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第17回 : 絵本を読もう

娘が6ヶ月になった頃、絵本を読み始めた。本読みと言えば、就寝前のベッドタイム・ルーティン(寝る前に日課として同じ事をすると、子どもは安心して寝付きやすいと言われている)として読む親が多いと思うが、我が家の場合は毎朝、娘を私のベッドに連れてきて授乳、その後のルーティンとして読むようになった。最初に読み始めたのは、『桃太郎』『したきりすずめ』『一寸法師』 など日本の昔話。眠くて舌がもつれながら読むこともあったが、すぐに習慣となった。ちなみに、アメリカ小児科学会(American Academy of Pediatrics)では、生後6ヶ月ごろから読み聞かせを始めることを薦めている。

読み始めの頃は、特に本に興味を示すような様子もなかったので、「本当に意味があるのだろうか?」と不安になることもあったが、とにかく続けることにした。数ヶ月後には、絵本の中身より、ちょうつがいになった本の構造自体に興味を持ち、開いたり閉じたりして遊ぶようになったので、好きなように本で遊ばせた。ある本によると、この頃の赤ちゃんは "hinged object" つまり、ドアや箱の蓋など、ちょうつがいになった物を好むとのことだ。

本の読み方にも気をつけてみた。「より読む力を発達させる読み方」というのがあるそうで、それは、ただ読むだけではなく、内容の質問をしていく。同じ本を何度も読み、次に起こる事を尋ねていく。言葉もまだ話せない娘にどうかとも思ったが、できる範囲でやってみた。もちろん答えは返ってこないので、自分で答えた。

1歳の誕生日が近づく頃には、次第に絵本の中の絵を指差すことが増え、明らかに絵に興味を示すようになってきた。しかし、読み終わる前にページをめくったり、本を閉じてしまったりと、きちんと最初から最後までストーリーを読めることが少なくなった。でも、これはページをめくる「練習」らしく、練習の甲斐あってめくり方が上手になってきた。

娘がアクセスできる場所に絵本用の本棚を置いてやったので、歩けるようになって物を運ぶことができるようになると、おもちゃ同様、絵本を家中のいろいろな場所に持って行き、散らかすようになった。そしてある日、絵本を私のところに持って来た。明らかに「読んで」と言っている顔で。長い間、「本を持ってきて欲しいなあ」と思っていたので、なんだか今までの努力が実ったような気がした。

その頃から言葉の発達も始まった。物の名前はたいてい絵本でまず教え、実際にそれを見る機会がある時にはすかさず「ほら、あれが本当の犬さんだよ」といった具合に教える。娘のお気に入りはたくさんあるが、『Happy baby』 というシリーズの本ではたくさんの動物を覚えた。これは絵本というより写真とその名前があるだけの本だが、物の名前を教えるのによい。クリエイティブな面を育むのなら、例えば、実際の動物の姿とは程遠いようなユニークな絵を得意とする絵本作家の本なども良いと思う。エリック・カール(Eric Carle)やリオ・リオーニ(Lio Lionni)などはアメリカでも日本でも人気がある。

また、言葉の発達のためにはナーサリー・ライム(Nursery rhyme)と呼ばれる、英語圏で昔から口承されてきた子どものための押韻詩(有名なマザー・グース)を聞かせるのが良いそうだ。韻をふんだ詩は言葉の発達に良いという研究結果もあるという。

幼い時はとにかく「聞かせる」だけだが、中身に興味を持ち言葉も少しづつ出始める頃になると、絵と単純な文だけの絵本をゆっくりと、言葉を教えながら読むことが多くなる。よく工夫されている絵本は、子どもが非常に好む「音」を心得ているので、読みはじめで心をつかんでしまうこともある。娘の場合、「てんてんてん・・・」で始まる 『てんてんてん』 という絵本を読み始めると興奮して「てんてんてん!」と叫ぶほど気に入っている。

我が家では、日本語の本は私が、英語の本は私が日本語に訳して読むか、夫が読むようにしている。私は基本的に日本語でしか話さないようにしているが、そうすると英語に触れる時間が少なくなるので、同じ年頃の子どもが知っている簡単な英単語が分らないとかわいそうだと思い、例外として、簡単な英単語は私も教えるようにしている。でも、" squirrel" のような発音の難しい単語は絶対に私から学ばない方が良いと思うので夫に任せている。

今では四六時中何かの本を持ってきて読めというので、以前のように本読みを忘れてしまう日もなく、キッチンやリビングルーム、廊下の床には常に絵本が散らばっている。


執筆者プロフィール: 日本での長い独身貴族生活の後、軽い息抜きのつもりでやってきたシアトルで思いもよらず今の夫と出会い結婚。2002年初夏に初めての妊娠が判明し、人生が180度転換してしまった。2003年に長女を出産し、2005年には次女を出産。子育ての毎日は初めてのことばかりで、心配したり悩んだり喜んだりと実に賑やかな(?)生活を送っている。

Back Number
2008年
第61回 言語のはなし 続き
第60回 子供とアクティビティ
第59回 アメリカ人が甘いもの好きな訳?
第58回 逆カルチャーショック
第57回 学校選び
第56回 バケーション

2007年
第55回 言語のはなし 第49回 夏休み
第54回 風邪に悩まされた10月 第48回 おもちゃと遊び
第53回 ほめられるのが嫌いな子 第47回 トイレ・トレーニング完了
第52回 日焼け対策 第46回 姉妹の関係
第51回 ファミリー・キャンプ 第45回 子供の味覚
第50回 プリンセスとウルトラマン 第44回 2006年を振り返って

2006年
第43回 お誕生日パーティ 第38回 子供の感受性(2)
第42回 プリスクール 第37回 子供の感受性(1)
第41回 砂場デビュー 第36回 自分でさせる教育
第40回 殻を破り始めた娘 第35回 ベビーシッター
第39回 スクラップブッキング

2005年
第34回 日本のお風呂に開眼 第28回 しつけ
第33回 子供2人連れ、飛行機の旅 第27回 卒乳(Weaning)
第32回 歌を歌おう 第26回 2度目の出産
第31回 トイレ・トレーニング(Toilet training) 第25回 2人目対策
第30回 引越し 第24回 おもちゃ
第29回 ルーティーン(Routine)

2004年以前
第23回 母親のストレス解消法 第11回 手ごたえあり?の娘との2人旅
第22回 ハロウィーン 第10回 初めての病気
第21回 妊娠中の授乳 第9回 離乳食を始めた
第20回 グランパとグランマ 第8回 初めての飛行機の旅
第19回 ベビー・サインと言葉の発達 第7回 快適育児生活
第18回 日本 vs アメリカ お風呂の入れ方 第6回 「ベビー・・・」
第17回 絵本を読もう 第5回 次の試練 「睡眠不足」
第16回 ベビーとの外食 第4回 最初の試練 「授乳」
第15回 トドラー食 第3回 ついにその日が来た
第14回 あっという間の1年 第2回 妊娠はつらいけれど幸せ
第13回 帰省 第1回 妊娠の日米比較
第12回 動き出した!


注)当ページに記載されている内容は個人の一意見です。この情報に基づいて行動した結果なんらかの損害が発生した場合においても、執筆者およびジャングルシティは一切責任を負いません。記載された情報を活用される場合は、あらかじめ専門家に照会するなど必要な確認を行った上、ご自分の責任で判断していただきますようお願い申し上げます。
   
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