第32回:歌を歌おう
長女は1歳代後半ぐらいから少しづつ歌らしきものを口ずさむようになった。初めて形になったのは定番の 『ABCの歌』。少し覚えかけていたところに、クリスマスのプレゼントで冷蔵庫に張る ”Fridge Phonics” というおもちゃ(プラスチック製のアルファベットを型の中に入れると、そのアルファベットの発音と、言葉の中で発する実際の発音が歌になって流れ、別のボタンを押すとABCの歌も流れる)をもらってから拍車がかかり、あっと言う間に完成形になり、ついでにアルファベットも覚えた。その次に覚えたのが 『きらきら星/Twinkle, Twinkle Little Star』 で、これはまず日本語で覚え、その後に英語でも教えたら覚えた。といってもこのメロディー、 『ABCの歌』 と同じなのだが。一度コツをつかむと、その後はどんどん新しい歌を覚えていき、音程も少しづつそれらしいものに近づいていった。
子どもは歌が大好きだ。というより、音楽を愛好するのは人間の本能であるから、子どもが歌を好むのも当然。小さな赤ちゃんでも音楽を演奏したり歌を歌ってあげたりすると、体をゆすってノリノリの子もいるし、ニコニコ笑って喜ぶ子も多い。現在7ヶ月の次女も、歌を歌ってあげると必ずといっていいほどニコ〜ッと満面の笑顔を見せてくれる。
赤ちゃんのころからさまざまな種類の音楽を聴かせると、大きくなった時に多くの種類の音楽を楽しむことができるのではないかと思い、長女が赤ちゃんの頃にはクラシック音楽やポピュラー・ミュージック、ジャズなどあらゆる音楽を聴かせてみたが、今は日本やアメリカの一般的な童謡を聴かせることがほとんど。子どもはやっぱり子供用に作られた童謡がしっくりとくるようで、メロディーが単純なものは口ずさみやすいし、歌詞にも動物や花が登場したり、擬音語や擬態語がふんだんに出てくるので、子どもの気を引く。アメリカのものではやはり
『Jack and Jill』
『Humpty Dumpty』
『Hush Little Baby』
『Hickory Dickory Dock』
『Three Blind Mice』
『Peas Porridge Hot』
『Hey Diddle Diddle』
などマザーグース系のものは韻をふんでいるので覚えやすい。また、日本の 『むすんでひらいて』 のような手遊び歌では、
『The Itsy Bitsy Spider』
『Pat-A-Cake』
『Five Little Monkey』
などが有名だ。童謡のCDを買ってみるのもいいだろうし、地域の図書館や大型書店でやっている無料のストーリータイムでも手遊び歌を採り入れているので、まずはそれで覚えるのも良いかもしれない。
娘は日本の歌もアメリカの歌も両方好きだが、好みがある。明るくノリの良いメロディのものは好きだが、テンポが遅いものやメロディが暗いものは嫌がるのだ。『赤い靴』 のような歌がかかってしまうと、「これイヤ〜!」と言って、早送りを強制する。お気に入りの歌ができると、それを何度も何度も聴かされるのでこちらはうんざり。でもそうやって同じ歌を何度も聴くことで覚えていくようだ。現在よく歌っているのは 『Old MacDonald』。無理やりカタカナで書くと、
「オー、マクダーノー、ハダ、ファーム、イヤイヤヨー、エン、オンザッファーム、ヒー、ハド、サム、チックス、イヤイヤヨー♪」
という有名な歌で、夫が教えた唯一の曲。ところで余談だが、この歌の日本語版があることを友人に聞くまでまったく知らなかった私。一方、友人はこの歌が日本語の歌だと思い込んでいたそうだ。ちなみに日本語版タイトルは 『ゆかいな牧場』、歌詞は「一郎さんの牧場で、イーアイイーアイオー♪」という具合に始る。この他にも日本語で歌われているアメリカの童謡はたくさんある。『メリーさんの羊/Mary Had A Little Lamb』、『ロンドン橋落ちた/London Bridge』 など、よく知られているものの他にも意外な歌がたくさんあるそうなので(友人談)、そういうのを探してみるのもおもしろいかもしれない。
音楽は子どもの社交性・感受性から論理思考や言語能力などあらゆる面での発達に役立つと言われているため、幼児向けの音楽クラスはここアメリカでも人気だ。今年の夏、大好きな歌を通してなら人見知りが改善されるかもしれないと思い、キンダーミュージック(www.kindermusik.com)という音楽クラスに参加してみた。キンダーミュージックは歌を歌いながら体を動かしたり楽器を使ったり、テーマに関連した本の読み聞かせや工作などもあり、音楽を通して子どもの総合的な能力の養育をめざすというもの。クラスは6〜7組の親子というサイズで、予想通り、最初はたくさんの子どもに圧倒され、夏の間中ふくれっ面で参加せず、親の私が参加することさえも拒否した。しかし、9月から再開すると、少しづつ態度が軟化し、少なくとも私が参加することは認めるようになったのである。さらに、クラスの中ではまだ完全に心を開いてはいないながらも、クラスの後は「楽しかったー」と言って、教材のCDを何度も何度も聴き、音楽に合わせて家中を口ずさみながら行進したりして、実は次のクラスをとても楽しみにしている。本人が楽しんでいないのに続ける価値があるのかとか、それでも続けないと結果が出ないしとか、随分悩んだが、やっと親の私もクラスの日を毎週心待ちにするようになってきている。
(2005年10月) |