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第34回:日本のお風呂に開眼

前回に綴った壮絶な帰国の旅の後、私たち親子はなんとか5日程度で時差ぼけも治り、少しづつ生活リズムを取り戻した。今回の里帰りでは、実家のある神戸から名古屋・岐阜方面と広島方面へ、2度の国内旅行を楽しんだ。名古屋では祖母に初めて娘たちを見せることができたが、高齢で視線がどこに向いているのかよく分からないような状態で、高齢者(ここで言うのは介護が必要なほどの人)を見慣れていない長女が怖がり、ずっと私に抱っこをせがみ、祖母に近寄るのを拒んだ。それでも、別れ際にやっと握手をしてくれたのでホッ。長女は神経質で、見慣れない物や人、新しい事などに強い拒否反応を示すので、親の私は結構辛いのだ。気持ち的にも辛いが、ずっと抱っこになってしまうので、体力的にもきつい。

祖母に会った夜は、岐阜の旅館に泊まったが、旅館の大きなお風呂に、しかも、知らない人たちが皆裸でいるという、よく考えたら異様とも思える光景に、長女は絶対に怖がるだろうと覚悟していた。ところが意外にも、わりとスムーズに事は進んだ。おまけに、結構これが楽しかったようだ。お湯の温度にもうるさいから、家ではとてもじゃないけど一緒には入れないほどぬるいお湯につかっているのに、ここでは私たち大人にとって丁度良い温度のお湯にもつかり、お湯の中では旅館のタオルをお湯に浮かべて遊んだ。もちろんかなり前から精神的準備は怠らなかった。日本に行く前から、「大きなお風呂にみんなで入るんだよ。楽しみだね〜」「いつもより温かいお湯だよ。気持ちいいよ〜」と、毎日のように言い続け、楽しさを盛り上げておいた。どうやらこれが功を奏したようだ。

母が次女の体を洗っていると、気持ちよかったのか、眠ってしまったこともあった。しかし、赤ちゃんにはお湯が熱すぎるかと思い、お湯につけないように抱っこし、長湯もよくないから早めに切り上げたので、お風呂でリラックスとはいかない。やっぱり次女は部屋湯にして、私たちが入る時は父に見ていてもらえばよかったと後悔。岐阜の旅館は浴場の脱衣所に赤ちゃんを着替えさせる台があったが、広島の宮島で泊まった旅館にはなかったので、床にしいたタオルに寝かせてやるしかなく、気分的にちょっとよくなかった。祖母(前述の祖母)が昔、母とお風呂屋さんに行っていたころ、赤ちゃんを入れる時にはアクシデントに備え、タオルを股のところにあてるようにしていたそうで、今回もそのようにしたが、アメリカからスイムダイパー(水泳用おむつ)を持ってくることを思いつかなかった。これは日本ではあまり見かけないと聞いたことがある。

普段、家で子供たちをお風呂に入れる時は、バスタブの脇にひざまずいた状態で、子供たち2人をまとめてバスタブに入れ、体を洗う。実家に滞在していた時は、お風呂の外から自分は服を着たまま子供を洗うというのは、お風呂の構造上難しいので、いつも一緒に入った。私と一緒に入ると、特に次女の場合は自分で何もできないため、誰かがお風呂の外にいて、次女の体を拭いて服を着せる必要があり、私1人で全てをやることができない。日本のお風呂はバスタブが深くて良いけれど、すっかりアメリカのお風呂でのやり方に慣れてしまった私は、逆にやりにくいと感じてしまった。

長女はその深いお風呂がとても気に入った。肩までの熱いお湯にゆっくりとつかるというのが初めての上、私と一緒というのも嬉しかったようだ。長女がすっかりお風呂好きになったので、ではもう1回、ということで、最後に近くのスーパー銭湯に出かけ、露天風呂も体験。そこは明石海峡大橋がま正面に見えるというロケーションで、つり橋の夜景も楽しめた。

今回、お風呂以外に目覚めたのがみかん。皮をむいてあげるのが面倒であまりオレンジなども与えていなかったが、母が食べ方を教え(口に入れて、房を全部出す)ると、これが随分と気に入ったようで、いつも祖母と2人でよく食べていた。それから、柿。これも、私が昔好きでなかったという理由であまり与えたことがなかったが、柿は緑や黄色の濃い野菜と同じく、ベータカロチンが多いということを思い出し、食べさせてみたところ、気に入った。シアトルに戻ってからお店で見てみると、これがあるんですね、みかんも柿も。うちの夫なんて、柿 (Persimmon)の存在さえ知らなかったというのに、近所のスーパーには富有柿(ふゆがき)がちゃんとおいてあった。ファーストフード・レストランのウェンディーズでは、フレンチフライの代わりにみかんにすることもできるということに気が付いた。

日本に帰国して、娘が少し変わっていることに気づいた。お風呂を怖がらなかったのは、何も偶然ではなかったようだ。とにかく全ての物や人に対して警戒心と拒否反応がとても強かったのに、それが随分とマシになっている。滞在中は母と父に随分となついて(それでもうんちのオムツ替えとお風呂は絶対に私でないとだめだったが)、体ごと突進して行ったり、おやつをおねだりしたりと慣れきっていた。訪ねてきた親戚のこともそれほど怖がるでもなく、本領を発揮してしゃべりまくったこともあった。でも、これは私が彼らのビデオを見せたり、ずっと事前に盛り上げを行っていたからだと思っていたが、最近、お店に買い物に行くと、必ずキャッシャーの人に "This is mine." とかなんとか話しかけるし、久々に会ったお友達にも、以前とは比べ物にならないぐらい柔らかい態度になっていた(それでもまだ一緒に遊ぶとまではいかないけれど)。ま、行きの苦労もし甲斐があったというものだ。


(2005年12月)

執筆者プロフィール: 日本での長い独身貴族生活の後、軽い息抜きのつもりでやってきたシアトルで思いもよらず今の夫と出会い結婚。2002年初夏に初めての妊娠が判明し、人生が180度転換してしまった。2003年に長女を出産し、2005年には次女を出産。子育ての毎日は初めてのことばかりで、心配したり悩んだり喜んだりと実に賑やかな(?)生活を送っている。

Back Number
2008年
第61回 言語のはなし 続き
第60回 子供とアクティビティ
第59回 アメリカ人が甘いもの好きな訳?
第58回 逆カルチャーショック
第57回 学校選び
第56回 バケーション

2007年
第55回 言語のはなし 第49回 夏休み
第54回 風邪に悩まされた10月 第48回 おもちゃと遊び
第53回 ほめられるのが嫌いな子 第47回 トイレ・トレーニング完了
第52回 日焼け対策 第46回 姉妹の関係
第51回 ファミリー・キャンプ 第45回 子供の味覚
第50回 プリンセスとウルトラマン 第44回 2006年を振り返って

2006年
第43回 お誕生日パーティ 第38回 子供の感受性(2)
第42回 プリスクール 第37回 子供の感受性(1)
第41回 砂場デビュー 第36回 自分でさせる教育
第40回 殻を破り始めた娘 第35回 ベビーシッター
第39回 スクラップブッキング

2005年
第34回 日本のお風呂に開眼 第28回 しつけ
第33回 子供2人連れ、飛行機の旅 第27回 卒乳(Weaning)
第32回 歌を歌おう 第26回 2度目の出産
第31回 トイレ・トレーニング(Toilet training) 第25回 2人目対策
第30回 引越し 第24回 おもちゃ
第29回 ルーティーン(Routine)

2004年以前
第23回 母親のストレス解消法 第11回 手ごたえあり?の娘との2人旅
第22回 ハロウィーン 第10回 初めての病気
第21回 妊娠中の授乳 第9回 離乳食を始めた
第20回 グランパとグランマ 第8回 初めての飛行機の旅
第19回 ベビー・サインと言葉の発達 第7回 快適育児生活
第18回 日本 vs アメリカ お風呂の入れ方 第6回 「ベビー・・・」
第17回 絵本を読もう 第5回 次の試練 「睡眠不足」
第16回 ベビーとの外食 第4回 最初の試練 「授乳」
第15回 トドラー食 第3回 ついにその日が来た
第14回 あっという間の1年 第2回 妊娠はつらいけれど幸せ
第13回 帰省 第1回 妊娠の日米比較
第12回 動き出した!


注)当ページに記載されている内容は個人の一意見です。この情報に基づいて行動した結果なんらかの損害が発生した場合においても、執筆者およびジャングルシティは一切責任を負いません。記載された情報を活用される場合は、あらかじめ専門家に照会するなど必要な確認を行った上、ご自分の責任で判断していただきますようお願い申し上げます。
   
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