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第37回:子供の感受性(1)
長女の妊娠中から始まったこのコラム。おかげさまで、その長女も元気に3歳の誕生日を迎えた。思えば、生まれたときから 「やり易い」と 「やり難い」に分けるとすると、 「やり難い」の部類に入る子だった。新生児の頃は、いわゆるよく夜泣きをする赤ちゃん(アメリカでは "Colicky" と言われるのにあたる)で、目覚めている時の大半は泣いていた。また、泣いている理由も、お腹がすいたとか疲れたなどのハッキリした理由が分からないことがほとんどだった。生後2ヶ月頃に同じ月例の赤ちゃんと撮った写真を見ると、「なぜそんなに泣いているの?」とでも言わんばかりの表情の赤ちゃんの横で、わが娘は顔を真っ赤にして泣いている。
人見知りが始まったのは生後5ヶ月の時。夫のファミリー・リユニオンに参加した時、長女はどの親戚に抱っこされても泣いていた。特に背の高いグランパに抱っこされるのが苦手だった。とても申し訳ない思いをしたのを覚えている。
7ヶ月の頃、同じ月例の赤ちゃんの前に座らせただけで、ビービー泣き出した。10ヶ月の時にフロリダに住む友達の家に遊びに行った時の写真を見ると、ほとんどが泣き顔である。友達の子供(当時2歳の女の子と11ヶ月の男の子)が近寄ったり、友達が目を合わせただけでもだめだった。
この傾向は、1歳後半から2歳半までが最もひどかった。何度も訪れたことのある友達の家に着くなり、家に入りたがらず、やっとの思いで入っても、部屋の隅から離れず私にしがみつき、皆が遊んでいるのを遠目で見ていることしかできなかったこともあり、その時はさすがに気持ちがめいった。その後少し改善が見られたものの、もう2年以上通っているプレイグループの友達とは相変わらず絶対に遊ばない。もちろん、初めの場所や数度しか行ったことのない場所に行ったり、初対面の人や頻繁に会わない人に会うと固まったまま、私にぴったりと寄り添っている。
恐怖心は人に対してだけではなかった。赤ちゃん用の小さなお風呂から大きなタブに入れてお風呂に入れ始めると極端に怖がり、お風呂タイムは毎日バトルで、ギャーギャー泣き叫ぶ長女を抱きかかえながら体と頭を洗った。泣かなくなるのに結局半年ほどかかった後、後戻りしてしまい、再び怖がりはじめ(原因は不明)、また元に戻るのに半年ほどかかった。今でも顔に少しでも水がつくと大騒ぎになる。
公園では、遊具のある地面に敷いてある木のチップや芝生の上を歩くことを長い間拒否していた。1歳後半ごろからは、散歩に行くと文字通り1分おきぐらいに怖いものがあらわれて(道端の潅木や近所の家が掲げている旗、色の派手な花など)、泣いて抱っこをせがむので、運動させるために散歩に出ても、全く散歩にならなかった。その傾向はつい最近まで続いた。
風邪で鼻水が少しでも出ると気持ち悪がって半泣きになりながら拭きまくり、しょっちゅうゴシゴシするので鼻の下が真っ赤になって荒れてしまう。痛みにも弱く、服を着せたりするときに何かがひっかかったり、私の手が軽く当たるだけで大げさに痛いと言って泣く。中に着ている服の袖が上に折れているだけでも泣く。次女が生まれ、長女の髪をひっぱったり顔を触ったりするようになると、これも大騒ぎだ。
また、最近ではほとんど問題がなくなったが、2歳半ぐらいまでは毎晩就寝前のルーティンに少しでも変化があるととても嫌がった。例えば、寝る時に部屋にあるおもちゃの位置や、数個ある電気のうちどれを付けてどれを消すか、私がどのドアから出て行くか(2つドアがある)など。幼児には毎日決まったことをすると安心する傾向はあるというものの、ちょっと神経質すぎるのではないかと心配したものだ。
ここまで事細かに書いたのは、別に愚痴が言いたかったわけではない。私がこのことにずっと悩んでいたことは事実で、いろいろと調べたりもしていたが、その過程で出会う言葉は、 「Social Anxiety Disorder(社会不安障害)」や 「Sensory Integration Dysfunction(感覚統合障害)」、 「Selective Mutism(場面緘黙症)」など、ますます心配になるようなものばかり。しかし、最後に出会った「Highly Sensitive Child」という言葉にピンと来るものがあった。
続く
(2006年3月)
執筆者プロフィール: 日本での長い独身貴族生活の後、軽い息抜きのつもりでやってきたシアトルで思いもよらず今の夫と出会い結婚。2002年初夏に初めての妊娠が判明し、人生が180度転換してしまった。2003年に長女を出産し、2005年には次女を出産。子育ての毎日は初めてのことばかりで、心配したり悩んだり喜んだりと実に賑やかな(?)生活を送っている。
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