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第12回 : 動き出した!
10月の旅行中にハイハイ(crawling)を始めた時は、左脚はきちんとできているのに右足だけ床を蹴ってしまうというおかしな動きをしていた娘も、今ではベテランのクローラー(crawler)。たいていのところにたどりつくことができる上、スピードもかなり早くなってきた。また、どんなものにでもつかまり立ちをして、つたい歩きもする。自由に動けるようになってフラストレーションが消えた分、機嫌も良く楽しそうだ。
数ヶ月前には寝転がっているだけだった娘が、今では自分の意思で目的地に行くことができる。9ヶ月の赤ちゃんが、自分の意思を持っているのだ。例えそれが、「青いボタンを押したら、部屋の隅の大きな黒い四角い箱に動く絵を映してくれる、あの黒くて長いボタンのたくさんついたモノのところに行きたい(テレビのリモコンを取りに行きたい)」ということであっても。しかし、娘の成長に感動している暇もなく、ついに家中の安全対策『チャイルドプルーフ (childproofing)』を迫られることになった。
チャイルド・プルーフの基本は、口に入れると窒息する危険のあるもの(choking hazard)や薬品などを手の届く範囲に置かないこと、電気のコンセントにカバーを取り付ける(感電する)、階段がある場合は転落防止のため上下にセーフティ・ゲートを取り付ける、キャビネットや引き出しにロックを付ける(危険なものが入っている場合や手を挟む危険がある場合)、家具の角にコーナー・ガードを取り付ける(頭などを打つ可能性がある)など。"Babiesrus"(ベビーザらス)などの赤ちゃん用品の店にはこのようなセーフティ・グッズが売られている。
我が家の場合、コンピュータを置いているデスク周辺をなんとかする必要があった。ファイルの中から大切な書類を出してぐちゃぐちゃにしてしまったり、回転椅子につかまり立ちをしようとするので危ない。特にコンピュータの前に座っているといつも足元にまとわりついてきて蹴りそうになってしまうし、デスクの角で頭を打ったことも何度もある。家具の角に付けるコーナー・ガードをデスクの角に取り付けてみたが、いとも簡単にはずされてしまった。赤ちゃんがこんなに簡単にはずすことができるなんて、まったく意味の無いこの商品に1つ星のレビューをあげたいくらいだ。回転椅子をロックするようなものも、少し探してみたが見つけることができなかった。こうなるともう、デスク周辺全体をブロックしてしまうしかない。ブロックの方法には頭を悩ませたが、結局、開閉しない普通のゲートを買ってきて横に2つ並べ、周辺の家具に紐でくくりつけた。子どもがいる家はインテリアも諦めなければならない。
暖炉は娘が生まれてから使用していないが、これもブロックする必要がある。暖炉用の柵というものもあるのだが、我が家の場合は暖炉の前にテレビセットを置いて完全に塞いでしまった。
あとはキッチンだが、キャビネットのドアにロックを取り付けて手の届く高さの引き出しには危険なものは入れないようにし、タッパーウェアなどを入れて遊べるようにした。刃物など先のとがったものや、スーパーのプラスチックバッグ、ジップロックなどは手の届かない上の方に移動。しかし、キャビネットをあけるたびにロックをはずさないといけないのがかなり面倒だ。
見張っているつもりでも、一瞬の隙に何かが起こってしまうことがあるので、家の中だけは120%安全な環境にしておきたい。以前、オプラ・ウィンフリーの番組で、親が見ていない一瞬の隙にベビー・オイルを誤飲してしまい、病院に連れて行ったものの大丈夫だと言われ、結局後になってその子どもは亡くなってしまったというケースを見たことがある。この場合、オイルが肺の中で膜をつくり、呼吸を妨げてしまったそうだ。赤ちゃん用のオイルでさえそういったことが起こるのだから、何も信用できないということだ。恐ろしいことを考え始めると、動悸がしそうになる。
余談だが、日本でも同じようなチャイルド・プルーフの商品が売られていて、「いたずら防止」用といった商品名がついている場合が多いのには戸惑った。赤ちゃんはいたずら(=悪ふざけ)をしているつもりはないと思うので、そういう言い方はちょっと濡れ衣ではないかと思うのは私だけだろうか。親にとって都合の悪いことはすべて『いたずら』として片付けてしまおうとする考えが、このような商品名の根底にあるのではないだろうか。
執筆者プロフィール: 日本での長い独身貴族生活の後、軽い息抜きのつもりでやってきたシアトルで思いもよらず今の夫と出会い結婚。2002年初夏に初めての妊娠が判明し、人生が180度転換してしまった。2003年に長女を出産し、2005年には次女を出産。子育ての毎日は初めてのことばかりで、心配したり悩んだり喜んだりと実に賑やかな(?)生活を送っている。
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動き出した!
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