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第28回:しつけ
第一反抗期まっさかりの長女の趣味は、「いや」、または "No" と言うこと。"Yes" という言葉を知らないのかと思うぐらい、耳にしたことがない。アメリカで "terrible twos" と言われ、日本でも「魔の二歳児」と言われるこの時期に突入し、「幼くてまだ何も分からないから」と、今まで考えることのなかったしつけについて、真剣に考えざるをえなくなってきた。
しつけについてはさまざまな意見があるが、個人的には子供を産むまではお尻をたたくこと(Spanking、以下スパンキング)もありだと考えていた。私が子供の頃の我が家では、親に家中を追い回されて、逃げ切れずについにつかまってお尻をペンペン、なんてことは日常茶飯事。「誰だって叩きたくないけど、お前は叩かんと分からん」と言うのが親の言い分だった。このように厳しく育てられたから、親を尊敬するようにもなったし、グレもしなかった、だから、親の威厳を保つためにも暴力にならない程度(顔や頭、耳などを叩かず、お尻などを手加減しながら傷が残らない程度に叩く、など)で首尾一貫しているならば、必要に応じての体罰はするべきだというのが、長女出産前までの持論だった。
しかし、長女妊娠を機に子育てについての情報が入ってくるようになると、少しづつ私の意見も変わり始めた。体罰の効果などいろいろな研究もされているようだが、どうやらスパンキングの効果は無いというのが最近の大勢の意見らしい。夫とも話し、結局できる限りはスパンキング無しで育てることに決めた。では、スパンキング以外でどのようにしつけをしていくのか−。そこで登場するのがタイムアウト(Time Out)だ。これは、スパンキングなどで叱るかわりに、廊下や部屋の隅などに一定時間立たせるというものである。
タイムアウト実行のきっかけは、人気のリアリティ番組 『Super Nanny』 だった。タイトル通りの「スーパー」な子守のエキスパート、ジョー・フロストが、手のつけられない子供に困り果てた家庭を訪れ、問題をあっさりと解決してしまう番組だ(ほぼ同じ内容の別番組もあるが、ナニーのしつけ方法が一貫していて視聴者も実行しやすいように要点をクリアにしてくれているので、私はこちらが好き)。ある日、長女が私に反抗して叩いてきたのを機に、ジョーの教えるやり方に従い、初めてタイムアウトをやってみた。
まずは、「もう一度やったら廊下に2分間立ってもらうからね」と警告。必ずタイムアウト実行前に一度警告を与えなければならない。さらに怒った彼女は激しく泣き出し、再び叩いてきたので、廊下まで連れて行き、「ここに2分間立ちなさい」(2歳なら2分、3歳なら3分というように、年齢の数の分数となる)と言った。ここで子供が逃げ出すと、冷静にまたその場まで戻す、というのを繰り返す。娘の場合、不思議と逃げることはなく、激しく泣きじゃくりながら、片足を動かして逃げたいようなそぶりを見せながらも、まるで見えない鎖にしばられたかのように、その場から動かない。2分が過ぎたので、娘のところに行って「2分間動かずに賢かったね。マミーに謝りなさい」と言うと、これまた不思議なことに、素直に謝った。ここで、必ず謝らせ、ハグするのが基本だ。番組でも、正しいやり方でやると、手の付けられないほどかんしゃくを起こしていた子供が必ず謝る。タイムアウトの目的は、立たせている間に気持ちを落ち着けさせることなのだ(子供に言い聞かせる時は、子供の目線まで降り、威厳を持った声色で話す)。
番組では、ジョーのしつけ法を身に付けた親達が、今まで親の言うことを全く聞かなかった子供達のコントロールに成功、大混乱の家庭は一気に平和な家庭へと変貌を遂げる・・・というのが毎回のストーリーだ。1つ言えることは、この基本を1つでも抜かすと全く効き目がないということだ。
さて、その後タイムアウトを実行したのはたったの1回である。というのも、かなりこの経験が辛かったようで、次回からは警告の段階で言うことを聞くようになってしまった。恐るべし、タイムアウトの威力。それにしても、親の振る舞いを変えることで、こんなにも子供の振る舞いが変わるのかと、それはそれは身につまされる番組である。
(2005年6月)
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