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第35回:ベビーシッター

長女はもうすぐ3歳になるが、一度も家族以外の人に預けられたことがなかった。理由は、極端な人見知り。娘と同い年の友達が我が家に遊びに来ても娘の方が固まってしまい、友達が帰るまで私にへばりつくというパターンが常だった。ところが、最近その傾向に少し変化が現れ、改善のきざしが見え始めた。といっても、それは少しずつであって、10月に日本に帰った時も、私の親にさえ預けて出かけることは一度もできなかったから、夫の会社のクリスマス・パーティに出席するため、初めて長女を生後11ヶ月の次女と一緒に友人の家に預けようという計画が持ち上がった時、私はかなり成功率の低い賭けだな、と思った。

いつも本人の意思を尊重して無理強いはしなかったが、いつかはやらなければいけないこと。かなり勇気がいるとは言え、これはチャンスかもしれない。そこで娘に「ダディとマミーがちょっとだけお出かけする間、あみちゃん(仮名)に遊んでもらう?」と聞いてみたところ、「あみちゃんと遊びたい」という答え。「意外にいけるかも?」と期待が膨らむ。

今年のクリスマス・パーティは、ベルタウンにあるエル・ガウチョ内のパンパス・ルームというバーを借り切ってのフォーマルなものということで、場所も時間帯もスタイルも子供向けではない。大人のみというのが暗黙のルールだ。だから、もし子供を預けられないということになると、夫が1人で参加することになる。食い意地の張った私は、エル・ガウチョのステーキを食べるためにも、「これはやるしかない!」と決心した。

まず、あみちゃんの好意に甘え、練習セッションを設けた。本番はあみちゃんの家になるが、いきなり自宅以外の場所で私たちから離れると失敗する可能性が高くなるので、まずはあみちゃんに我が家に来てもらい、少し遊んでもらって慣れてきたところで私たち夫婦が30分ほど出かけることにした。これは難なく成功。私たちは何の問題もなく出かけることができ、長女は楽しく遊んでいたとのこと。妹も一緒だったのも成功した要因の1つだろう。しかし、こんなにすんなりといくとは思ってもみなかった。

そして、いよいよ本番の日がやってきた。当日、私たちがパーティーに出かける30分ほど前にあみちゃんの家に到着し、私たちも一緒に遊んだりした。私たちが出かけようとした時に少し嫌がったが、お腹がすいているようだったため、持ってきた好物のサンドイッチを食べさせはじめると、気分が落ち着いていったようだ。さらに、お気に入りのDVDをかけて駄目押し。1人づつ去る作戦で、まずは夫が先に部屋を出て、しばらくして私も「じゃあね〜」とさらりと立ち去ることができたのである。

しかし、パーティの間は娘のことが気になって、あまり楽しむということもなく、しまいにはせっかくのデザートもスキップして、早めに切り上げた。他の参加者達はベビーシッターをよく使っているらしく、リラックスして大人の時間を楽しんでいるようで、私のようにそわそわと携帯電話をチェックしたりしている人はいなかった。泣きたおしてあみちゃんに迷惑をかけていないかとドキドキしながら迎えに行くと、かなりハイパーになりつつも、機嫌よく遊んでいる娘たちがそこにいた。

後日、あみちゃんは丁寧にも、娘たちの様子をレポートとしてまとめてくれた。長女は、あみちゃんの膝に乗ったり抱きついたりと、随分とリラックスしていたようで、あみちゃんのご主人が帰ってきても怖がらなかったそうだ。唯一怖がったのは、クリスマス・ツリー。なぜだかわからないが、近寄らなければ問題はなかったそうである。

こうして、私たち親にとってもドキドキのベビーシッター初体験は無事成功。これまでは知人やベビーシッターに預けている友人たちをうらやましく思いつつ、それができる日が自分にも来るとは思ってもみなかったので、「娘も成長したんだな〜」と、あらためて感慨にふける日々である。まだまだ3歩進んで2歩下がる、一喜一憂の日々がこれからも続くのだろうが、それでも我が家にとっては小さくて大きなワン・ステップだ。協力してくれたあみちゃん、本当にありがとう!


(2006年1月)

執筆者プロフィール: 日本での長い独身貴族生活の後、軽い息抜きのつもりでやってきたシアトルで思いもよらず今の夫と出会い結婚。2002年初夏に初めての妊娠が判明し、人生が180度転換してしまった。2003年に長女を出産し、2005年には次女を出産。子育ての毎日は初めてのことばかりで、心配したり悩んだり喜んだりと実に賑やかな(?)生活を送っている。

Back Number
2008年
第65回 トリック・オア・トリート
第64回 キンダーガーテン
第63回 ファミリー・キャンプ 2008
第62回 ガレージセール
第61回 言語のはなし 続き
第60回 子供とアクティビティ
第59回 アメリカ人が甘いもの好きな訳?
第58回 逆カルチャーショック
第57回 学校選び
第56回 バケーション

2007年
第55回 言語のはなし 第49回 夏休み
第54回 風邪に悩まされた10月 第48回 おもちゃと遊び
第53回 ほめられるのが嫌いな子 第47回 トイレ・トレーニング完了
第52回 日焼け対策 第46回 姉妹の関係
第51回 ファミリー・キャンプ 第45回 子供の味覚
第50回 プリンセスとウルトラマン 第44回 2006年を振り返って

2006年
第43回 お誕生日パーティ 第38回 子供の感受性(2)
第42回 プリスクール 第37回 子供の感受性(1)
第41回 砂場デビュー 第36回 自分でさせる教育
第40回 殻を破り始めた娘 第35回 ベビーシッター
第39回 スクラップブッキング

2005年
第34回 日本のお風呂に開眼 第28回 しつけ
第33回 子供2人連れ、飛行機の旅 第27回 卒乳(Weaning)
第32回 歌を歌おう 第26回 2度目の出産
第31回 トイレ・トレーニング(Toilet training) 第25回 2人目対策
第30回 引越し 第24回 おもちゃ
第29回 ルーティーン(Routine)

2004年以前
第23回 母親のストレス解消法 第11回 手ごたえあり?の娘との2人旅
第22回 ハロウィーン 第10回 初めての病気
第21回 妊娠中の授乳 第9回 離乳食を始めた
第20回 グランパとグランマ 第8回 初めての飛行機の旅
第19回 ベビー・サインと言葉の発達 第7回 快適育児生活
第18回 日本 vs アメリカ お風呂の入れ方 第6回 「ベビー・・・」
第17回 絵本を読もう 第5回 次の試練 「睡眠不足」
第16回 ベビーとの外食 第4回 最初の試練 「授乳」
第15回 トドラー食 第3回 ついにその日が来た
第14回 あっという間の1年 第2回 妊娠はつらいけれど幸せ
第13回 帰省 第1回 妊娠の日米比較
第12回 動き出した!


注)当ページに記載されている内容は個人の一意見です。この情報に基づいて行動した結果なんらかの損害が発生した場合においても、執筆者およびジャングルシティは一切責任を負いません。記載された情報を活用される場合は、あらかじめ専門家に照会するなど必要な確認を行った上、ご自分の責任で判断していただきますようお願い申し上げます。
   
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