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第14回 : あっという間の1年

先日娘が1歳の誕生日を迎えた。1年前、娘がお腹の中から始めて外の世界に出てきた時には、寝返りを打ったり、物をつかんだりすることもできず、ただ泣くか横になっているだけだった。それが今では、興味を持った物のところに自分で出かけていき、欲しいものが手に入らないと怒り、おもしろい物があると指差して笑い、その名前を教えると真似をして発音しようとする。最初の数ヶ月はまだ慣れないこの世の中で一生懸命に生きている感じだったが、今では余裕が出てきて楽しんでいるように見える。人生1年目を終えて本人の感想がどうなのかはともかく、親としては一つの区切りで、感慨深いものだ。最近ヨチヨチ歩きを始めたが、まだまだグラグラしており、ハイハイの方が速く確実に目的地に行くことができるのに、立ち上がっては徒歩で行こうとする。DNAにプログラムされているとはいえ、一歩レベルの高い事を目指そうとする姿勢、大人も初心に返って見習う事も多い。

その娘は、誕生日に友達にもらった風船(※)がいたく気に入り、ことあるごとに風船を指差すので、私が日本語で「ふうせん」と、教えようとしたが、「ふ」という発音は比較的難しく、あまりピンときている様子がない。ところが、夫が英語で「Balloon」と言うと、「Ba、Ba」と、真似しようとする。「Ba」の発音は、赤ちゃんが意味のない音を出すことを「Babble」と言うぐらいなので、おそらく多くの赤ちゃんが一番最初に言い始める音かもしれず、娘もこの発音が得意だ。外に鳥がとまっていたときに、興味を持ったので「とり」と日本語で言ってみたが、やはりこれもピントきていないよう。ところが、英語で「Bird」と言ってみると、また「Ba、Ba」と、真似しようとする。ちなみに、「パジャマ」と言うと、「Pa」、「いたたたた!」と言うと「たいたいたい」と言うので、何を言っても「Ba、Ba」と言っているわけでもないようだ。

私の母国語は英語ではないので、娘には完全に日本語で話そうと生まれる前から心に決めていたが、結局、娘の反応のある方の言葉をついつい使ってしまう。だから、風船も「バルーン」、鳥も「バード」と言う。言語学者などの研究によると、日本語を話す人は完全に日本語のみで、英語を混ぜない方がよいということだが、これがなかなか難しいものだ。特に、うちは夫が日本語を解さないので、私が娘に何を言っているのか分かって欲しいときなどは、ついつい英語になる。例えば、夫に「ご飯を食べさせて」と間接的に頼むときなど、「Daddy's going to feed you.」と、娘に向かって言う。他のアメリカ人といる時なども、聞かれていると思うとつい英語で話しかけてしまう。

日本人や日本人とアメリカ人の親の元に生まれた子は、日本志向が強い子とアメリカ志向が強い子とあるようだが、概して日本志向の場合、日本語と英語のバイリンガルになり、アメリカ志向の場合は日本や日本語に興味を持たず、言っていることはだいたい分かるが、英語で返事をするようになるらしい。私は、なんとか娘をバイリンガルにしたいと思っているので、先は苦労の連続かもしれない。しかも、一口にバイリンガルと言っても、話したり聞いたりするのは問題ないが読み書きはできない、読み書きはだいたいできるが漢字が苦手など、いろいろなレベルがある。日本で育った日本人並みに日本語の読み書きができるようになるのは並大抵の苦労ではないようだ。私が意志を強く持って日本語で通すことと、娘が自らバイリンガルになることの価値を理解してくれるようにすることが大切なのだろう。

それでも、何かを教えようとしても娘に興味がなければまったく見向きもしない。この1年間の娘の成長を振り返ると、身体的にできるようになった事は、すべて娘が先に興味を持ち、自分でやり始めようとしたものばかりだし、理解できるようになった言葉などは、先に興味を持ったから私達が教えてきたものがほとんどだ。この先もきっとそのように、あくまでも自分の興味に沿って成長していくのだろう。だから、バイリンガルになるもならないも、それ以外のことも、最後は娘が自分で決めていくのだろうと思っている。

■ 私が参考にしたバイリンガル教育関連書籍
『バイリンガル教育の方法 12歳までに親と教師ができること』
中島和子著

※風船(特にゴム製の風船)は破裂してその破片が子どもの口に入ると窒息の危険があるので気をつけましょう。


執筆者プロフィール: 日本での長い独身貴族生活の後、軽い息抜きのつもりでやってきたシアトルで思いもよらず今の夫と出会い結婚。2002年初夏に初めての妊娠が判明し、人生が180度転換してしまった。2003年に長女を出産し、2005年には次女を出産。子育ての毎日は初めてのことばかりで、心配したり悩んだり喜んだりと実に賑やかな(?)生活を送っている。

Back Number
2008年
第65回 トリック・オア・トリート
第64回 キンダーガーテン
第63回 ファミリー・キャンプ 2008
第62回 ガレージセール
第61回 言語のはなし 続き
第60回 子供とアクティビティ
第59回 アメリカ人が甘いもの好きな訳?
第58回 逆カルチャーショック
第57回 学校選び
第56回 バケーション

2007年
第55回 言語のはなし 第49回 夏休み
第54回 風邪に悩まされた10月 第48回 おもちゃと遊び
第53回 ほめられるのが嫌いな子 第47回 トイレ・トレーニング完了
第52回 日焼け対策 第46回 姉妹の関係
第51回 ファミリー・キャンプ 第45回 子供の味覚
第50回 プリンセスとウルトラマン 第44回 2006年を振り返って

2006年
第43回 お誕生日パーティ 第38回 子供の感受性(2)
第42回 プリスクール 第37回 子供の感受性(1)
第41回 砂場デビュー 第36回 自分でさせる教育
第40回 殻を破り始めた娘 第35回 ベビーシッター
第39回 スクラップブッキング

2005年
第34回 日本のお風呂に開眼 第28回 しつけ
第33回 子供2人連れ、飛行機の旅 第27回 卒乳(Weaning)
第32回 歌を歌おう 第26回 2度目の出産
第31回 トイレ・トレーニング(Toilet training) 第25回 2人目対策
第30回 引越し 第24回 おもちゃ
第29回 ルーティーン(Routine)

2004年以前
第23回 母親のストレス解消法 第11回 手ごたえあり?の娘との2人旅
第22回 ハロウィーン 第10回 初めての病気
第21回 妊娠中の授乳 第9回 離乳食を始めた
第20回 グランパとグランマ 第8回 初めての飛行機の旅
第19回 ベビー・サインと言葉の発達 第7回 快適育児生活
第18回 日本 vs アメリカ お風呂の入れ方 第6回 「ベビー・・・」
第17回 絵本を読もう 第5回 次の試練 「睡眠不足」
第16回 ベビーとの外食 第4回 最初の試練 「授乳」
第15回 トドラー食 第3回 ついにその日が来た
第14回 あっという間の1年 第2回 妊娠はつらいけれど幸せ
第13回 帰省 第1回 妊娠の日米比較
第12回 動き出した!


注)当ページに記載されている内容は個人の一意見です。この情報に基づいて行動した結果なんらかの損害が発生した場合においても、執筆者およびジャングルシティは一切責任を負いません。記載された情報を活用される場合は、あらかじめ専門家に照会するなど必要な確認を行った上、ご自分の責任で判断していただきますようお願い申し上げます。
   
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