26回 2度目の出産
第31回 トイレ・トレーニング(Toilet training) 第25回 2人目対策
第30回 引越し 第24回 おもちゃ
第29回 ルーティーン(Routine)

2004年以前
第23回 母親のストレス解消法 第11回 手ごたえあり?の娘との2人旅
第22回 ハロウィーン 第10回 初めての病気
第21回 妊娠中の授乳 第9回 離乳食を始めた
第20回 グランパとグランマ 第8回 初めての飛行機の旅
第19回 ベビー・サインと言葉の発達 第7回 快適育児生活
第18回 日本 vs アメリカ お風呂の入れ方 第6回 「ベビー・・・」
第17回 絵本を読もう 第5回 次の試練 「睡眠不足」
第16回 ベビーとの外食 第4回 最初の試練 「授乳」
第15回 トドラー食 第3回 ついにその日が来た
第14回 あっという間の1年 第2回 妊娠はつらいけれど幸せ
第13回 帰省 第1回 妊娠の日米比較
第12回 動き出した!


注)当ページに記載されている内容は個人の一意見です。この情報に基づいて行動した結果なんらかの損害が発生した場合においても、執筆者およびジャングルシティは一切責任を負いません。記載された情報を活用される場合は、あらかじめ専門家に照会するなど必要な確認を行った上、ご自分の責任で判断していただきますようお願い申し上げます。
   
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